「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚

きぬがやあきら

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狩猟会

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「そうですね。私も非常に残念です。しかし我が国では慣例により女性は参加できないようなのです」

 クラウディオの面目を潰すほど駄々を捏ねてはいけない。

 レオノールなりに加減をしながら、チラリとクラウディオに強請るように視線を向ける。

「レオノールは私の妃、エルグランの代表として客人をもてなす大切な役目を担っておりますので。その点は君も理解しているだろう」

 クラウディオは無情に言い放ち、話を終わらせた。

 ワンチャン折れてくれるかな? と期待したが駄目だった。

 堅物はそんなに簡単に折れないから堅物なのだ。

「そうでした。それが私のお役目でしたのに、つい欲に駆られてしまいまして……」

 賛同者が現れたからなんとか押せるかと期待したが、あまり食い下がっては迷惑だ。

 レオノールはアッサリと退いた。

 ただし傍目には、かなり、しょぼんとうなだれていたけれども。

「左様でございますか。ならば、仕方ありません。確かに社交は大切な妃殿下のお役目でしょう」

 アルヴァロも納得したかのように見えた。

「……しかし、妃殿下は残念ながらお生まれになる国を間違えたようだ」

(ん?)

 だが、ただ引き下がりはしなかった。

 アルヴァロは昨日の友好的な態度から一変して、やれやれと、皮肉とも取れる口調で言い放った。

「我がノーキエ王国であれば、男女の隔てなく狩りに参加できます。能力のある者が、相応しい場で能力を発揮する。それはごく自然な理のはずです。社交が得意な者は他にもいるでしょう。無理やり捻じ曲げては世の損失です」

 しかし、目の輝きにやましさはない。

 本心からの言葉のようだ。

「……我々は異なる文化で生きているのです。我が国の慣わしを否定しないで頂きたい。主張の押し付け合いは諍いの元だ」

 クラウディオは挑発に乗らず、正面からの口論を避けようとした。

「そうですね。では、貴国の慣習に則って、申し入れます。この狩猟会で私が優勝した暁には、妃殿下のもてなしを受ける栄誉に預かりたい。それならば妃殿下の職務からは外れませんが、いかがですか?」

 だが、アルヴァロは言葉尻を捉えて追い縋った。

 別に優勝などせずとも、レオノールは使節団をもてなす役割を担っている。

 それを改めて申し入れたいとは、どのような意味だろう。

「殿下が同盟国の王子だということは存じていますが、貴方はレオノールに何をさせようと仰るのか。仮にも一国の王太子妃を高級娼婦クルチザンヌ扱いしようとでも?」

 クルチザンヌ。

 クラウディオの上品な口から飛び出した、過激な単語にドキリとする。

 クルチザンヌと言えば貴婦人さながらの高級娼婦で、知性と教養で愉しませる接待のプロだ。

 たまに、男性のお相手をすることもある。

 だが、淡々とした口調から察するに、クラウディオは単に、王族に労働の意味で”接客”の仕事を強いるのかとたしなめたいのだろう。

 たしなめるにしては、この単語は強烈過ぎるけれども。
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