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やばい、、、兄上が姉上の婚約者から婚約破棄されてる
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本日はネスティリオン学園の卒業パーティーである。
式も終盤になってきた頃、壇上に淡い金髪にエメラルドグリーンの瞳の男性が現れる、その傍らには目を微笑みながらもパチパチとさせ、明らかに混乱している銀色のストレートの髪に空色の瞳の可愛らしい顔立ちの人物が立っている。
「レナスティア・フィオネス!今日この場で!貴様との婚約破棄を宣言する!」
金髪の男性、、王太子であるオレガッシュ殿下がよく通る声によりそう告げられた。
その瞬間その場は凍りついたように静寂が支配した
「そして、ここにいるアナスティア・オルガン嬢と私は結婚する!」
続いて言われたことにどよめきが広がる。
そのどよめきは銀色髪の人物、アナスティアのファミリーネームが男爵家のものであるからか、はたまた別の要因か。
「王太子殿下、、いきなり何を?」
レナスティアと呼ばれた男物の衣装を着ている麗人が問う。その声は高くも、低くもなく大き過ぎず小さ過ぎないうっとりするようなよく通る声であった
「レナスティア!お前は私の婚約者でありながら私と親しくするアナスティアに嫉妬しアナスティアを虐げていたようだな!そんな者にこの国の王妃になる資格はない!」
そこまで言ってから一度忌々しそうにレナスティアと呼ばれた人物を見て
「それになんだその服装は!今日がなんの日か知っているのか!女であるお前が男物の服で卒業パーティーに参加するなど、、恥を知れ!!」
顔を真っ赤にしながらそう告げる王太子に周りのものはポカンとしている
とうのレナスティアと呼ばれた者とアナスティアは震えていた、、、。
彼女、、いや彼らを支配したのは歓喜でも怯えでもなく、、
腹筋が攣るのではないかとゆうほどの笑いであった
sideアナスティア
これどうしたらいいかな
卒業パーティーが終盤に差し掛かってきた頃に行われるこの茶番に俺はどうゆう反応をすればいいのだろうか。
いきなり連れてこられてここに立っててと言われてなんも反応できないまま最近鬱陶しく話しかけてきてた王太子殿下が宣言した言葉に俺は愕然としていた
王太子からレナスティア嬢に告げられた婚約破棄、、
そして俺との結婚宣言
だが声を大にして言いたい、、
今あなたが婚約破棄を告げたのはレナスティア姉上ではなく姉上の双子の兄のレイティアス兄上なのだとゆうことを
そしてそれと同じくらい声を張り上げて言いたい、、
俺は男だしレナスティア姉上とレイティアス兄上の弟だということを
確かに俺は女顔でよく女性と間違われる。このパーティーの前にも差出人不明のエメラルドグリーンのドレスが送られてきたが執事に頼んで丁重に燃やしてもらったばっかりである。送られてきたドレスは全てこういう対応をしている。俺は着れないし、姉にも母にもきてもらいたくないためこうゆう処置しかできない。もし売ったら送り主が何かした恨みを持つかもしれないしな。
今日の衣装はとある事情によりハイネック故に喉仏がかくれているかつズボンを履いているとはいえ腰元から足元にかけてゆるくウェーブしているレースが何層にも重なっている衣装だ。見ようによっては女性の衣装に見えなくもない
して、この王太子は実にバカなのだな、姉上の、いや、俺ら家族のことを何も知らないようだ。
思わず体が震えてしまう、、
兄上に目線で問う
腹割れるくらい爆笑していい?、、だめ?
sideアナスティア【Fin】
sideレイティアス
さて、この茶番をどうしようか
たった今壇上に立つクs、コホン、、王太子に対して元々低かった好感度が氷点下まで下がった。
あいつ、私の可愛い可愛い片割れである妹の婚約者の癖して婚約破棄すると言ったか?そして我が家の天使であるアナスティアと結婚すると??
第一にレナスティアと私を間違えているのか?確かに私たちは顔立ちや雰囲気が瓜二つであり幼い頃は見分けもつかぬ程であったが、、今は身長や体格に差がでて間違われることもないというのに
頭沸いてるのか?天性のアホか?
前からバカだとは思っていたがここまでイカれていたなんて
それに、今気づいたがこの国では同性婚は認められてないのでは?王太子が性別を乗り越え結婚すると言っているならまぁ考える余地はあるが。いや、王太子は確かこう言ったなアナスティア・オルガン嬢と、、つまり男と認識していないな??
ん?アナスティアが震えている。怖がっている、、、いや違うな笑いを堪えてるな。む?こっちをみたな、ふむ、、
(腹割れるまで爆笑していい?)
もう少し堪えてくれ
(だめ?)
、、グッ、、、、、、だめだ
可愛い、、さすが我が家の天使。
さて、、恐らくスイーツを食べて大変満足して、気分が良かったところに水を差され、さらには可愛い弟と結婚するなど馬鹿げた茶番に対して烈火のごとく怒っているだろう我が片割れといきなり壇上に立たされいきなり始まった茶番に大爆笑しそうな可愛い弟を思い浮かべ思わず笑みが浮かぶ
「何を笑っている!聞いているのか!」
はぁ、このバカな王太子に対して色んな種明かしをいつしようか、、、
いや、まずこれだけは言っておこう。
「王太子殿下、言う相手を間違えておりますよ、んふw、、んん、失礼」
sideレイティアス【Fin】
sideレナスティア
せっかく、、、せっかく美味しいスイーツを食べて気分が良かったのに!!こんな茶番が始まるなんて!!
