王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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第2部 ハネムーン!?

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 ようやく国内が安定してきた時期を見計らうかのような招待だったから、結婚式典への出席を承諾した。

 予定は往復の道のりも含めて10日間。

 国王夫妻の移動には当然、万全の警備態勢が取られ、紋章の入った化粧馬車は護衛の騎士団に囲まれている。

 だから正真正銘の意味で2人きりなどあり得ないのだが、アルダシールはマクシムとの協議の末このお忍び行動を勝ち取っていた。

 2人は今、いつかのように裸馬に跨って、旅人としてセレンティアの王都へ向かっている。

 数時間、観光を楽しんだら塞外で待機している馬車と合流して、改めて王都へ入都する手筈だ。

「2人で観光できるなんて、夢みたい。よくマクシムを説得できたわね」

「マクシムは俺の放浪歴をよく知っているからな。心配の必要がないとわかっているんだろう。だから……」

 だからと続けて、アルダシールが瞳を伏せた。

 こうする時は、キスを強請る合図だと承知している。

 過去にも一度だけ、2人で観光をした記憶がある。

 出会ったばかりの頃、アシュレイの下着を求めて買い出しに出かけた。

 と言うのも、使用人に衣服を処分されたことがきっかけだったのだが、散々な目に遭った割には楽しかったのを覚えている。

 その時にはアルダがまさかアラウァリアの王子で、こんな風に恋に落ち、結婚までするとは想像もしていなかった。

 生きるために一時いっとき、手を借りるだけのつもりだったのに……。

 初々しい恋心を思い出しながら、アシュレイはそっと唇を差し出した。

 憚る人目もなく、馬上で口付けをかわす。

「なんだか、出会った頃を思い出しちゃうね……」

 ロマンティックな回想に浸りながら、アシュレイはアルダシールの逞しい胸に額を寄せた。

 アルダシールもそんなアシュレイの髪に、愛しむように唇を落とす。

 草原には、遥か先に城下街を望むだけで、周囲には人影もない。

 久方ぶりの開放感と甘いひと時に、存分に浸る。

 だが、アシュレイは騙されていた。

 初めての外交に、やはりどこかで舞い上がっていたのかもしれない。

 実のところ生真面目なマクシムが、国王夫妻のお忍びを許すはずがなかった。

 こうしている今も、マクシムを含む3人の騎士が、アシュレイが気づかないくらいの遠目から護衛としてこっそりと後をつけていた。

 しかして、それをアシュレイが知るのは、もうしばらく先の話だった。
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