山王学園シリーズ〜カサブランカの君へ〜

七海セレナ

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180.【眠気の限界】

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た、太陽の光が目に染みる……。


俺の人生にこんな事があるなんてと何とかしょぼしょぼする目を開くがさすがにきつい。

今日はサークルの合わせ練習の日で俺は部室の空気を入れ替えるために1番に来たのだが、窓から少しだけ差し込む光が眩しすぎて直ぐにカーテンをきっちり閉めた。

もう眠気が限界で、このまま何処でもいいから横になって眠ってしまいたい。


雅臣「……朝5時って……」


昨日柊に誘われて参加した接待マリゴーは2時間程で終わる予定だったのに、気がつけば俺達は信じられないことに朝の5時までゲームをしていたのだ。

柊と蓮池が泊まりに来たあの日以来のマリゴーだったが、俺には新しく反映されたコースが合っていたらしく開始早々1位を取ってしまった。

いつの間にか接待をする事を忘れシンプルに楽しんでしまっていて、次の再戦ではわざとコースアウトしたりして調整しようと思ったのに今度は柊が1位。

レースはヒートアップし梓蘭世が1位を取れないレースが何度も続く中で、意外にも一条先輩は必ず3位以内には入るという安定っぷりだった。

いい加減ムキになった梓蘭世が途中でマリゴーをやったことのない三木先輩を無理やり参加させ、結局接待でもなんでもない本気のマリゴー大会が明け方5時まで繰り広げられたのだ。

マリゴーをしながら皆で通話したのも初めての経験で、全員の悲鳴や雄叫びを聞きながら俺はずっと笑ってしまっていた。

今日起きてから顔が…口角が痛いのは笑いすぎて筋肉痛にでもなったのだろうか?

普段いかに自分が表情筋を動かしていないかを痛感して、柊に仏頂面のクロヒョウと言われる意味を改めて理解した。


___しかし、そんなことより。


何故俺はいつもその場のノリに身を任せて肝心なことを忘れてしまうんだ!!