私の弟と結婚するですって?頭沸いてるのかしらこの人。
それにどうゆう目をしていたら私とレイティアス兄上を間違うのかしら?あの目はお飾りなのではなくて?全く、あんな方が私の婚約者なんて思いたくもないですわ
あら、兄上とアナスティアがアイコンタクトで会話しておりますわ。ずるいです!
「あの、、レナスティア様、、」
あら、この子は確か同じクラスだった子ね。何かしら?
「あ、あちらにいらっしゃるのはレイティアス様ですよね、、よろしいのですか?行かなくて、、」
あぁ、そうですわね。これが食べ終わったら行きますわ。もう少し待ってくださいまし。
「わ、分かりました」
はぁ、まったく、せっかくの卒業パーティーだと言うのに。せっかくの気分が台無しですわ!
「王太子殿下、言う相手を間違えておりますよ、んふw、、んん、失礼」
あら、先に兄上が動いたわ。これは早く来いと言われてる気がするわ。あと笑いが堪えきれていませんわよ
「何を言っている、ふざけたことを抜かしていないでさっさと罪を認めたらどうだ!」
「罪、、とは?」
「とぼけているのか?ならば俺が直々に教えてやろう!お前は私の婚約者でありながら私と親しくするアナスティアに嫉妬しアナスティアを虐げていた!教科書を破り、大切な物を隠し、挙げ句の果てには階段から突き落とすなど!よくこんな非道なことができるな!」
あまりにもバカすぎてつい本音がこぼれそうですわ。なぜ私が大切な弟を虐げなくてはなりませんの。
それとそれをやった犯人を今すぐに連れてきてくださらない?お話がしたいわ、たぁっぷりと、ね?
さて、呼ばれておりますし行きましょうか、何か言った方がいいですわよね、こほん
「何ふざけたことを抜かしてらっしゃるの?コイツ、、あ、失礼、つい本音が、、」
sideレナスティア【Fin】
side NOside
その声はよく響いた、レイティアスの声によく似ているが女性らしい柔らかさや高さがありつつ落ち着く声だ。
「、だ、誰だ!今の発言をした者は!今すぐ出てこい!!」
数秒の沈黙があってから人の波から一人の令嬢が出てくる
白銀色の長いストレートの髪を靡かせ星空のような深い藍色の瞳を細めレイティアスそっくりの氷のような笑みを浮かべながら優雅に出てきたその人物こそレナスティア本人であった
王太子は凍りつき言葉を失う
「遅かったね、スイーツは美味しかったかい?」
「えぇ、さすが世界有数の学園の卒業パーティーと言った所ですわ」
何気ない会話をしつつも二人の星空のような瞳は氷のように鋭く壇上にいる王太子を見つめる
「な!?、レ、レナスティアが、二人!?」
まだ頭が追いついていないのか頓珍漢なことを言い出す王太子に二人、いや、三人は思わず吹き出しそうになる
「王太子殿下、改めてご紹介いたしますわ。こちら私の双子の兄のレイティアスです」
「お初目お目にかかります。レナスティアの兄のレイティアスです」
そこまで言ってやっと頭が追いついてきたようだ
「な!、、き、貴様、双子だったのか!」
「何を驚いていらっしゃるの?私の家族構成は婚約の儀のときに国王殿下から直々に説明があったでしょう」
「、、、そ、そうであったな!私としたことが失念していたようだ」
明らかに覚えていなかったのであろう口ぶりにレナスティアはため息が溢れそうになる
「まぁいいですわ。実際私たちは遠目で見たら見分けがつかないほど似ているようですから」
「そ、そうだ!貴様らがそっくりすぎて勘違いをしてしまったのだ!」
動揺を隠せていない口ぶりにレイティアスはそっとニヤける口を覆う
「あ、あの、王太子殿下、、」
そこでやっと笑いがおさまってのであろうアナスティアが発言をする
「あぁ、アナスティア!すまない君を置いてきぼりにしてしまったね!安心してくれ、双子であれ必ずあの悪女を成敗してみせるよ!」
「い、いや、そうではなく、、」
「どうかしたのかい?もしや体調が優れないのかい?」
「いや、ちが、います、、」
アナスティアが言い切る前に捲し立てるように物事を言う王太子に話すときにスローペースなアナスティアはしどろもどろになっている
「はぁ、、。では、お望み通り婚約破棄致しましょう」
「そうかそうか、潔いではないか」
「まぁ、その結果どのような結果になっても知りませんが、」
その瞬間、王太子とレナスティアの手の甲に紋様が浮かぶ
ここで一つ解説をしよう
この国の婚約は婚約の儀というものであり、書面ではなく魔術による契約を介して行われる。婚約をした者は婚約時体のどこかに揃いの紋様を入れるのだがその紋様を入れる位置は自分自身で選ぶことが可能である。大抵は手の甲に入れる。
そして、この婚約の破棄の方法。それは婚約した者、双方の同意のみで可能であった。
つまり、双方の婚約破棄への強い意思さえあればどこでも婚約破棄が可能なのである。
浮かび上がった紋様に二人は言う。
「私、オレガッシュ・バームはレナスティア・フィオネスとの婚約破棄を望む」
「私レナスティア・フィオネスはオレガッシュ・バームとの婚約破棄を望みます」
レナスティアが言い終わると同時に紋様はサラサラと散り天へと昇っていった。
「婚約破棄、完了ですわ」
「ふん!やっとか!清々したな!」
王太子はバッとアナスティアの方を見て告げる
「さぁ!アナスティア!これで邪魔なものは無くなった!私と結婚しよう!」
