王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

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「まあ、やっぱりそうだったわ。あまりに場違いだから、見間違えたかと目を疑ったわ。どうして貴女がこのような場にいるのです?  前国王の後宮はとっくに散じたと聞いているわ」

 後半は口元を扇で覆って、アシュレイにだけ聞こえるように耳元で囁く。

 リックは”継母はは”の言葉に、相手の身分を察したらしい。すぐに一歩身を引いた。

 今日は親交のある国の要人や貴族が招かれている。

 セレンティアの王妃であるキューベルルが居合わせても不思議はない。

「こちらへは、お父様とご一緒に?」

「いいえ、陛下はご多忙でいらっしゃるから、私とシュナイゼルで参りましたのよ。ちょうど今アラウァリア国王にご挨拶申し上げていたの。シュナイゼルは新国王の覚えが良いようで、まだ話し込んでいるのよ」

 ほほほ、とキューベルルは声高らかに笑う。

 シュナイゼルはキューベルルの長男で、アシュレイの腹違いの弟だ。

「皆様ご健在のようで、ようございました。では、私はこちらの方とお話がありますので、これで……」

「まあ、相変わらず無作法だこと。お待ちなさいな」

 キューベルルはアシュレイの行く手を阻むように立ちはだかった。

「私の質問が聞こえなかったのかしら? 先王の妻であった貴女がなぜここにいるかと聞いているのよ。夫が亡くなったのに、王城に居座るなんて、図々しい行いよ。育ちを疑われてしまうわ」

 アラウァリア国王の崩御の報せは、内戦収束からほどなく各地へ広まった。

 それでもセレンティアからは何の音沙汰もなかったし、当然、アシュレイからも便りを送らなかった。

「事情があり、今はこちらでお世話になっております。お継母様がなさるような心配はありません」

 アシュレイはキューベルルの目を避けるようにして、横をすり抜けようとした。

 アシュレイの身の振りは、いずれキューベルルも知るところになるだろう。

 だが、それをこの場で、弁明の材料にするわけにもいかない。

「お待ちなさいと言ったでしょう。遠路はるばる、祝辞に訪れた賓客を蔑ろにして良いと思っているの? 貴女はもう国王の妻でも王女でもないのよ。立場を弁えなさい」

 キューベルルは手を伸ばして、アシュレイの行く手を再び阻んだ。

「……お継母様はいったい、私に何をお望みなのです? 他国に嫁に出した娘など、他人も同然でしょう」

 腕を掴まれて、アシュレイはキューベルルをキッと睨んだ。

 アラウァリアの客人には違いない。だが、もう今までのように言いなりになる気もない。

 キューベルルはアシュレイの言にカチンときたらしく、扇を持つ手に力が籠った。

「久しぶりの再会だと言うのに、憎らしい女ね。萎らしくしていれば、王女の身分に戻してやることも考えてあげるのに」

「戻してやるですって?」

 ぞっと怖気が走って、アシュレイは肩を震わせた。
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