王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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恋心 

マクシムの反抗 1

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 マクシムは茂みを飛び出すと、アルダシールの前に躍り出て跪く。

「陛下! 私です。アシュレイ様をお連れするため、シュナイゼル殿下に協力を仰いだのは、私なのです」

「マクシム。俺はお前に、何と指示をした? 俺の無事を説き、アシュレイを留めろと指示をしたはずだ」

 身を潜めているマクシムの存在も織り込み済みだ。

 狼狽える様子もなく、アルダシールは淡々と追求した。

「ご指示は確かに、頂戴しました。しかし、お気づきでしょうが、アシュレイ様は既に陛下とエステル様の密会を目撃されていました。その上で陛下のご不在をお知りになり、大変な衝撃を受けておいででした。ですので」

 これ以上の混乱は避けようと、マクシムは逆らわず、ありのままを報告した。

「今の話は。マクシム殿は、陛下のご出発をご存知だったのですか? 競い合いに参加すると知っていて、黙っておられたので?」

 キャヴスはマクシム同様に、跪いたまま頭を垂れていたが、顔をくるりと90度捻って、マクシムに視線を注ぐ。

 キャヴスを庇うため姿を現したのに、逆にキャヴスに噛みつかれてしまった。

「このような催しに参加されるとまでは、知りませんでした。アシュレイ様を留めよと指示を受けただけで」

「何食わぬ顔で貴殿まで、アシュレイ様を欺いていたのですか。なんとお気の毒な」

 頼むからキャヴス卿は黙っていてくれと願うも虚しく、キャヴスはマクシムを非難した。

 違う、確かに書き置きの件は黙っていた。だが、私はアシュレイ様を欺いてなどいない。

「それも含めて留めおけと記した。お前は一から十まで指示をされないと分からないのか? もっと優秀な人間だと思っていた」

 ただでさえ、キャヴスから謂れなき非難を受けたのにアルダシールに冷たく言い放たれ、ぐさっと自尊心を抉られる。

 マクシムはアルダシールを主人と崇め、片腕となるべく長きに渡り自己研鑽を重ねた。

 アルダシールはそんなマクシムの努力を認め、信頼してくれているのだと信じていた。

「俺の字で指示を受けた。指示にはあらゆる意味が含まれている。見込み違いでないなら、今直ぐアシュレイを連れ帰れ。俺もこの件が済めば引き上げる」

 そんな指示をされたって、アシュレイがこのまま従うわけがない。

 マクシムにはアシュレイを従わせるだけの力がないし、無理を強いられてされるままになる女性でもない。

 アルダシールが目的を果たすまで、アシュレイに静かにしていて欲しいなら、明確な理由を用いて説得するより他にない。

 第一、アシュレイ様がそんな状態で大人しく引き下がる女性だったら、貴方はこんなに愛さなかったはずでしょう?

「つっ、連れ帰るなど不可能です。そんなこと、陛下が一番分かっていらっしゃるでしょうに」

 理不尽な命令に不満が募り、とうとう反駁が口を突いた。

 マクシムは膝をついたまま、上半身をガバッと上げる。

「何かしらの事情があるとお察しはします。ですが、陛下がアシュレイ様のお立場でしたら、その指示を受け入れられますか? 夫が自分以外の女性の、夫の座をかけて戦っている最中ですよ」

「マクシム!? 俺に意見する気か?」

 苛立つアルダシールに正論をぶつけても反感を煽るだけだ。

 分かっていても、一度本音がこぼれれば、後は堰を切ったように止まらなくなる。

「ええ、今回ばかりは心の内を申し上げます。無理です。アシュレイ様は意地でも帰りません。むしろ、このような状況下でアシュレイ様が帰郷を決意されたならば、それは陛下への情を失ったも同然です。良いのですか? 取り返しのつかぬ事態に陥っても」

 
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