山王学園シリーズ〜カサブランカの君へ〜

七海セレナ

文字の大きさ
216 / 394

188.【まさかの展開】

しおりを挟む


夕太「リオピのラスソン取れて良かった!リオピ、アフターよろしく!!」


柊は俺を見て指差しながら蓮池より訳の分からないことを言っているが、桂樹先輩の腕に自分の手を絡めてピッタリ寄り添い離れずにいる。

ラスソンもアフターも何の意味も分からないが何故か柊のその姿を見て皆爆笑していた。

こんなに素敵な曲を披露してくれたのに急に蓮池が〝ラスソン〟とか変なことを言い出すから桂樹先輩が困惑しているじゃないか。

梓蘭世が大きなため息をついて立ち上がった。


蘭世「ホストじゃねぇんだから……それっぽいけど」

雅臣「ほ、ホスト!?」

楓「ラストソング、1番金使った女に捧げる歌のことな。にしても鬼枕してそうなホストだな」



___ら、ラスソンってそんな意味だったのか!?

この名曲と桂樹先輩をホストに例えていたなんてもっと言い方があるだろうが!

何て失礼な奴らだと焦るがどうも周りの様子を見ていると当たっているのか合唱部まで大ウケしている。


桂樹「めっちゃ頑張って作ったのにラスソンとか言うなよ!!」


舞台上から叫ぶ桂樹先輩を全く気にする様子がない柊はサッと離れて俺の隣に戻ってきたが、


夕太「雅子……オリシャンいけるか?」


今度は俺を見つめて変な寸劇を開始した。


楓「こいつは親金なんだからロイヤルバカラにしなよ」

夕太「ジュリオン先輩にロイバカ入れたら雅子と関係切れちゃうよ?」

雅臣「だから何の話だよ!!」


多分俺をホストに通う女に見立てて何かそれらしい会話をしているのだろうけど全く内容が分からなくてついていけない。

せっかく桂樹先輩が最高の曲を披露してくれたというのにこいつらは物事を台無しにする天才なのか。


三木「ハハ、リオンはタワー飛ばれるタイプだな」

桂樹「三木ぃ!!聞こえてんだよ!!」

三木「目立つのが好きなお前にぴったりの曲だった。あとお前のEラインは反対の方がいいな」

桂樹「当日歌うのは三木だしピアノの位置は変えらんねぇだろ!!」


今度は3年2人が大声で揉め始めるが、何となく久しぶりに2人が話している姿を見て安心した。

先程の言い合いが嘘のように誰もが笑っていて、三木先輩と桂樹先輩が不仲になったりしないで良かったと胸を撫で下ろした。


蘭世「桂樹さん目立ちたがりだし良かったじゃん、最後にソロで歌えてさ」

夕太「え、それじゃこれマジのラスソン?」

桂樹「文化祭!!合唱部で歌うからまだ最後じゃねーよ!なぁ?」


桂樹先輩は舞台から降りてくると、中田さんの肩を組む。

桂樹先輩の歌を聞いていた時に生き生きしていた表情はどこへやら、中田さんは無表情で頷くだけだった。


桂樹「てなわけで、俺らは帰る___」

夕太「さてさてさて、俺ら1年も歌いますか」


これで仕事を終えたとばかりに桂樹先輩は合唱部の人達と一緒に退場しようとしていたが柊がそれを遮った。


楓「そうだね、ああいう辛気臭いのは3年だからいいんだよ、1年は盛り上げてかないと」

夕太「しみったれた歌の後はめっちゃ盛り上げないと……聞いてく?」


柊は中田さんや合唱部の周りをウロチョロとカナリアみたいな顔をして笑いかけている。


……。

…………え!?

も、もしかして俺達1年の歌を今やるつもりか!?

この名曲の後に、あのテンションの曲を皆の前で披露するのか!?


