王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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アルダシール

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 アミールはアルダシールを宥めようと懸命に弁明を重ねたが、逆効果だった。

 ざわり、と総毛立つほどの不快に包まれる。

「シャルは、男だ」

「えっ、あっ、でも、……シャルなら、大丈夫でしょう」

 アルダシールは怒りのあまり、こめかみに青筋を立てた。

 言葉の途中でアミールの胸元を掴んで押し飛ばす。

 と、その勢いで後ろに倒れこむ。

 尻もちをついたまま怯えた様子を見せたが、アルダシールが薄く口角を上げると、アミールもまた釣られるように愛想笑いを浮かべた。

「シャルなら大丈夫?」

「シャルはアルダ様も知っての通り、あの性格ですから」

「そうか。お前がそう言うならそうなんだろうな」

 当然ながら、アルダシールの目は笑っていない。

 浮かべているのはアミールが必死に言い募る様を嘲笑う笑みだけだった。

 急激に心が冷える。

 アルダシールは冷笑を浮かべたまま、脅すように顔を覗き込んだ。

「服を脱げ」

「えっ、何で、そんな、急に」

 アミールは僅かに、抵抗の意思を見せた。

 少し脅せば命令に従っただろう。

 だが、待つのも面倒で、ワンピースの縫い目を掴んで、左右に引き裂いた。

「きゃぁああっ! アルダ様……っ、何を」

「全部だ。むしり取られたくなければ脱げ」

 裂いたワンピースを放り投げる。

 アミールは信じられないと表情で訴えながらも、這うように逃げ惑った。

「やめてください、こんな……酷い!」

「酷い? 服を失うだけだろう。お前のしたことと同じだ。”大丈夫”だ」

「やっ! ごめんなさい。アシュレイにしたこを怒ってるんでしょう? それなら謝りますから……やめて!!」

 今度は自ら脱ぐ意思はないと確信して、残った下着も無理矢理に剥ぎ取った。

 身ぐるみはがされて身を縮めるアミールを横目に、アルダシールは剥がした服を拾い集める。

「……こんなの、いくらなんでも、あんまりです! 夫人に、訴えるから……っ、アルダ様に乱暴されたって」

 アミールは屈辱と恐怖に全身を戦慄かせながら、涙を零す。

「その姿で邸に駆け込めるなら、やってみろ」

 アルダシールはアミールの訴えを鼻で嗤った。

「解雇されて困るのは母親とお前ら家族だろう。だが、丁度いい。お前の顔はもう見たくない。2度と敷地に足を踏み入れるな」

「うっ……そんな」

 アミールは俯いたまま、土を掻きむしった。

 ぼたぼたと土に涙が零れ落ちたようだが、同情心は一切湧かない。

 アルダシールは踵を返し、アシュレイのいるだろう泉へ足を向ける。

 アミールが服を奪ってから、どれくらい時が経っているのだろう。

 着るものがなく、途方に暮れているに違いない。

 それとももう、シャルに助けを求めているだろうか……?
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