ヤンキー上がりの浜崎君は眼鏡ちゃんを溺愛してます

きぬがやあきら

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深雪と和貴

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「でね、その時友香が……」

 二人は事件から少し後、深雪の自宅近くのファミリーレストランにいた。

 和貴が病院を断固拒否するので、一度深雪の家に連れて行ってから応急の手当てを施していた。

 和貴はうん、と笑顔でうなずいてくれる。

 うれしい。

 彼の瞳に自分が映っている事が。

 起きた事件自体はショックだったが、以前よりもずっと親しく会話が交わせるている。

 顔に貼ってある(深雪がやった)。バンドエイドや、生乾きの傷跡が多少、痛ましくはあるが彼は幸せそうだ。

 普段決して見ることのなかった優しい笑みだ。

「―――ね、浜崎く……」

「和貴」

「……え?」

「……って呼んでくれないか……?」

(え……ええ~~っっ!!?)

 別に、そう呼ぶのが嫌なのではない。

 ただ、驚いた。

 セリフとプラス和貴のこの照れぶりに。

(う・うそ。これがあの浜崎君……??)

 耳まで真っ赤に染めて、うつむき加減にこちらの様子をうかがっている。

 まさか和貴が。……こう形容しては失礼だが、こんな風に純情な人物だったとは、意外すぎる。

 しかしそれが逆に彼を人間らしく見せていた。

 可愛らしい一面だ。

「か、和貴く……」

 ちょっと言いかけて深雪の声は急に詰まった。顔が熱い。

 なんだかんだ思惑して胸中で和貴を笑ったが、結局自分も恥ずかしいらしい。

 お互い照れまくって、上目の半分も動かせなくなった頃、助け船のようにウェイターが現れた。

 パッと見二人と同い年位の、アルバイトさんだ。

「お待たせしました。チョコレートパフェとフルーツサンデーです」

 ひきつった笑みでそう告げたかと思うと二品と、パフェ類専用の柄の長いスプーンを手早く置き去って行ってしまう。

 原因は一つ。和貴だ。

 現役高校生の間で流れている和貴の逸話を彼は恐らく鵜呑みにしているのだろう。

 傷だらけの和貴を見て恐ろしくなってしまったに違いない。

 和貴は早速気を取り直してもうパフェをつつき始めた。

「俺、一度パフェ食ってみたかったんだ」

 男同士じゃ絶対頼めないから。

 と少年のように笑う彼を見て、今までの全てがどうでも良い様に深雪には感じられた。

 彼がの浜崎だとか、の浜崎だとか言われている「彼」だとしても。

 今自分と向き合って同じテーブルについている男の子は、同い年の和貴君なのだから。












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