王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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競い合い

束の間の休憩 2

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 次の課題が何であろうと、執念で勝ち残ってみせる。

 そう、アシュレイは決め、再び戦場へと戻った。

 暫定20名の1次通過者はローネッドに付き従って移動した。

 広場から脇道に逸れ、行き当たった沢に沿って、更に森の奥へと分け入った。

 皆どこへ連れて行かれるのかと訝しみ、中には不満をこぼす連中もいた。

 それにしても、この”競い合い”、名目は大層立派だが、内容はいかがなものか。

(政略結婚も大概だとは思うけど、この世界はそういうところがまだ全時代的よね。女性側の意見はないに等しいというか……)

 参加者を始め、勝ち残った者の中に、あのエステル姫に似合いの男などいないような気がする。

 これで勝者と娶せられるなんて、正直なところ、エステルの身の上には同情しか抱かない。

 特に三番手についていたあの大男は、口が悪く、悪態ばかりついて不快極まりない。

 アシュレイから見れば、キャヴスやマクシムのほうがよっぽど良い男だ。

 今更ながら、勢いに任せず2人にも参加を促せば良かったかしら?

 などと不埒な思考が浮かび始めたのは、体力が回復した証拠だろうか。

 移動は手間でも、頭を冷やすにはちょうど良い間だ。

 最後尾から、じっくりと候補者たちを観察する。

 目が合いそうで直視できないが、先頭はアルダシールだ。

 その後ろから、何かと煩わしい、声の大きな例の大男。

(アルダはやっぱり、すごい。あれだけ走っても涼しい顔をしてる)

 アルダシールはその身に宿す自信からか、どこにいても一際堂々とし、輝いて見える。

 精悍な後ろ姿は頼もしく、エステルでなくても惹かれない女子などいないのではなかろうか。

 アルダシールの裏切りを許せないと思う反面で、エステルを恨みきれない自分もいる。

(いいえ、今は余計な感情は捨てるのよ。でなければ勝てない。この中で最も手強いのは、アルダなんだから)

 アシュレイはブンブンと頭を振ってから、マスクを後頭部で縛り直した。

「さあ、ここが次の舞台だ」

 アシュレイが心を乱しつつ、アルダシールの背中を睨みつけていると、ローネッドが振り返った。

「え? ここは……」

 森は唐突に終わりを告げ、アシュレイたちの目の前には切り立った崖が聳え立っていた。



 ***



(ここで、次は何を……)

 ユリウスは競い合いのギャラリーたちの目につかぬように、森に身を隠しながら一行を追っていた。

 心臓がまだバクバクと高鳴っている。

 アシュレイと名乗る女性が、婚約者の目論見を破るためにユリウスになり代わり競い合いに出場する。

 そのために名前を貸して欲しい。

 そんな突拍子もない依頼を承諾したのは、出場しても無意味だと考えていたからだ。



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