ヤンキー上がりの浜崎君は眼鏡ちゃんを溺愛してます

きぬがやあきら

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放課後

12

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「本っ当、昨日はごめん!!」

 翌日、友香は学校で会うなり謝罪を口にした。

「やだ、そんなに謝らないでよ! 第一友香ちゃん何も悪くないじゃない」

 思い出せばやはり、あの場面を見られたこと自体は恥ずかしかった。

 だが、一夜明けて開き直りの気持ちの方が強まってきていた。

 そうだ、見られてしまったものは仕方ない。

 それに友香だって、口にせずともきっとしてるだろう。し……。

「いや、あんたはともかく・・浜崎の方」

 言いつつ探るような視線を投げかけてくる。

 口調もやや重く、緊張が伺える。

「ああ、大丈夫。今朝もういつも通りの顔に戻ってたし」

「……てことは、昨日私だけ駅で解散したあの後も、ずっとあんな……?」

 なんとなく納得いかない面持ちで友香は沈黙した。

 深雪にとってもそうだが、やはり和貴は謎の人物である。

「えーっ、ねぇやっぱ二人って付き合ってるわけぇ?」

「え?」

 浜崎の名を口にしたとたん、タイミングを狙いすましていたかのように、辺りにいたクラスの女子が二人の周りに群がった。

 深雪の横に高杉美波と峰岸愛子、友香の隣に高倉さくら。

「あ……いや、まあ一応……」

 しどろもどろに答えると、彼女たちはきゃあっと悲鳴を上げる。

「だよね。こないだ一緒に歩いてるの見かけたもん!」

「ねえねえそれっていつ頃から?」

「つい・・最近・・」

「浜崎ってどうなの、怖くない!?」

「遠くからしか見たことないんだけど、あの人って背いくつくらい?」

「怖く、ないよ。身長は……わからないけど私より20センチは高いかも……」

 深雪の身長に20センチ足した高さを想像して、更に周囲のテンションが上がる。

「やっぱりー!!」

 何がやっぱりなのかさっぱりだが、噂にあるように和貴は近寄りがたい人間だったのだろう。

 直接かかわれる者が少なかったため、知りたくとも皆の好奇心は満たされないままだったに違いない。

 目にした者は振り返らずにいられないくらい、和貴の容姿は人目を惹くのだ。

 特に婦女子の……

 心なしか、みんなの瞳は輝いて見える。

「ね、それでそれで……」

 休む間もなく質問をぶつけてくるクラスメイトにそれぞれ首を回して答えを返す。

 すると徐々に目が回ってくる。

『相手が相手だから敵も多いけど、私たち植田さんの味方だよっ!!』

「・・え?」

 矢継ぎ早の質問の後、見事に三人全員の声がハモる。

 嫌味ではなさそうなのに、一番心に刺さるセリフを聞いてしまった。

 それは多分、つまり……

「そーねぇ、浜崎ってかっこいいもんねぇ」

 とどめは友香の一言だ。

「普段は」

 深雪にだけ聞こえるような角度と音量で、友香はこっそり言い添えた。

 皆の言い含んだ内容を十分に解説していた。少しだけ揶揄うような、いたずらな目を向けている。

 三人は純粋に応援してくれているようだ。けれど、その内容に深雪は穏やかでいられない。

 そんなことは知っていた。和貴は素敵だ。

 以前は怖かったから彼の良さをちゃんと理解していなかっただけだ。

 わかった今では、自分にはもったいないことくらい、わかっている……。

 「しかも最近妙に可愛いいんだよね。そりゃ前からカッコ良くはあったんだけどさぁ」

「そうそう!なんか落ち着いたって言うのかなあ。親しめるんじゃないかっていうか……。前は怖いくらいだったんだけど最近ちょっと」

 そこで三名は、顔を見合せてにやっとする。

“最近”の和貴の雰囲気について、意見が一致した様子だ。
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