「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚

きぬがやあきら

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騎士団の救出

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 すると分厚い掌が、ガシッとクラウディオの腕を掴んだ。

「ぶつかりますよ。回復するまで案内します」

「ああ、助かる……」

 声の主はブルネンだ。目を擦るのも憚られ、ありがたく案内を受けて歩く。

 多少気まずくはあったが、言葉少ない中でもブルネンの誠実さは伝わった。

 ーーだが、歩き始めて間もなく、突然足元が大きく揺らいだ。

 ドンドン、と地鳴りとともに足元が震え、天井からは砂粒がパラパラと降り注ぐ。

「なんだ?」

「さあ? 奴さんが勘付いたかもしれませんね。とっととこちらの用事を済ませないと」

 コールヴァンが、変わらぬ口調で推察する。

 彼はとことん、悠揚迫らざる態度で間断をあけずに進み、すぐに目標を探り当てた。

「誰だ、あんたらは……! ノーキエ人じゃないな!?」 

 短い会話の合間に、前方からカシャン、と金属がぶつかるような音が聞こえた。

「おーおー、俺たちを知らないのか? まあ若造なら仕方ない。俺たちは……」

「その声……エヴァ・トランセンか」

 視力もまだほとんど戻らず、最後尾にいる位置取りも手伝って状況は全く見えない。

 だが声に聞き覚えがあった。

 クラウディオが呟くと、正面から大勢の気配が殺到した。

「クラウディオ様!? 僕です、エヴァです! 覚えていてくれたんですか!」

「団長がここに? まさか、助けに来てくれたのか?」

「おいっ、セレスも一緒だぞ!」

 騒ぎ立てているのは、行方不明と報告され、ノーキエに囚われた騎士たちだった。

「チェッ、何だぁ。この俺を知らないで、セレスやクラウディオ様ばっかり人気なのかよ」

「同じ騎士団なんだから当たり前だろ。それより早く鍵を開けてよ」

 コールヴァンの戯言をセレスが一蹴する。

 ブツブツ言いながらもコールヴァンは牢の扉を解錠したらしい。

 ガシャン、と固い鉄の塊が落ちる音がして複数の足音が駆けてくる。

 まずは指揮官のクラウディオが皆を落ち着かせ、指示を出さねばならない。

 瞼を開くと、どうにか薄ぼんやりとではあるが景色を捉えることができた。

 コールヴァンの掲げるステッキの先の光は、初めの頃の小さな灯りに戻っている。

 洞窟内の廊下には松明が灯り、先が見えないほど長く続き湾曲していた。

「クラウディオ様!」

「お前達……! 全員無事か?」

 薄闇に、鎧姿の集団が浮かび上がる。

 そこに居並ぶ騎士たちは、確かにクラウディオが選抜し、送り出した者たちだった。

 クラウディオの姿を見るなり、すがるように寄ってくる。

 クラウディオは安心させるようにうなずいて、彼らの肩を軽く叩いた。

「一緒にエルグランを出発した護衛隊の30人中、8人が行方不明です。それ以外は皆この地下牢に……」

 1人はエルグランに帰り着いているから、実質の犠牲者は7人だ。

 全員を見渡すことはできないが、クラウディオは瞬時に把握した。

 騎士らに手を出さないとアルヴァロは宣言した。

 あれは本当だったようだ。

「しかし、エルネスト副団長が危険です! アルヴァロ王子に何かされたようで、それから意識が戻りません。呼吸はありますが……」
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