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蜂の光明
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「いや、レオが見慣れない格好をしてるから、なんかちょっと、戸惑うっていうか……」
「何それ? 似合ってない? これでも1ヶ月、みっちり特訓したのよ。クラウディオ様がね、私に先生を呼んでくれて」
「知ってる。昨日も大広間で見かけたしね。サマになってて驚いたよ。いきなり無茶振りされるのは勘弁だったけど」
「ごめんね。でも合わせてくれて助かった~。ありがとう! あの時さ、アルヴァロ王子がいきなり、クラウディオ様に飲み比べをしようとか言い出して、どっちが勝っても角が立つでしょ? だからどうにかして気を逸らそうと思ったわけよ。それで……あっ、勝負。せっかく人が上手く納めようと思ってたのに、あの人結局勝負を受けちゃったの。今度は狩りでどっちが大物を仕留めるかって」
昨夜、祝宴が催された大広間でセレスの姿を見つけ、あの演出を思いついた。
セレスは水の魔法を得意としている。
いい塩梅に収拾させてくれるだろうと丸投げしてみたが、素晴らしい仕上がりにしてくれた。
懐かしい友とのやり取りで気が緩んだのか、次から次へと話題が溢れて止まらない。
日常生活では他者に明かせない思いを、意外にも溜め込んでいたんだなあと、自分でも驚く。
「それでか。狩りなんて余興なのに、団長は随分と本気モードだったもんね」
「クラウディオ様を見た? それが酷いんだよ、クラウディオ様が勝ったら明日の視察から私を外すって言うのよ」
レオノールとしては自分の身に起きた悲劇に共感して欲しくて話題を投げかけた。
「そりゃあ、ね。クラウディオ様からしたら……」
けれどセレスはわずかに眉根を寄せたものの、困ったような笑みを浮かべるだけで、同意してくれない。
聞き上手のセレスならきっと一緒に憤慨してくれると思ったのに。
”酷いと思うでしょ? ね?”
不満なレオノールはもう一度共感を求めようとしたが、開いた口から声は出なかった。
鼓膜をわずかに震わせた足音に、違和感を覚えたからだ。
レオノールは耳がいい。
どれくらいの距離があるか、どういった類の足音なのかを目を閉じて瞬時に分析する。
そうすれば、どうして違和感があるのかを突き止められる。
ドドッ、と重量感のある足音に、複数の蹄、狩猟犬の足音が混じっている。
合間に叫ぶような声も響く。
(4人? いやそれ以上。1キロ、800、700メートル、早い。こちらへ向かってる――)
狩猟会なのだから、狩猟犬は獲物を追い立て、狩人はそれを追う。
だが、耳に入る雑音は、獲物を追うような余裕のあるものではなかった。
規則性はなく、バラバラで、むしろ追い立てられているようだ。
違和感を異常だと確信し、目を開ける。
セレスも異変を察知して、レオノールの分析を待っていた。
「タチの悪い獲物を追ってるみたい。広場へ突っ込む前なら、応戦しても良いよね」
「りょーかい。ワルい顔してんね、勇者様」
室内にこもってばかりだったし、狩りからも外されて、運動に飢えていた。
レオノールがペロリと舌なめずりするのを見て、セレスは苦笑する。
踏み出して右足から3歩。
一気にフルスピードまで加速した。
「何それ? 似合ってない? これでも1ヶ月、みっちり特訓したのよ。クラウディオ様がね、私に先生を呼んでくれて」
「知ってる。昨日も大広間で見かけたしね。サマになってて驚いたよ。いきなり無茶振りされるのは勘弁だったけど」
「ごめんね。でも合わせてくれて助かった~。ありがとう! あの時さ、アルヴァロ王子がいきなり、クラウディオ様に飲み比べをしようとか言い出して、どっちが勝っても角が立つでしょ? だからどうにかして気を逸らそうと思ったわけよ。それで……あっ、勝負。せっかく人が上手く納めようと思ってたのに、あの人結局勝負を受けちゃったの。今度は狩りでどっちが大物を仕留めるかって」
昨夜、祝宴が催された大広間でセレスの姿を見つけ、あの演出を思いついた。
セレスは水の魔法を得意としている。
いい塩梅に収拾させてくれるだろうと丸投げしてみたが、素晴らしい仕上がりにしてくれた。
懐かしい友とのやり取りで気が緩んだのか、次から次へと話題が溢れて止まらない。
日常生活では他者に明かせない思いを、意外にも溜め込んでいたんだなあと、自分でも驚く。
「それでか。狩りなんて余興なのに、団長は随分と本気モードだったもんね」
「クラウディオ様を見た? それが酷いんだよ、クラウディオ様が勝ったら明日の視察から私を外すって言うのよ」
レオノールとしては自分の身に起きた悲劇に共感して欲しくて話題を投げかけた。
「そりゃあ、ね。クラウディオ様からしたら……」
けれどセレスはわずかに眉根を寄せたものの、困ったような笑みを浮かべるだけで、同意してくれない。
聞き上手のセレスならきっと一緒に憤慨してくれると思ったのに。
”酷いと思うでしょ? ね?”
不満なレオノールはもう一度共感を求めようとしたが、開いた口から声は出なかった。
鼓膜をわずかに震わせた足音に、違和感を覚えたからだ。
レオノールは耳がいい。
どれくらいの距離があるか、どういった類の足音なのかを目を閉じて瞬時に分析する。
そうすれば、どうして違和感があるのかを突き止められる。
ドドッ、と重量感のある足音に、複数の蹄、狩猟犬の足音が混じっている。
合間に叫ぶような声も響く。
(4人? いやそれ以上。1キロ、800、700メートル、早い。こちらへ向かってる――)
狩猟会なのだから、狩猟犬は獲物を追い立て、狩人はそれを追う。
だが、耳に入る雑音は、獲物を追うような余裕のあるものではなかった。
規則性はなく、バラバラで、むしろ追い立てられているようだ。
違和感を異常だと確信し、目を開ける。
セレスも異変を察知して、レオノールの分析を待っていた。
「タチの悪い獲物を追ってるみたい。広場へ突っ込む前なら、応戦しても良いよね」
「りょーかい。ワルい顔してんね、勇者様」
室内にこもってばかりだったし、狩りからも外されて、運動に飢えていた。
レオノールがペロリと舌なめずりするのを見て、セレスは苦笑する。
踏み出して右足から3歩。
一気にフルスピードまで加速した。
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