「え、いや、私は、、」
そこに、突如予想していなかった人物が現れた
「何をしているのだ、オレガッシュ」
白髪の混じる茶色に近い金の髪とエメラルドグリーンの瞳のその人物をみて王太子は目を見開く
「父上!どうしてここに!?」
そう、この者こそ、民から歴代の中で最も賢王である者と支持されている現在の国王であった
「どうしてもなにも、息子であるお前の卒業パーティーを見るために来たに決まっているであろう」
そう言いながら国王は周りを見渡す。
「異様に静かではないか、どうした言うのだ。先ほど昇った光、あれは婚約破棄による契約の術の消失と見られる。何かあったのか」
国王は壇上にいる自身の息子を見つめる。何かあったのかと言っておきながら、その瞳は何もかもわかっているかのように王太子を貫いている
「そ、の、、ち、父上!聞いてください!そこにいるレナスティアはここにいるアナスティアと私が親しくしているからと嫉妬をし、アナスティアを虐げていたのです!そのような者は王妃には相応しくありません!故に私はレナスティアと婚約破棄しここにいるアナスティアと結婚すると決めたのです!」
国王は思っていた通りだったのか深くため息をついた
「はぁ、、愚かだな、」
「そ、そうなのです!父上!レナスティアは愚かであr「レナスティア嬢のことではない」、え、、」
「お前が愚かだと言っているのだ、オレガッシュ」
狼狽える王太子をまっすぐと見つめ国王は告げる。
「な、何故ですか!父上!わ、私が愚かだなんて、、!」
「そんなの決まっているだろう!」
冷静沈着と言われる国王が声を上げる
「私は何度も言ったはずだ!事を見誤るなと!」
「えぇ!ですからレナスティアの本性を見抜き、!」
「お前は何も見えていない。表面だけを取り繕い、全くもって中身を見ようとしていないではないか」
親子喧嘩がデットヒートを繰り広げる前に声を発する者がいた
「バーム国王陛下、そこまでになさってください、頭に血が昇ってしまいます」
「、、レナスティア嬢、、すまない、冷静を欠いてしまった」
「いえ、仕方のない事ですわ。このような状況ですもの。ね、お兄様」
「その通りです。私もこのような場面に直面したら冷静を欠いてしまうでしょう」
レナスティアとレイティアスとの会話によって熱くなっていた国王はだいぶおさまったようだ
「レナスティア殿、レイティアス嬢、愚息が大変申し訳ないことをした」
「いえ、気にしておりませんわ。むしろスッキリしたくらいですわ」
「はは、ぐうの音も出ないな、昔から、、こう、まっすぐな子だったのだが、まさかここまでとは」
「あら、あれは真っ直ぐすぎますわよ」
この場に集まる貴族はさぞびっくりしただろう、なんせ、滅多に腰を折る事がない国王が腰を折り、尚且つ公爵であるはずの者たちに謝っているのだ
「こ、国王殿下、お久しぶりです」
いつのまに下に降りていたのか先ほどまでいなかったはずのアナスティアが国王に挨拶をした
「申し訳ございません、このような事態になってしまい、。私も予想だにしておらず。なんと謝罪もうしあげたらいいか、、、」
「いや、こちらこそすまない。愚息は思い立ったら即行動に移す故、君の性格を考えれば仕方のない事だ」
王太子はアナスティアと自身の父に面識があったことにびっくりしたのかその場から動くことができない。それはこの場にいる他のものも同様であった
「陛下、僭越ながら未だ理解の追いついていない皆様に対して、改めて自己紹介をしてもよろしいでしょうか。時間も予定の時間をとうの昔に過ぎています。約束には違反していないはずですよ」
レイティアスがそういい時計を指しながら告げる
「うむ、どっちにしろこの後紹介する予定だったのだ、今言っても構わん」
「ありがとうございます」
うっとりするような笑みを携え、レイティアスが王太子に真っ直ぐ向き合う。同時に右側にレナスティアが、左側にアナスティアが立ち、三対の瞳が王太子を向いた
「あ、アナスティア!レナスティアの近くにいれば危険だ!すぐにこっちに来るが良い!」
「申し訳ございません。そのご要望にはお答えできません。なんせここが私の居場所ですので」
「は、、?」
意味のわからないといったような表情をして固まる王太子、つくづく頭の悪い野郎である。おっと申し訳ございません。変換を少し間違えたようです。
「改めて自己紹介致しましょう」
そう告げると一歩前に踏み出し微笑みながらこう告げた
「私は公爵家が次男レイティアス・フィオネス、、改め、ミルクティア帝国第一皇子。レイティアス・メルティと申します。以後お見知りおきを」
そう告げるとそれは見事なボア・アンド・スクレープを披露した
レイティアスが下がると同時にレナスティアが前に出る。
そしてレイティアスそっくりの微笑みで
「改めて自己紹介致します。私は公爵家が長女レナスティア・フィオネス、、改め、ミルクティア帝国第一皇女レナスティア・メルティと申します。レイティアスとは双子ですわ」
そうして見惚れるほどのカーテシーを披露すると一歩下がった
そして最後にアナスティアが一歩前に出る
「、、私は男爵家が次男アナスティア・オルガン、、改め、ミルクティア帝国第二皇子アナスティア・メルティと申します。、、これでも男です。今後お間違いのないように」
こちらも優雅なボア・アンド・スクレープを披露し一歩下がった
