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籠の外はどこ?
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アルダは婀娜っぽく、唇に指の背を当てて目を細めた。
「王女誘拐の依頼を受けたのは”カシタ”の連中だ。奴らはサレシド商会の子飼いで……お前が話を通したのはサレシド商会だろう?」
??
アルダが説明する内容が、いまいち頭に入って来ない。
だが、サレシド商会の名は知っている。
アシュレイの住まう離宮に出入りしている、宝飾品を取り扱う商人の屋号だ。
「カシタは王女一行が今日、宿泊する予定だった、メルンで襲撃をかける予定を立てていた。それを掠め取られたから、今頃、血眼になって探してるだろうよ」
「誰を?」
「王女様を」
「私を? サレシド商会の関係者が探しているの……?」
指を差されて、アシュレイはもう一度情報をまとめた。
アシュレイはキャヴスに協力を仰ぎ、面識のあるサレシド商会に「王女誘拐」を依頼した。
サレシド商会は協力関係にある組織”カシタ”とやらに誘拐行為を委託し、カシタは今日……、アシュレイの記憶が正しければ7月22日に、メルンでの襲撃を予定していた。
しかし、王女は前泊地で姿を消している……この男、アルダの手によって。
順を追っていると、徐々に不穏な気配が頭をもたげる。
(ん? となると? 私はサレシド商会の縁者が誘拐してくれるものと思っていたけど……)
「貴方は、誰?」
ごちゃごちゃ考えたが、結論が先に口を突いて出た。
アシュレイがアルダの指摘する誤解に、ようやく気付いたのがおかしくて、アルダはぷっと噴出す。
「俺はアルダだ」
「それは知ってる! そう呼ばれてたから……。貴方が何者か……貴方の素性を聞いているの」
「俺の素性に興味があるか?」
どこか含みのある言い方に、アシュレイは眉を寄せた。
「茶化さないで。今はふざけてる場合じゃないでしょう」
「ちょっとアンタ……!」
アミールが噛みつくような声をあげた。
「口の利き方に気を付けなさい。アルダ様を何だと」
「アミール」
アルダが低く叱責すると、アミールは口を噤んだ。
「2人とも外に出てろ」
「アミール、行こう……」
シャルに促されて、アミールは渋々部屋を去った。
益々、アルダの立場に疑問が募る。
「俺はルドレール子爵家の三男坊だ。と言っても名ばかりの没落貴族だがな。それで、こんな風に質の悪い犯罪にも手を染める」
アルダの口調は軽いが、目は笑っていない。
「じゃあ、貴方はサレシド商会とは無関係に、私を誘拐したの? 何のために?」
「金のためだ。決まってる」
先ほどまではアシュレイを庇うような態度だったのに、急に突き放された気がした。
「王女誘拐の依頼を受けたのは”カシタ”の連中だ。奴らはサレシド商会の子飼いで……お前が話を通したのはサレシド商会だろう?」
??
アルダが説明する内容が、いまいち頭に入って来ない。
だが、サレシド商会の名は知っている。
アシュレイの住まう離宮に出入りしている、宝飾品を取り扱う商人の屋号だ。
「カシタは王女一行が今日、宿泊する予定だった、メルンで襲撃をかける予定を立てていた。それを掠め取られたから、今頃、血眼になって探してるだろうよ」
「誰を?」
「王女様を」
「私を? サレシド商会の関係者が探しているの……?」
指を差されて、アシュレイはもう一度情報をまとめた。
アシュレイはキャヴスに協力を仰ぎ、面識のあるサレシド商会に「王女誘拐」を依頼した。
サレシド商会は協力関係にある組織”カシタ”とやらに誘拐行為を委託し、カシタは今日……、アシュレイの記憶が正しければ7月22日に、メルンでの襲撃を予定していた。
しかし、王女は前泊地で姿を消している……この男、アルダの手によって。
順を追っていると、徐々に不穏な気配が頭をもたげる。
(ん? となると? 私はサレシド商会の縁者が誘拐してくれるものと思っていたけど……)
「貴方は、誰?」
ごちゃごちゃ考えたが、結論が先に口を突いて出た。
アシュレイがアルダの指摘する誤解に、ようやく気付いたのがおかしくて、アルダはぷっと噴出す。
「俺はアルダだ」
「それは知ってる! そう呼ばれてたから……。貴方が何者か……貴方の素性を聞いているの」
「俺の素性に興味があるか?」
どこか含みのある言い方に、アシュレイは眉を寄せた。
「茶化さないで。今はふざけてる場合じゃないでしょう」
「ちょっとアンタ……!」
アミールが噛みつくような声をあげた。
「口の利き方に気を付けなさい。アルダ様を何だと」
「アミール」
アルダが低く叱責すると、アミールは口を噤んだ。
「2人とも外に出てろ」
「アミール、行こう……」
シャルに促されて、アミールは渋々部屋を去った。
益々、アルダの立場に疑問が募る。
「俺はルドレール子爵家の三男坊だ。と言っても名ばかりの没落貴族だがな。それで、こんな風に質の悪い犯罪にも手を染める」
アルダの口調は軽いが、目は笑っていない。
「じゃあ、貴方はサレシド商会とは無関係に、私を誘拐したの? 何のために?」
「金のためだ。決まってる」
先ほどまではアシュレイを庇うような態度だったのに、急に突き放された気がした。
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