王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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決着

恋の行方 1

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「僕は、……本当にいいんでしょうか? 僕は絶対に、エステルに幸せになって欲しいんです」

 瞬きもせず、じっと目を見開いているせいか、ユリウスの翡翠色の瞳にはみるみる水の膜が盛り上がった。

「それは……」

 アシュレイには、こちらを見守る人影の正体がわかっている。

 どうしようか。

 アルダシールをアシュレイから引き離した腹いせに何かしてやりたい気持ちが、刹那に浮かび、通り過ぎた。

 アシュレイは右手の人差し指を顔の前で立てて、ツンと額を小突いてやる。

「ぅ、えっ?」

 突如として額を突かれ、ユリウスは混乱と共に額に手をやる。

 その動作で、ぽろんと涙の珠がこぼれ落ちた。

「いいかどうかは、本人に聞いてみなさいな」

 突っついた指先を、そのまま伸ばして滝の先を指差す。

 慌てふためいて振り返ったユリウスは、青年と思えないほど、とてつもなく可愛らしい。

 エステルを見つけて、すでに目的地に辿り着いていたと悟る。

「エッ、エステル……!? やっぱり、ここに」

「ユリウス! 気をつけて……」

 走り出して、転げそうになりながらユリウスはエステルの元へと駆けつける。

 危う気な足取りのユリウスを案じるように、エステルも洞穴を飛び出した。

 そこからは、映画の一幕を見ているようだった。

「来てくれたのね。ユリウス……」

「うん、ごめんね。ここまでしてもらわなきゃ、分からないなんて、僕は大馬鹿者だった。もう少しで、取り返しのつかない過ちを犯すところだった」

 2人が並ぶと、まるで神話に出てくる森の精そのもののようだ。

 淡い銀と金の髪色のシルエットが、吸い寄せられるようにして、重なる。

「僕はエステルがずっと好きだった。ここでエステルとした約束を忘れた日なんかなかったよ。もし、まだ間に合うなら……僕と一緒にラークを出よう」

「嬉しい、ユリウス。その言葉をずっと、待っていたの。私もユリウスが大好きよ」

 精霊たちの始まりの地で、エステルとユリウスは抱き合った。

 その光景があまりにも尊くて、アシュレイはつい魅入っていた。

 よく分からないうちに巻き込まれ、振り回された感は否めないが、全て水に流してあげたいくらいには美しい光景だ。

 結局、そういう事情なのだ、とアシュレイは納得することにした。

 詳細は後でとくとご説明いただくが、結局はユリウスを引っ張り出すための手駒として、アルダシールとアシュレイは連れて来られたのだろう。

 さらさらと流れるせせらぎ、神聖な木漏れ日まで2人を祝福しているように見える。

 2日間に渡る騒動も、この2人を見守るための奮闘だったのかな、と思えば溜飲も下がる。

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