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王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
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即位式は国中の人々が注目を集める中、厳かに執り行われた。
聖堂に参列できるのは一部の貴族に限られる。そのため、多くは新しい国王のお披露目を広場で待ち焦がれた。
やがて王冠を頭上に戴いたアルダシールがバルコニーに姿を現わすと、広場は歓声に沸いた。
「国王万歳!」
「新しき王の誕生だ!!」
「アラウァリア万歳!」
国民たちは、皆一様に晴れやかな表情を浮かべて新王の誕生を祝った。
そんな歓声に応えながら、アルダシールは堂々たる態度で民衆の前で弁舌を振るい、国王としての覚悟を宣言した。
若き王ながら威厳に満ちた姿に、人々はたちまち熱狂した。
「アルダシール国王万歳!!」
「我らがアラウァリアに栄光あれ!」
歓声や指笛の飛び交う嵐の真っ只中で、アシュレイは国民に手を振るアルダシールを見守った。
新たな国王を歓迎する民の姿に、心から安堵する。
新しい国家の根幹をと、以前から構築に力を注いでいたが、いよいよこの日から、この歓声に応える日が来た。
「おめでとう、アルダ」
小さな呟きは、人々の歓声に搔き消される。
「国王陛下、万歳!!」
だがその刹那、アシュレイの声に呼応するかのように一際大きく、わぁっと歓声が沸き上がった。
歓呼の声が止まぬ中、即位式は滞りなく終わりを告げる。
その日の晩には、式典に出席した賓客を招いて祝賀の宴が催された。
王都の民にも酒や馳走が振舞われ、王城は祝いの空気に包まれた。
アシュレイもマクシムに手を引かれて宴の席へ案内されたが、主役のアルダシールの元へは客人が、ひっきりなしに挨拶にと訪れていた。
「まあ、とっても忙しそうね。あっちを手伝ってあげたほうがいいんじゃない?」
マクシムは新王の侍従長として多忙を極めている。
そんな忙しい合間を縫って宴席にアシュレイを案内してくれるのも、アルダシールに依頼されたからだろう。
「いえ、殿……いや、陛下にアシュレイ様のことを頼まれましたから。アシュレイ様も主役の一人なんですよ」
大勢が集うパーティでは、座席を確保するスペースがないため、ほとんどが立食のスタイルを取っている。
クリスタル製のシャンデリアが等間隔に並ぶ大広間では、祝いの席に相応しく、テーブルに豪勢な食事が並び、楽団による華やかな音楽が奏でられている。
「また、お上手ね。今日の主役はアルダよ。私のことは気にしないで行ってあげて。とっても素敵だったと伝えてよ」
私は先に食事を頂くから、とアシュレイはマクシムの背中を押す。
マクシムは申し訳無さそうにしながらも、アルダシールの元へと足を向けた。
アシュレイはそれを見送ると、壁際で独り食事を始めた。
今では城の使用人や騎士らと、気兼ねなく交流している。
昔よりずっと楽しく過ごさせてもらっているのですっかり忘れていたが、賓客や貴族ばかりの祝宴では、共に過ごす知り合いがいない。
ここずっと、国事で奔走していた事情もあり、アラウァリアでの人付き合いは皆無だ。
……とはいえ、セレンティアにいた頃は孤立した立場だったので、むしろ数段マシとも言えた。
聖堂に参列できるのは一部の貴族に限られる。そのため、多くは新しい国王のお披露目を広場で待ち焦がれた。
やがて王冠を頭上に戴いたアルダシールがバルコニーに姿を現わすと、広場は歓声に沸いた。
「国王万歳!」
「新しき王の誕生だ!!」
「アラウァリア万歳!」
国民たちは、皆一様に晴れやかな表情を浮かべて新王の誕生を祝った。
そんな歓声に応えながら、アルダシールは堂々たる態度で民衆の前で弁舌を振るい、国王としての覚悟を宣言した。
若き王ながら威厳に満ちた姿に、人々はたちまち熱狂した。
「アルダシール国王万歳!!」
「我らがアラウァリアに栄光あれ!」
歓声や指笛の飛び交う嵐の真っ只中で、アシュレイは国民に手を振るアルダシールを見守った。
新たな国王を歓迎する民の姿に、心から安堵する。
新しい国家の根幹をと、以前から構築に力を注いでいたが、いよいよこの日から、この歓声に応える日が来た。
「おめでとう、アルダ」
小さな呟きは、人々の歓声に搔き消される。
「国王陛下、万歳!!」
だがその刹那、アシュレイの声に呼応するかのように一際大きく、わぁっと歓声が沸き上がった。
歓呼の声が止まぬ中、即位式は滞りなく終わりを告げる。
その日の晩には、式典に出席した賓客を招いて祝賀の宴が催された。
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アシュレイもマクシムに手を引かれて宴の席へ案内されたが、主役のアルダシールの元へは客人が、ひっきりなしに挨拶にと訪れていた。
「まあ、とっても忙しそうね。あっちを手伝ってあげたほうがいいんじゃない?」
マクシムは新王の侍従長として多忙を極めている。
そんな忙しい合間を縫って宴席にアシュレイを案内してくれるのも、アルダシールに依頼されたからだろう。
「いえ、殿……いや、陛下にアシュレイ様のことを頼まれましたから。アシュレイ様も主役の一人なんですよ」
大勢が集うパーティでは、座席を確保するスペースがないため、ほとんどが立食のスタイルを取っている。
クリスタル製のシャンデリアが等間隔に並ぶ大広間では、祝いの席に相応しく、テーブルに豪勢な食事が並び、楽団による華やかな音楽が奏でられている。
「また、お上手ね。今日の主役はアルダよ。私のことは気にしないで行ってあげて。とっても素敵だったと伝えてよ」
私は先に食事を頂くから、とアシュレイはマクシムの背中を押す。
マクシムは申し訳無さそうにしながらも、アルダシールの元へと足を向けた。
アシュレイはそれを見送ると、壁際で独り食事を始めた。
今では城の使用人や騎士らと、気兼ねなく交流している。
昔よりずっと楽しく過ごさせてもらっているのですっかり忘れていたが、賓客や貴族ばかりの祝宴では、共に過ごす知り合いがいない。
ここずっと、国事で奔走していた事情もあり、アラウァリアでの人付き合いは皆無だ。
……とはいえ、セレンティアにいた頃は孤立した立場だったので、むしろ数段マシとも言えた。
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