周囲の人々が固まった。人々の思考はほとんどのものが一致していただろう
ここでもう一つ解説を
ミルクティア帝国とは世界屈指の軍事国であり毎年ある世界剣技大会では現在7年連続一位をとている。王政ではなく民主主義の国であり、象徴として皇族が存在する。バーム国王率いるバルムクルヘン国王とは隣り合っており平和協定にて友好国となっている。今現在の皇帝はサシャルド・メルティという帝国建国以来三人目の女帝である。その夫ダルガン・メルティはバルムクルヘン国出身であり、レイティアスとレナスティアが隠れ蓑として使っていた家の出身である。またアナスティアの使っていたオルガン家はフィオネス家の分家であり、男爵家ではあるが極めて地位の高い家である。
ちなみにだが剣技大会に出場し優勝をかっさらっていくのは女帝である
さて、ほとんどの者が一致していたであろう思考、それは何か
言ってしまえば「戦争になるかもしれない」である。現在の皇帝、いや、女帝は家族を深く溺愛しており家族の危機となると一国を潰してしまうほどと言われている。実際、敵対国が帝国へ攻めた際に当時まだ幼かった第二皇子を人質に取られ、挙げ句の果てには傷をつけられたということがあった際、女帝は強い怒りと憎しみにより襲ってきた敵国を壊滅させたという逸話がある。
そんな女帝の御息女との婚約を破棄し傷つけた(?)挙げ句敵国との一件以降さらに溺愛されているという第二皇子の性別を勘違いした上で結婚を申し込んだという現状において家族を溺愛していている女帝は怒らずにいられるだろうか。否、無理である。
そんな思考に周りが青ざめている中空気の読めていないやつが一人
「ま、まさかアナスティアがお、男だったなんて、、。騙された!」
「いや、騙してないですし。付き纏ってきたのはそちらですが。」
微笑みつつも呆れたような顔で告げたアナスティアに王太子は怒り心頭といったふうに
「そんなはずがない!最初に会った時私の顔を覗き込み微笑みかけていたではないか!それ以降も会う時はずっと笑っていたし、私の話をずっと聞いてくれていたではないか!」
「初めて会った時はあなたが私の目の前で転けたから怪我がないかと思い覗き込んだだけです。万が一王太子殿下に怪我があったら近くにいた私に飛び火する可能性もあったので。ずっと笑っているのは家族の教育によるものです。上に立つものは笑みを絶やさず下のものに安心を与えることも重要であると言われているので。それと、話に関してはあなたが一方的に語っていただけではないですか、、言ってはなんですがほとんど聞き流していました。」
ゆったりした口調でアナスティアは告げた
そりゃ目の前で王太子が転ければ怪我の有無を確認するし、アナスティアは先ほどから一度も微笑みを崩していない。学園にいる間は男爵家として通っているアナスティアではしゃべっている王太子の話を遮ることはできなかっただろう
「な、な、、」
言葉をなくしている勘違いの激しい王太子に誰かが言った言葉が届いた
「ずっと思っていたのですが、アナスティア様、いえ、アナスティア様だけでなくレイティアス様とレナスティア様も、、オレガッシュ殿下のことをお名前では呼ばないのですね」
そう、ここまで読んできた人たちの中でどれほどの人が気づいただろうか。アナスティアもレイティアスも、レナスティア、、は婚約破棄の時に呼んでいたが。それ以外では決してオレガッシュ殿下とは言わず王太子殿下と言っていたのだ
「そ、そんなはずは、、アナスティアはいつも、私に、オレガッシュ、、と、、、、」
やっと気づいたのだろう、アナスティアは学園でも今この場でも、一度もオレガッシュ殿下とは言わなかったことを
「そ、そんなばかな!」
王太子に対しさらに追撃が飛ぶ
「あら、そういえばそうだったわね」
「名で呼ぶ意味などありますか?殿下で十分伝わります」
「親しいもの以外は名でよぶことがないので、、なんとも」
上からレナスティア、レイティアス、アナスティアである
王太子に対しトリプルコンボが決まり王太子は魂が抜けたかのように倒れてしまった
「あら、倒れてしまいましたわ」
「我が息子ながら情けない。衛兵!連れてゆけ!」
すぐさま衛兵が駆けつけ王太子を引きずりながら出ていった
「さて、、みなさま、このような日に大変お見苦しいものをお見せして申し訳ございませんでした」
「貴重なお時間をこんなちゃb、コホン、こんなことに使わせてしまい申し訳ございません」
「我々はこれで退席いたします引き継ぎお楽しみください」
またまた上からレナスティア、レイシアス、アナスティアである
そんなこんなで茶番は終わり3人は2日後、自国に帰っていった
ちなみに帝国はバルムクルヘン王国に対してはお咎めなし、王太子に対してはそちらの国の対処していいよとのことだった。アナスティアの説得の賜物である。
アナスティアは後一年学園に通う予定であったが飛び級で卒業、時期皇帝となる兄の補助に回っている
王太子は王位継承権破棄に王族籍の取り上げ、王族の血が流れてるため平民にはできず、現在は王宮のすみの離宮にて軟禁されてるそう
ここで裏話
実はアナスティア、自国に立派な恋人がおり溺愛されている。両親に対する王国の処罰の説得より恋人の怒りを鎮めるほうが大変だったそう、、、え?性別?、、どっちだろうね?