部室のマシンで入れた目覚まし用のブラックコーヒーを飲みながら意思の弱い己を心底恨む。

眠気でグラつく頭を抑えながら壁掛けカレンダーの日程を見るとあともう2週間と少ししか夏休みはない。

今日もこうしてサークルの集まりがあるのに完徹でゲームをして肝心の勉強が何1つ進んでいないだなんて……。


夕太「おっはよー!!」

蘭世「うるせぇよ!!デカい声出すな!!」

夕太「いっでぇ!!声出さないと寝そうなんだよ!!」


ジリジリと焦りに駆られていると、柊が梓蘭世に頭をぶん殴られながら部室に騒々しく入ってきた。

同じ時間まで起きていたとは思えないくらい柊は元気で化物じみた体力に感服する。


楓「……」


2人に続いて蓮池も部室に入ってきたが、目が合った瞬間思い切り睨まれた。

出会った当初より鋭いその視線に思わず怯むが、


雅臣「蓮池、おはよう」

楓「てめぇ……覚悟できてんだろうな」


今日の集まりに蓮池は絶対遅刻してくると思っていたが、よっぽど昨日俺が最終レースに勝ったことを恨んでいるのだろう。

どう見ても俺に文句を言いたいが為に無理やり起きて来たことが分かって相変わらずだと苦笑する。


夕太「でんちゃん逆恨みすんなよ…にしても眠過ぎる」

蘭世「それな、マジで無理」


柊が間に入って仲を持ってくれて助かったが、その横で梓蘭世がだりーとゲーミングチェアにだらしなく腰かけた。


楓「三木先輩大丈夫なんですかね?あの人今日一応進路相談でしょう?」

蘭世「あの化け物は二徹は余裕だから無駄な心配すんなよ……」


梓蘭世は眉間を押えながら愚痴って疲れ目を癒しているが、二徹だなんて三木先輩は本当に俺達と同じ人間なのだろうか。

仕事をして宿題もして、更には徹夜で俺達に付き合って今日は何事もなかったかのように進路相談に参加しているなんて……。

 2年後に俺がそうなってるとは全く思えず、生まれ持っての資質と体力の差を見せつけられた気がした。


夕太「てか今日梅ちゃん先輩は?」

蘭世「あー忘れてた、今日家の用事あるらしくてちょっと遅れて来るって」

雅臣「そうなんですね……」


俺が大きく欠伸をすると、全員釣られたように欠伸をしていて、正直これではとても今から歌の練習という雰囲気ではなかった。


楓「あのさ、一条先輩来るまで仮眠しない?」

夕太「天才、そうしよ。大体梅ちゃん先輩来てないのに歌の練習進めるのはよくないよね」


蓮池は椅子に座りながら最もらしい理由を立てて既に机に突っ伏しているし、ビーズソファに埋もれている柊はそのまま目を閉じた。

遅れてくると言っても一条先輩のことだから30分くらいだろう。

それでも今はとにかく少し目を瞑るだけでもしたい……。


蘭世「梅ちゃんには部室にいるって連絡しとくからさ。来たら絶対起こしてくれるしまじでちょっと寝ようぜ」

夕太「だね、半日もあれば練習は充分だし2階のオンボロマットレス並べてさ___」


どうにかこうにかして一旦寝ようと4人で普段あまり使うことの無い2階に上がっていき、マットレスを並べた。




______

_______________




「___しろ!!藤城起きろってば!!」


雅臣「え!?」


ガバッと体を起こすと俺の隣にしゃがんでいた一条先輩がやっと起きたとため息をついた。

横を見ればまだ3人ともぐっすり寝ていて寝相の悪い柊なんかは床に転がってしまっている。

寝たのはたった数十分のはずなのに物凄く深く眠った気がした。


雅臣「すみません……一条先輩が来るまで少し仮眠しようって話になって……」

梅生「やっと起きた。どこにいるのかも分かんないし誰も連絡つかないからびっくりしたよ」

雅臣「え!?梓先輩が一条先輩に部室にいるって伝えておくって……」

梅生「多分送る前に力尽きたんだな。それより、三木先輩からも連絡来てるから早く起こさないと」



み、三木先輩からも連絡が!?

慌てて身を起こすと一条先輩は俺の横で眠ったままの梓蘭世を揺さぶっている。

今何時なんだとスマホを確認すると既に12時半を越していて、2時間以上眠ってしまっていただなんて信じられない。

しかも三木先輩の進路相談会はとうに終わっていて待たせている状況だなんて、俺も慌てて転がった柊を揺すぶった。


雅臣「柊起きろ!!蓮池も!!起きろって!!」

梅生「蘭世、いい加減起きなよ」


俺達が無理やり叩き起すと柊は寝ぼけ眼でノロノロ起き上がってきて、梓蘭世は夏休みで伸びた前髪をかきあげながら膝を立てた。


蘭世「……梅ちゃん?もう来たん?」

梅生「何言ってんだよ馬鹿。もう2時間は経ってるよ」


まじか、と梓蘭世は首をガキゴキと鳴らしているが全く焦る様子もない。


夕太「くぁあぁっ、完全に寝すぎた」

楓「…スッキリした、これならまぁ練習もできるかな」


柊は立ち上がると同時に乱暴に幼馴染を蹴飛ばすが、珍しく一蹴りで不服そうな顔をしながら起き上がった蓮池は大きく伸びをしている。


夕太「やべ、三木先輩から電話きてた」


柊がスマホに打ち込んでいる間に全員で下まで降りていくと、とりあえず体育館に集合しろと三木先輩から折り返しの連絡を貰った俺らは急いでダッシュした。





__________________
【後書き】
読んでいただきありがとうございます。
ブクマや評価していだだけて本当に嬉しいです!
いただけると書き続ける励みになるので、ぜひよろしくお願いいたします♪♪

ついに180話!
そろそろ合宿編がきますよ♪♪
いつもご愛読いただき本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします!

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