ヤンキー上がりの浜崎君は眼鏡ちゃんを溺愛してます

きぬがやあきら

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深雪と和貴

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「てめェ……!!」

 和貴は反射で駆けだした。

 後方から足止めしようと縋り付く二人を転瞬の間に蹴散らす。

 あと一歩。深雪まで1メートルのところで正面にロン毛と鼻ピアスが立ちはだかった。

 ふっ、と腹に力を籠める。

 胸ぐらを掴むまでもない。顔面の正中――真ン中に正拳、もう一人には踏み込んだ勢いのまま回し蹴りを叩きこむ。

「ぐはっ」

「止まれぇ! 女がっ、どうなってもいいのかよ」

 反吐を吐いてぶっ倒れた鼻ピアスを避けながら長ランが叫ぶ。

 和貴ははっと、動きを止める。

「痛っ、やめて……」

「植田!」

 長ランは刃物を突き付ける悪役よろしく、深雪の両腕を背中に回して拘束した。

 和貴は歯噛みをし、臨戦態勢を解く。

 握った拳を開いて、抵抗を放棄する仕草を見せた。

(なるほど……。植田を人質に取られちゃなんもできねえ)

「そうだ、最初からそうしてろや。おい、やっちまえよ」


ドッ


 声を合図に、サルの歓声が上がった。同時に背中に衝撃が襲う。

「浜崎君!」

 背後の気配が一斉に動いた。何の抵抗もする気はないが、敵の攻撃に合わせて身を構える。

 こうすれば一撃は喰らってもダメージを軽減できる。

 和貴は経験で知っていた。

 奴らの気が済めば終わる。それまで耐えるしかない。

 深雪に何かあったら取り返しがつかない。

「やだ……ダメ、浜崎君……! そんな」

 四方から4,5,6と殴打を浴び、誰かが助走と共にドロップキックで突っ込んで来る。

 こらえきれずに地に伏せた。

 転がったのを機に、烏合の衆にここぞとばかりに取り囲まれる。

「やりぃ! 何が関東一だ、ちょれぇよ! だからさっさとやっちまえば良かったんだよ」

「最高だな。あの浜崎ボコれるなんて! おめぇも待ってろ、気が済んだら替わってやるから」

(一人でかかって来れもしねえくせに。後で覚えてやがれ……)

「んっとだよ。お前らばっかりいい思いすんなよ。俺の分も残しておけよー」

 いたいけな女子を人質に取って、得意顔をしているのは茶髪の編み込みだ。

 気づかれぬよう行っていたガードをすり抜けて、顎に一撃を食らう。

「ぐはっ」
 
 瞬間体のコントロールを失い、追撃をモロに受けた。

「どうして? もう充分でしょう。止めてあげて……」

 その後は坂を転げ落ちる小石の如く、攻撃を浴び続けた。

 深雪の声は震えていた。何と健気だろう。付き合い始めたばかりなのに、災難に巻き込んで面目もない。

 和貴は体の中央を庇いながら、攻撃が止む時を待った。




 














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