式も終盤になってきた頃、壇上に淡い金髪にエメラルドグリーンの瞳の男性が現れる、その傍らには目を微笑みながらもパチパチとさせ、明らかに混乱している銀色のストレートの髪に空色の瞳の可愛らしい顔立ちの人物が立っている。
「レナスティア・フィオネス!今日この場で!貴様との婚約破棄を宣言する!」
金髪の男性、、王太子であるオレガッシュ殿下がよく通る声によりそう告げられた。
その瞬間その場は凍りついたように静寂が支配した
「そして、ここにいるアナスティア・オルガン嬢と私は結婚する!」
続いて言われたことにどよめきが広がる。
そのどよめきは銀色髪の人物、アナスティアのファミリーネームが男爵家のものであるからか、はたまた別の要因か。
「王太子殿下、、いきなり何を?」
レナスティアと呼ばれた男物の衣装を着ている麗人が問う。その声は高くも、低くもなく大き過ぎず小さ過ぎないうっとりするようなよく通る声であった
「レナスティア!お前は私の婚約者でありながら私と親しくするアナスティアに嫉妬しアナスティアを虐げていたようだな!そんな者にこの国の王妃になる資格はない!」
そこまで言ってから一度忌々しそうにレナスティアと呼ばれた人物を見て
「それになんだその服装は!今日がなんの日か知っているのか!女であるお前が男物の服で卒業パーティーに参加するなど、、恥を知れ!!」
顔を真っ赤にしながらそう告げる王太子に周りのものはポカンとしている
とうのレナスティアと呼ばれた者とアナスティアは震えていた、、、。
彼女、、いや彼らを支配したのは歓喜でも怯えでもなく、、
腹筋が攣るのではないかとゆうほどの笑いであった
sideアナスティア
これどうしたらいいかな
卒業パーティーが終盤に差し掛かってきた頃に行われるこの茶番に俺はどうゆう反応をすればいいのだろうか。
いきなり連れてこられてここに立っててと言われてなんも反応できないまま最近鬱陶しく話しかけてきてた王太子殿下が宣言した言葉に俺は愕然としていた
王太子からレナスティア嬢に告げられた婚約破棄、、
そして俺との結婚宣言
だが声を大にして言いたい、、
今あなたが婚約破棄を告げたのはレナスティア姉上ではなく姉上の双子の兄のレイティアス兄上なのだとゆうことを
そしてそれと同じくらい声を張り上げて言いたい、、
俺は男だしレナスティア姉上とレイティアス兄上の弟だということを
確かに俺は女顔でよく女性と間違われる。このパーティーの前にも差出人不明のエメラルドグリーンのドレスが送られてきたが執事に頼んで丁重に燃やしてもらったばっかりである。送られてきたドレスは全てこういう対応をしている。俺は着れないし、姉にも母にもきてもらいたくないためこうゆう処置しかできない。もし売ったら送り主が何かした恨みを持つかもしれないしな。
今日の衣装はとある事情によりハイネック故に喉仏がかくれているかつズボンを履いているとはいえ腰元から足元にかけてゆるくウェーブしているレースが何層にも重なっている衣装だ。見ようによっては女性の衣装に見えなくもない
して、この王太子は実にバカなのだな、姉上の、いや、俺ら家族のことを何も知らないようだ。
思わず体が震えてしまう、、
兄上に目線で問う
腹割れるくらい爆笑していい?、、だめ?
sideアナスティア【Fin】
sideレイティアス
さて、この茶番をどうしようか
たった今壇上に立つクs、コホン、、王太子に対して元々低かった好感度が氷点下まで下がった。
あいつ、私の可愛い可愛い片割れである妹の婚約者の癖して婚約破棄すると言ったか?そして我が家の天使であるアナスティアと結婚すると??
第一にレナスティアと私を間違えているのか?確かに私たちは顔立ちや雰囲気が瓜二つであり幼い頃は見分けもつかぬ程であったが、、今は身長や体格に差がでて間違われることもないというのに
頭沸いてるのか?天性のアホか?
前からバカだとは思っていたがここまでイカれていたなんて
それに、今気づいたがこの国では同性婚は認められてないのでは?王太子が性別を乗り越え結婚すると言っているならまぁ考える余地はあるが。いや、王太子は確かこう言ったなアナスティア・オルガン嬢と、、つまり男と認識していないな??
ん?アナスティアが震えている。怖がっている、、、いや違うな笑いを堪えてるな。む?こっちをみたな、ふむ、、
(腹割れるまで爆笑していい?)
もう少し堪えてくれ
(だめ?)
、、グッ、、、、、、だめだ
可愛い、、さすが我が家の天使。
さて、、恐らくスイーツを食べて大変満足して、気分が良かったところに水を差され、さらには可愛い弟と結婚するなど馬鹿げた茶番に対して烈火のごとく怒っているだろう我が片割れといきなり壇上に立たされいきなり始まった茶番に大爆笑しそうな可愛い弟を思い浮かべ思わず笑みが浮かぶ
「何を笑っている!聞いているのか!」
はぁ、このバカな王太子に対して色んな種明かしをいつしようか、、、
いや、まずこれだけは言っておこう。
「王太子殿下、言う相手を間違えておりますよ、んふw、、んん、失礼」
sideレイティアス【Fin】
sideレナスティア
せっかく、、、せっかく美味しいスイーツを食べて気分が良かったのに!!こんな茶番が始まるなんて!!
