王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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新しい国

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「だろう? ……マクシムさんの時と、全然違うもんな。あん時は勘違いしたけど」

 ふふっと、ジェニスは茶化すように笑う。

「あの時のことは……気にするなって、言ってくれたのに」

「はは。そんな風にアシュレイも赤くなるんだな。いいじゃんか、ごちゃごちゃ考えず、もう殿下に全部任せちゃえば。……あ、でも、流石に大怪我してるから、今すぐどうこうはできないだろうけど」

「ちょっと、ジェニスさん! それはお言葉が過ぎますよ」

「えぇ? いいでしょ、これくらい」

「よくありません。アシュレイ様は未婚のレディーなんですから! さあ、もう交替いたしましょう。冷めないうちにお食事を召し上がっていただかなくては」

「そんな、今まで仲間だったのに」

 ジェニスの質の悪い冗談は、マリアナには通じなかった。

 マリアナはしずしずとジェニスの脇に移動して、その背中を押し始めた。

「わ、わかったよ。自分で歩くって。じゃあ、アシュレイ、またな」

 ジェニスは苦笑いを浮かべながら手を振り、大人しく部屋を出て行った。

「もう、男の人は、これだから」

 マリアナは腰に手を当て、怒っている。

「と、ジェニスさんを責めてばかりいられませんね。私も差し出口をしてすみません。でも、先ほどのお2人の仲睦まじいご様子は、傍から見ていても胸が温かくなるようでした。ですからどうぞ、御身を軽くお考えになりませんように」

「ええ……ありがとう」

 マリアナの心遣いに、今度は素直に微笑んだ。

 彼女はアルダシールを支持する医師の、助手だ。

 これまでもアルダシールを慕い、支えとなってくれていたのだろう。

 アシュレイはベッドに身を起こして、トレーを受け取った。

 歩き難いだけで、身体が動かせないほどではない。

 用意された食事は、刻んだ野菜に豆の入ったスープと、パンだった。

 根菜の滋養と程よい塩味が口内に広がる。

 スープを一口、スプーンで味わった後は、器に直接口をつけた。

 ごくんと、喉を鳴らして飲み込めば、温かく胃の腑を満たしていく。

「あ~、美味しい。染みるわぁ」

 アシュレイが噛みしめるように呟くと、マリアナがクスリと微笑んだ。

「アシュレイ様は、本当に飾らないお人柄なんですね」

「ごめんなさい、はしたなくて。でも、これが本性なの」

 アシュレイは舌を出して、肩を竦めた。

「いえ、素直で可愛らしいなと思っただけですよ」

「そう言ってもらえると助かるわ。いつも猫を被っていたら疲れちゃうもの。……ねえ、このご飯、皆の分は? 厨房は無傷だったの?」

「無事だったようですね。念のため、残されていた食料や水には手を付けず、持ち込んだ分でこしらえました。ちゃんと人数分ありますから、心配しないでください」

 敵に占拠された時のため、城内の食料や飲み水に細工をしている可能性もある。

 内戦でそこまでするかどうかは、判断が難しいだろうと考えていたが、アルダシールたちはちゃんと備えていたようだ。
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