王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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二人とも 2

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 アシュレイは望むと望まざるとにかかわらず、その身を差し出すだろう。

 世継ぎはないよりいたほうが良い。

 そのためにアルダシールはリスクを冒してこの地に来た。

 だから、こんなところで怯むのは間違っているーー

 はずなのに、どうしてかアルダシールの心は葛藤した。

 アシュレイに義務も同然の行為を迫るような真似はしたくない。

 ましてや今は怪我まで負っている。それもアルダシールのせいで。

「俺は痛感した。子供のためにとこの地へ来たが、アシュレイを傷つけてまで欲しいとは思わないと。世継ぎなら、直系にこだわる必要もないんだ。授からなければ優秀な者を養子に迎えればいい」

 我ながら矛盾しているとは思う。

 アシュレイには自分の子を生んで欲しい。だが、授かるのは、俺を求めた結果であって欲しい。

 そんな感懐を今更抱くなんて、おかしいだろうか。

 アルダシールが珍しく不安に囚われていると、彷徨っていたアシュレイの目が、ピタリと定まった。

「アルダはそう思ってくれたんだ。……私たち、もっと早くちゃんと話をするべきだったわね」

 小さく肩をすくめると、切り株から身を乗り出した。

 今まで張り詰めていた空気がへにゃりと萎れて、怒りの鎮火が見て取れる。

 世継ぎの話題は、アシュレイの負担になると避けている節があった。

 まだまだ授かるチャンスがあると考えていたせいもあるが、勝手にお互いで気を揉むくらいなら、アシュレイの言う通り意思の疎通を図るべきだった。

 アルダシールは肩に載せていた手を下ろして、アシュレイの手の甲を包んだ。

 もう、拒絶はされない。

「私たちは国を預かる立場だからね、お世継ぎは必要だわ。でも、そうじゃなくて私は……」

 態度の些細な変化にも喜びを感じたのに、でもと続いてアルダシールは固唾を飲む。

 でも、の後には否定的な言葉が続くものだ。

 しかし、アシュレイの表情は暗くなかった。どちらかと言えば……

(……これはどういう意味だ? アシュレイの気持ちは)

 アシュレイは包み込んだアルダシールの手に指を絡めて、キュッと握り返した。

 頬ははっきりと赤らんでいて、どちらかと言えば面差しは艶かしい。

 魅力的で、可愛らしくて、こんな時なのについ魅入ってしまいそうになる。

 普段は自由で気が強くて、手に負えないほどの跳ねっ返りなのに、たまにひどく悩ましい姿を見せる。

 アルダシールはこれまで自身の女の趣味について深く考察してこなかったが、こんな時にはアシュレイこそが理想なのだと思い知らされる。

 そうと意識すれば鷲掴みされたように胸が軋み、全てを投げ出して平伏し、愛を乞いたい衝動に襲われる。

 アシュレイだけが掛けられる強制的な魔法だ。

「お世継ぎじゃなくて、私はが欲しいの」

 血の繋がった子供を望む事実に変わりはない。だが”世継ぎ”と”赤子”の言葉が示す、意味の違いは明確だった。

「お妃だからってだけじゃなくて、私が、貴方を好きだから」

 アシュレイは、真っ赤になって言葉を紡いだ。

「……意味、わかる?」

 控えめに、尋ねるように。

 恐る恐るこちらを見上げる仕草はとどめだ。
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