私の弟と結婚するですって?頭沸いてるのかしらこの人。
それにどうゆう目をしていたら私とレイティアス兄上を間違うのかしら?あの目はお飾りなのではなくて?全く、あんな方が私の婚約者なんて思いたくもないですわ
あら、兄上とアナスティアがアイコンタクトで会話しておりますわ。ずるいです!
「あの、、レナスティア様、、」
あら、この子は確か同じクラスだった子ね。何かしら?
「あ、あちらにいらっしゃるのはレイティアス様ですよね、、よろしいのですか?行かなくて、、」
あぁ、そうですわね。これが食べ終わったら行きますわ。もう少し待ってくださいまし。
「わ、分かりました」
はぁ、まったく、せっかくの卒業パーティーだと言うのに。せっかくの気分が台無しですわ!
「王太子殿下、言う相手を間違えておりますよ、んふw、、んん、失礼」
あら、先に兄上が動いたわ。これは早く来いと言われてる気がするわ。あと笑いが堪えきれていませんわよ
「何を言っている、ふざけたことを抜かしていないでさっさと罪を認めたらどうだ!」
「罪、、とは?」
「とぼけているのか?ならば俺が直々に教えてやろう!お前は私の婚約者でありながら私と親しくするアナスティアに嫉妬しアナスティアを虐げていた!教科書を破り、大切な物を隠し、挙げ句の果てには階段から突き落とすなど!よくこんな非道なことができるな!」
あまりにもバカすぎてつい本音がこぼれそうですわ。なぜ私が大切な弟を虐げなくてはなりませんの。
それとそれをやった犯人を今すぐに連れてきてくださらない?お話がしたいわ、たぁっぷりと、ね?
さて、呼ばれておりますし行きましょうか、何か言った方がいいですわよね、こほん
「何ふざけたことを抜かしてらっしゃるの?コイツ、、あ、失礼、つい本音が、、」
sideレナスティア【Fin】
side NOside
その声はよく響いた、レイティアスの声によく似ているが女性らしい柔らかさや高さがありつつ落ち着く声だ。
「、だ、誰だ!今の発言をした者は!今すぐ出てこい!!」
数秒の沈黙があってから人の波から一人の令嬢が出てくる
白銀色の長いストレートの髪を靡かせ星空のような深い藍色の瞳を細めレイティアスそっくりの氷のような笑みを浮かべながら優雅に出てきたその人物こそレナスティア本人であった
王太子は凍りつき言葉を失う
「遅かったね、スイーツは美味しかったかい?」
「えぇ、さすが世界有数の学園の卒業パーティーと言った所ですわ」
何気ない会話をしつつも二人の星空のような瞳は氷のように鋭く壇上にいる王太子を見つめる
「な!?、レ、レナスティアが、二人!?」
まだ頭が追いついていないのか頓珍漢なことを言い出す王太子に二人、いや、三人は思わず吹き出しそうになる
「王太子殿下、改めてご紹介いたしますわ。こちら私の双子の兄のレイティアスです」
「お初目お目にかかります。レナスティアの兄のレイティアスです」
そこまで言ってやっと頭が追いついてきたようだ
「な!、、き、貴様、双子だったのか!」
「何を驚いていらっしゃるの?私の家族構成は婚約の儀のときに国王殿下から直々に説明があったでしょう」
「、、、そ、そうであったな!私としたことが失念していたようだ」
明らかに覚えていなかったのであろう口ぶりにレナスティアはため息が溢れそうになる
「まぁいいですわ。実際私たちは遠目で見たら見分けがつかないほど似ているようですから」
「そ、そうだ!貴様らがそっくりすぎて勘違いをしてしまったのだ!」
動揺を隠せていない口ぶりにレイティアスはそっとニヤける口を覆う
「あ、あの、王太子殿下、、」
そこでやっと笑いがおさまってのであろうアナスティアが発言をする
「あぁ、アナスティア!すまない君を置いてきぼりにしてしまったね!安心してくれ、双子であれ必ずあの悪女を成敗してみせるよ!」
「い、いや、そうではなく、、」
「どうかしたのかい?もしや体調が優れないのかい?」
「いや、ちが、います、、」
アナスティアが言い切る前に捲し立てるように物事を言う王太子に話すときにスローペースなアナスティアはしどろもどろになっている
「はぁ、、。では、お望み通り婚約破棄致しましょう」
「そうかそうか、潔いではないか」
「まぁ、その結果どのような結果になっても知りませんが、」
その瞬間、王太子とレナスティアの手の甲に紋様が浮かぶ
ここで一つ解説をしよう
この国の婚約は婚約の儀というものであり、書面ではなく魔術による契約を介して行われる。婚約をした者は婚約時体のどこかに揃いの紋様を入れるのだがその紋様を入れる位置は自分自身で選ぶことが可能である。大抵は手の甲に入れる。
そして、この婚約の破棄の方法。それは婚約した者、双方の同意のみで可能であった。
つまり、双方の婚約破棄への強い意思さえあればどこでも婚約破棄が可能なのである。
浮かび上がった紋様に二人は言う。
「私、オレガッシュ・バームはレナスティア・フィオネスとの婚約破棄を望む」
「私レナスティア・フィオネスはオレガッシュ・バームとの婚約破棄を望みます」
レナスティアが言い終わると同時に紋様はサラサラと散り天へと昇っていった。
「婚約破棄、完了ですわ」
「ふん!やっとか!清々したな!」
王太子はバッとアナスティアの方を見て告げる
「さぁ!アナスティア!これで邪魔なものは無くなった!私と結婚しよう!」
「え、いや、私は、、」
そこに、突如予想していなかった人物が現れた
「何をしているのだ、オレガッシュ」
