将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら

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プロローグ

約束

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「ルーカス、今度はいつ会える?」

 聖殿の奥にある、泉のほとりで二人はその身を隠していた。

 遠くから、二人を探す従者の声が聞こえる。

「今日は特別な日だったからね。しばらく会えないかもしれない。でも、必ず会いに行くよ」

「私たちは特別な家柄なんでしょう? どうして会いたい人に会えないのかしら。私、ルーカスとずっといっしょにいたい」

 迎えの者に見つかったら、二人は離れ離れにならなければならない。

 2人はこの日に出会ったばかりだったけれど、お互いの存在にかけがえのない想いを寄せていた。

 2人は互いに、シロツメクサで編んだ花の冠を頭に載せている。

 柔らかな春の草原に両足を投げ出して、繋いだ手に、亜麻色の髪を持つ少年はぎゅっと力を籠めた。

「僕もだよ、オリヴィエ。でも、それなら大丈夫。ずっと一緒にいられる方法があるよ」

「それは何? どうすればいいの?」

「オリヴィエが将来聖女になれば、僕たちはずっと一緒にいられる。歴代の王子は聖女を妻に迎える慣わしなんだ」

「聖女になると、ルーカスのお嫁さんになれるの?」

「そうだよ、オリヴィエ。だから、聖女を目指してほしい」

「……わかったわ! 私、聖女になるわ。ルーカスのお嫁さんにしてもらうために!」

「嬉しい、オリヴィエ。約束だよ、将来君は、僕のお嫁さんになるんだ」

「うん。約束……」

 幼き日のアルディア王国、第一王子、ルーカスはオリヴィエ・シルバーモントに口づけを贈った。

 そっと、触れるだけの、清らかな誓いだった。




 ***





 そんな、可愛らしい愛の誓いから、早7年の月日が過ぎた。

 空高く晴れ渡る秋晴れの吉日に、大聖堂には大勢の民衆が集まっていた。

 今日は3年に一度、13歳を迎えた女性を一堂に会し、聖女選定の儀が執り行われる祭典が行われる、生誕祭だ。

 聖堂には初代アルディア王国の聖女、アイリスの像が祀られており、一般市民にも開帳される。

 この日を心待ちにしていた人も多く、多くの都市から人が集まる。

 通りには華やかな装飾を施した出店が幾つも軒を並べ、あちらこちらで食べ物の良い匂いを漂わせている。

 オリヴィエは、聖堂の脇に設置されたテラスに腰かけて、物思いに耽っていた。

(いよいよ、この日が来たのね……)

 銀色の髪が風に揺れる。長い髪は緩く編み込まれていた。

 柔らかな眼差しと白い肌が、磨き込まれたガラスに映り込んだ。
 
 今日、オリヴィエは聖女に選ばれるだろう。

(そうすれば私は、ルーカスのお嫁さんになれるんだわ)

 今か今かと、その時を待っていた。幼い日に交わした約束を胸に抱いて。

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