王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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愛の形 2

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 横抱きにすると、アシュレイは驚いて身を捩る。

「暴れるな。すぐ下ろしてやる」

 嫌だと言っても、それほど抵抗らしい抵抗はされない。

 アルダシールは手頃な切り株を見つけると、その上にアシュレイを座らせた。

「どっちだ?」

 その前に跪いて、取り敢えず手近にあった左足のブーツの紐を解く。

「違う、右足……」

 訂正を受け、改めて右のブーツを脱がせた。

 踵を自らの膝に乗せる。

「少し腫れているか?」

 たった今、痛めたばかりだから外見の変化はあまり見られない。

 それでも骨にまで影響があれば兆候がある。

 足を上げてもけろりとしているので、打身か捻挫といったところだろう。

 念の為、軽く触診してみるが、反応があったのは内踝だけだった。

「捻挫だろうな」

 一通り眺め回して、他に異常がないとわかると、途端に脱力した。

「だから、そうだって言った……」

 アシュレイは唇を尖らして外方を向いていた。

 なんとも座りの悪いような、バツの悪そうな顔をしている。

 アルダシールの身体はホッと息を吐くより早く動いていた。

 覆い被さるようにして、アシュレイを両腕に包み込む。

 少しずつ力を込めると、熱いくらいの体温がジワリと伝わってくる。

「良かった。大事なくて……」

 アシュレイはしばらく身を固くして抵抗していたが、徐々に強張りが解けていく。

「こんな失態を晒してるけど、私はまだ怒ってるのよ」

 調子に乗ってうなじに顔を埋めると、棘を含んだ声と共に肩が揺れる。

「わかっている。それに関しては、俺が悪かった。全面的に非を認める」

 もう少し妻の温もりを堪能したかったが、今はそれどころではない。

 名残惜しいと思いながらも身体を起こすと、アシュレイはアルダシールをじっと睨め付けた。

 失態故か、少々自信に欠けた睨みは、凄みよりも愛らしさが勝る。

 愛でたい衝動が生まれるものの、今のアルダシールには許されない。

「謝って済む問題じゃないわ」

 アシュレイの膝下に片膝を付き、頭を下げる。

「何が非よ。私が今までどんな思いでいたか、わかってるの!? そんな、殊勝な振る舞いをしたからって簡単に許すと」

「その通りだ。だが、俺は許しを乞いたい。どうしたら許してくれる?」

「どうしたらって。私がどうして怒ってるか、わかってる? わかってたらそんなに簡単に言えないはずよ」

 アシュレイは興奮して声を荒げているが、その抑揚から困惑が伝わる。

 夫であり、国王であるアルダシールを跪せ、謝罪させる行いに、戸惑っていた。

 どこまで行ってもアルダシールを尊重し、気遣い、思い遣ってくれる。

 こんな女性は世界中どこを探しても2人といない。

 だから、つい、甘えがあった。

 揺るぎない愛を注いでくれる。ひたむきに俺を信じて、待っていてくれると。

 そんな女性だからこそ、大切にしなければならなかったのに。
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