白髪の混じる茶色に近い金の髪とエメラルドグリーンの瞳のその人物をみて王太子は目を見開く
「父上!どうしてここに!?」
そう、この者こそ、民から歴代の中で最も賢王である者と支持されている現在の国王であった
「どうしてもなにも、息子であるお前の卒業パーティーを見るために来たに決まっているであろう」
そう言いながら国王は周りを見渡す。
「異様に静かではないか、どうした言うのだ。先ほど昇った光、あれは婚約破棄による契約の術の消失と見られる。何かあったのか」
国王は壇上にいる自身の息子を見つめる。何かあったのかと言っておきながら、その瞳は何もかもわかっているかのように王太子を貫いている
「そ、の、、ち、父上!聞いてください!そこにいるレナスティアはここにいるアナスティアと私が親しくしているからと嫉妬をし、アナスティアを虐げていたのです!そのような者は王妃には相応しくありません!故に私はレナスティアと婚約破棄しここにいるアナスティアと結婚すると決めたのです!」
国王は思っていた通りだったのか深くため息をついた
「はぁ、、愚かだな、」
「そ、そうなのです!父上!レナスティアは愚かであr「レナスティア嬢のことではない」、え、、」
「お前が愚かだと言っているのだ、オレガッシュ」
狼狽える王太子をまっすぐと見つめ国王は告げる。
「な、何故ですか!父上!わ、私が愚かだなんて、、!」
「そんなの決まっているだろう!」
冷静沈着と言われる国王が声を上げる
「私は何度も言ったはずだ!事を見誤るなと!」
「えぇ!ですからレナスティアの本性を見抜き、!」
「お前は何も見えていない。表面だけを取り繕い、全くもって中身を見ようとしていないではないか」
親子喧嘩がデットヒートを繰り広げる前に声を発する者がいた
「バーム国王陛下、そこまでになさってください、頭に血が昇ってしまいます」
「、、レナスティア嬢、、すまない、冷静を欠いてしまった」
「いえ、仕方のない事ですわ。このような状況ですもの。ね、お兄様」
「その通りです。私もこのような場面に直面したら冷静を欠いてしまうでしょう」
レナスティアとレイティアスとの会話によって熱くなっていた国王はだいぶおさまったようだ
「レナスティア殿、レイティアス嬢、愚息が大変申し訳ないことをした」
「いえ、気にしておりませんわ。むしろスッキリしたくらいですわ」
「はは、ぐうの音も出ないな、昔から、、こう、まっすぐな子だったのだが、まさかここまでとは」
「あら、あれは真っ直ぐすぎますわよ」
この場に集まる貴族はさぞびっくりしただろう、なんせ、滅多に腰を折る事がない国王が腰を折り、尚且つ公爵であるはずの者たちに謝っているのだ
「こ、国王殿下、お久しぶりです」
いつのまに下に降りていたのか先ほどまでいなかったはずのアナスティアが国王に挨拶をした
「申し訳ございません、このような事態になってしまい、。私も予想だにしておらず。なんと謝罪もうしあげたらいいか、、、」
「いや、こちらこそすまない。愚息は思い立ったら即行動に移す故、君の性格を考えれば仕方のない事だ」
王太子はアナスティアと自身の父に面識があったことにびっくりしたのかその場から動くことができない。それはこの場にいる他のものも同様であった
「陛下、僭越ながら未だ理解の追いついていない皆様に対して、改めて自己紹介をしてもよろしいでしょうか。時間も予定の時間をとうの昔に過ぎています。約束には違反していないはずですよ」
レイティアスがそういい時計を指しながら告げる
「うむ、どっちにしろこの後紹介する予定だったのだ、今言っても構わん」
「ありがとうございます」
うっとりするような笑みを携え、レイティアスが王太子に真っ直ぐ向き合う。同時に右側にレナスティアが、左側にアナスティアが立ち、三対の瞳が王太子を向いた
「あ、アナスティア!レナスティアの近くにいれば危険だ!すぐにこっちに来るが良い!」
「申し訳ございません。そのご要望にはお答えできません。なんせここが私の居場所ですので」
「は、、?」
意味のわからないといったような表情をして固まる王太子、つくづく頭の悪い野郎である。おっと申し訳ございません。変換を少し間違えたようです。
「改めて自己紹介致しましょう」
そう告げると一歩前に踏み出し微笑みながらこう告げた
「私は公爵家が次男レイティアス・フィオネス、、改め、ミルクティア帝国第一皇子。レイティアス・メルティと申します。以後お見知りおきを」
そう告げるとそれは見事なボア・アンド・スクレープを披露した
レイティアスが下がると同時にレナスティアが前に出る。
そしてレイティアスそっくりの微笑みで
「改めて自己紹介致します。私は公爵家が長女レナスティア・フィオネス、、改め、ミルクティア帝国第一皇女レナスティア・メルティと申します。レイティアスとは双子ですわ」
そうして見惚れるほどのカーテシーを披露すると一歩下がった
そして最後にアナスティアが一歩前に出る
「、、私は男爵家が次男アナスティア・オルガン、、改め、ミルクティア帝国第二皇子アナスティア・メルティと申します。、、これでも男です。今後お間違いのないように」
こちらも優雅なボア・アンド・スクレープを披露し一歩下がった
周囲の人々が固まった。人々の思考はほとんどのものが一致していただろう
ここでもう一つ解説を