蘭世「おー、いいじゃん。1年も聴かせてくれんの?」

梅生「ノリがいいんだっけ?楽しみだな」


梓蘭世と一条先輩が調子よく俺達3人に向かって拍手するので、何となく流れで合唱部も帰るタイミングを失ってしまったみたいだ。


「へぇー…聴いてくか?リオどうする?」


よりにもよって現部長の短髪の先輩がそんな事を言うもんだから、合唱部員全員が足を止めている。


桂樹「……そうだな、せっかくだから1年の歌聴いてってやるか」


いやいやいやいや。

桂樹先輩と目が合って微笑まれるが、そのまま俺達の歌を皆で聞いていく流れが確定してしまい俺は恥ずかしくて死にそうだった。


夕太「よし、雅臣行くぞ!ギャラリーの皆様ちょっと着替えてくるんで少々お待ちください!」


断る暇もなく柊に手を引っ張られて舞台横の階段を上らされるが、これはもう嫌だと断れない状況だ。

袖幕に引き込まれるとそこには蓮池が袋に入れて持ってきたの謎の毛皮とサングラスが置いてあって、まさか本当にこれを着るのかと目で訴える。

ラップは厳つさが必要、そして形から入らないと余計に恥をかくとさっき練習中に蓮池が部室にこれを取りに戻ったのだ。

まだ一度も俺達3人で合わせたことはないが、柊が作ってくれたこの曲は正直合わせる必要も無い程ノリだけで何とかなるといえば何とかなる。

しかし!!でも!!


雅臣「ほ、本当にやるのか?」

楓「当たり前だろ練習なんだから。それにてめぇにもFONDIの毛皮をわざわざ貸してやるんだから気合い入れろよ」


〝練習〟と至極真っ当なことを蓮池に言われてしまうとその通りすぎて何も言い返すことが出来ない。

蓮池は茶色のセーブルのロングコートを羽織って目をギラギラ輝かせているが、俺の方はベージュのミンクで総額いくらするのか分からない最高級品を学校なんかに持ってくるなよ!!

しかしこんな派手なものをと恥ずかしがっていようが結局文化祭で発表するのは避けられない運命だ。

今覚悟を決めて振り切ってやるしかないのか……!?


夕太「あのしみったれたラスソンより上手いことを証明してやる」

楓「そうだね、負けられないよ」


変に火がついている2人に、早く着ろと俺も無理やり毛皮とサングラスを装着させられてもうどうにでもなれとスタンバイした。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

幼馴染み

BL
高校生の真琴は、隣に住む幼馴染の龍之介が好き。かっこよくて品行方正な人気者の龍之介が、かわいいと噂の井野さんから告白されたと聞いて……。 高校生同士の瑞々しくて甘酸っぱい恋模様。

【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。 高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。 (これが最後のチャンスかもしれない) 流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。 (できれば、春樹に彼女が出来ませんように) そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。 ********* 久しぶりに始めてみました お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 一月十日のアルファポリス規約改定を受け、サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をこちらへ移しましたm(__)m サブ垢の『バウムクーヘンエンド』はこちらへ移動が出来次第、非公開となりますm(__)m)

嘘をついたのは……

hamapito
BL
――これから俺は、人生最大の嘘をつく。 幼馴染の浩輔に彼女ができたと知り、ショックを受ける悠太。 それでも想いを隠したまま、幼馴染として接する。 そんな悠太に浩輔はある「お願い」を言ってきて……。 誰がどんな嘘をついているのか。 嘘の先にあるものとはーー?

【完結】後悔は再会の果てへ

関鷹親
BL
日々仕事で疲労困憊の松沢月人は、通勤中に倒れてしまう。 その時に助けてくれたのは、自らが縁を切ったはずの青柳晃成だった。 数年ぶりの再会に戸惑いながらも、変わらず接してくれる晃成に強く惹かれてしまう。 小さい頃から育ててきた独占欲は、縁を切ったくらいではなくなりはしない。 そうして再び始まった交流の中で、二人は一つの答えに辿り着く。 末っ子気質の甘ん坊大型犬×しっかり者の男前

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

処理中です...