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舞踏会の裏側
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そんな内情まで、どうしてハワードが把握しているのか。
なんてことはない。ハワードもその娼館に出入りしているからだ。
だからそこは、持ちつ持たれつ。通常は互いに見ぬふりをしている。
(……世の男性はこんなに色欲に支配されているのね。だからルーカスは私を叱ったんだ……)
見知らぬ男性の事情まではとんと存じ上げないが、オリヴィエは認識を改めざるを得ない。
ハワードの口から娼館の実態を知らされて、オリヴィエは頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けていた。
あの男の話だから、どこまでが本当かまで、わからないけれど……。
娼館の話が出て、ルーカスの表情は俄かに厳しくなった。
説明を受けなくても、それくらいはオリヴィエにもわかった。
各地から誘拐・或いは攫って来た聖女候補の娘――
養子縁組や聖女選定の前に集めて、行き場がなければどこで匿うのか。
その疑問の答えになる。
「レヴァン、お待たせしました」
オリヴィエは広間に戻る。
化粧直しに行っていた体を装って、帰り際に挨拶を交わす一団に加わった。
「そちらがゴーウェル様のフィアンセの方ね。私はグレアよ。もう少し早くお会いしたかったわ」
オリヴィエが不在でも、ルーカスはしっかりとグレアとフェルナンド子爵に接触を果たしていた。
「私もです。楽しい時間はどうして、こんなに過ぎるのが早いんでしょう……」
オリヴィエは自分も名乗り、微笑みかけた。
グレアは深紅の髪と薄青の瞳の華やかな美女で、胸元を大きく広げたドレスが色っぽい。
「では、馬車を待たせてあるので、我々はこれで。ごきげんよう、レディ」
フェルナンドたちはもう帰宅の直前だった。
引き留めるべきか迷ったが、ルーカスは涼しい顔で二人を見送ったので、それに倣う。
「さ、オズワルド夫妻にもご挨拶して、私たちも帰ろうか」
(えっ、もう?)
オリヴィエはぎょっとした。
確かに舞踏会はもう終盤だった。多くの招待客は少しずつ帰路についている。
だが、オリヴィエたちはまだ、決定的な証拠を見つけられていない。
「積もる話は、帰りの馬車でしよう」
促されたので、納得した。
ルーカスには考えがある。それは、ここでは話せないのだろう。
その件に関しては、一刻も早く解決に向けて動かなければならない。
だが……。
オリヴィエはオズワルド邸のアーチを潜り、ちらりと一度だけ屋敷を振り返った。
煌々とした灯りが、屋敷と庭園をぼんやりと闇の中に浮かび上がらせている。
これで、レヴァンシエルとレティーは終わり。
一晩だけの、儚い夢が終わった。
なんてことはない。ハワードもその娼館に出入りしているからだ。
だからそこは、持ちつ持たれつ。通常は互いに見ぬふりをしている。
(……世の男性はこんなに色欲に支配されているのね。だからルーカスは私を叱ったんだ……)
見知らぬ男性の事情まではとんと存じ上げないが、オリヴィエは認識を改めざるを得ない。
ハワードの口から娼館の実態を知らされて、オリヴィエは頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けていた。
あの男の話だから、どこまでが本当かまで、わからないけれど……。
娼館の話が出て、ルーカスの表情は俄かに厳しくなった。
説明を受けなくても、それくらいはオリヴィエにもわかった。
各地から誘拐・或いは攫って来た聖女候補の娘――
養子縁組や聖女選定の前に集めて、行き場がなければどこで匿うのか。
その疑問の答えになる。
「レヴァン、お待たせしました」
オリヴィエは広間に戻る。
化粧直しに行っていた体を装って、帰り際に挨拶を交わす一団に加わった。
「そちらがゴーウェル様のフィアンセの方ね。私はグレアよ。もう少し早くお会いしたかったわ」
オリヴィエが不在でも、ルーカスはしっかりとグレアとフェルナンド子爵に接触を果たしていた。
「私もです。楽しい時間はどうして、こんなに過ぎるのが早いんでしょう……」
オリヴィエは自分も名乗り、微笑みかけた。
グレアは深紅の髪と薄青の瞳の華やかな美女で、胸元を大きく広げたドレスが色っぽい。
「では、馬車を待たせてあるので、我々はこれで。ごきげんよう、レディ」
フェルナンドたちはもう帰宅の直前だった。
引き留めるべきか迷ったが、ルーカスは涼しい顔で二人を見送ったので、それに倣う。
「さ、オズワルド夫妻にもご挨拶して、私たちも帰ろうか」
(えっ、もう?)
オリヴィエはぎょっとした。
確かに舞踏会はもう終盤だった。多くの招待客は少しずつ帰路についている。
だが、オリヴィエたちはまだ、決定的な証拠を見つけられていない。
「積もる話は、帰りの馬車でしよう」
促されたので、納得した。
ルーカスには考えがある。それは、ここでは話せないのだろう。
その件に関しては、一刻も早く解決に向けて動かなければならない。
だが……。
オリヴィエはオズワルド邸のアーチを潜り、ちらりと一度だけ屋敷を振り返った。
煌々とした灯りが、屋敷と庭園をぼんやりと闇の中に浮かび上がらせている。
これで、レヴァンシエルとレティーは終わり。
一晩だけの、儚い夢が終わった。
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