ミルクティア帝国とは世界屈指の軍事国であり毎年ある世界剣技大会では現在7年連続一位をとている。王政ではなく民主主義の国であり、象徴として皇族が存在する。バーム国王率いるバルムクルヘン国王とは隣り合っており平和協定にて友好国となっている。今現在の皇帝はサシャルド・メルティという帝国建国以来三人目の女帝である。その夫ダルガン・メルティはバルムクルヘン国出身であり、レイティアスとレナスティアが隠れ蓑として使っていた家の出身である。またアナスティアの使っていたオルガン家はフィオネス家の分家であり、男爵家ではあるが極めて地位の高い家である。
ちなみにだが剣技大会に出場し優勝をかっさらっていくのは女帝である
さて、ほとんどの者が一致していたであろう思考、それは何か
言ってしまえば「戦争になるかもしれない」である。現在の皇帝、いや、女帝は家族を深く溺愛しており家族の危機となると一国を潰してしまうほどと言われている。実際、敵対国が帝国へ攻めた際に当時まだ幼かった第二皇子を人質に取られ、挙げ句の果てには傷をつけられたということがあった際、女帝は強い怒りと憎しみにより襲ってきた敵国を壊滅させたという逸話がある。
そんな女帝の御息女との婚約を破棄し傷つけた(?)挙げ句敵国との一件以降さらに溺愛されているという第二皇子の性別を勘違いした上で結婚を申し込んだという現状において家族を溺愛していている女帝は怒らずにいられるだろうか。否、無理である。
そんな思考に周りが青ざめている中空気の読めていないやつが一人
「ま、まさかアナスティアがお、男だったなんて、、。騙された!」
「いや、騙してないですし。付き纏ってきたのはそちらですが。」
微笑みつつも呆れたような顔で告げたアナスティアに王太子は怒り心頭といったふうに
「そんなはずがない!最初に会った時私の顔を覗き込み微笑みかけていたではないか!それ以降も会う時はずっと笑っていたし、私の話をずっと聞いてくれていたではないか!」
「初めて会った時はあなたが私の目の前で転けたから怪我がないかと思い覗き込んだだけです。万が一王太子殿下に怪我があったら近くにいた私に飛び火する可能性もあったので。ずっと笑っているのは家族の教育によるものです。上に立つものは笑みを絶やさず下のものに安心を与えることも重要であると言われているので。それと、話に関してはあなたが一方的に語っていただけではないですか、、言ってはなんですがほとんど聞き流していました。」
ゆったりした口調でアナスティアは告げた
そりゃ目の前で王太子が転ければ怪我の有無を確認するし、アナスティアは先ほどから一度も微笑みを崩していない。学園にいる間は男爵家として通っているアナスティアではしゃべっている王太子の話を遮ることはできなかっただろう
「な、な、、」
言葉をなくしている勘違いの激しい王太子に誰かが言った言葉が届いた
「ずっと思っていたのですが、アナスティア様、いえ、アナスティア様だけでなくレイティアス様とレナスティア様も、、オレガッシュ殿下のことをお名前では呼ばないのですね」
そう、ここまで読んできた人たちの中でどれほどの人が気づいただろうか。アナスティアもレイティアスも、レナスティア、、は婚約破棄の時に呼んでいたが。それ以外では決してオレガッシュ殿下とは言わず王太子殿下と言っていたのだ
「そ、そんなはずは、、アナスティアはいつも、私に、オレガッシュ、、と、、、、」
やっと気づいたのだろう、アナスティアは学園でも今この場でも、一度もオレガッシュ殿下とは言わなかったことを
「そ、そんなばかな!」
王太子に対しさらに追撃が飛ぶ
「あら、そういえばそうだったわね」
「名で呼ぶ意味などありますか?殿下で十分伝わります」
「親しいもの以外は名でよぶことがないので、、なんとも」
上からレナスティア、レイティアス、アナスティアである
王太子に対しトリプルコンボが決まり王太子は魂が抜けたかのように倒れてしまった
「あら、倒れてしまいましたわ」
「我が息子ながら情けない。衛兵!連れてゆけ!」
すぐさま衛兵が駆けつけ王太子を引きずりながら出ていった
「さて、、みなさま、このような日に大変お見苦しいものをお見せして申し訳ございませんでした」
「貴重なお時間をこんなちゃb、コホン、こんなことに使わせてしまい申し訳ございません」
「我々はこれで退席いたします引き継ぎお楽しみください」
またまた上からレナスティア、レイシアス、アナスティアである
そんなこんなで茶番は終わり3人は2日後、自国に帰っていった
ちなみに帝国はバルムクルヘン王国に対してはお咎めなし、王太子に対してはそちらの国の対処していいよとのことだった。アナスティアの説得の賜物である。
アナスティアは後一年学園に通う予定であったが飛び級で卒業、時期皇帝となる兄の補助に回っている
王太子は王位継承権破棄に王族籍の取り上げ、王族の血が流れてるため平民にはできず、現在は王宮のすみの離宮にて軟禁されてるそう
ここで裏話
実はアナスティア、自国に立派な恋人がおり溺愛されている。両親に対する王国の処罰の説得より恋人の怒りを鎮めるほうが大変だったそう、、、え?性別?、、どっちだろうね?
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藤礼 様
コメントありがとうございます😊
確かに良いですね!アナスティアが美少女()なので外見が美男()でもいいかもですね🤩
恋人さんはアナスティアLOVEな感じなのでそこらへんも女帝陛下そっくりですね🤭