王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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帰着

新たなる出発

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 諍いの種になるだろうカリアナには、見送りをご遠慮いただいた。

「城をあまり空けてはいられないからな。お気持ちは有り難く頂戴しておこう。よければ近いうちに、貴女たちも是非アラウァリアへ来るといい。うちにな」

 アルダシールが微笑みながら、含みのある物言いをするとコリーヌがぽっと頬を染める。

「ちょっと、結婚したばかりの女性に何を言ってるの。ハラスメントよ、それ」

 足首を痛めているのでアシュレイは、軽く腰を支えてもらっていた。

 腕は腹と触れ合っているので、肘を曲げてアルダシールの脇をつつく。

「はらすメント? 何だそれは。こちらの方言か?」

「いやっ……方言じゃなくて、人の嫌がることを言ったりしたりしてはいけないってことよ。無神経だわ」

 実子を授からなければ養子を取っても良いとは、いつ誰から聞いた台詞だったか。

 思い出深い夜をテムズで明かして以来、アルダシールは臆面もなく子供の話題を口に出すようになった。

(本当に授かっているかは、まだ分からないのに……)

 初対面の公女から持ちかけられた取引にうっかり応じるくらいには、子を欲していたようだ。

 テムズからの帰り道では、後継の教育についてマクシムと熱く話し込んでいた。

 その姿はあまりにも嬉しそうだったし、気持ちもわかる。

 だから、この件に関してはアシュレイもあまり強く批判できない。

「お誘いをありがとうございます。後学のためにも、是非一度お国を拝見させてください。後日改めて、申し入れをさせて頂きます」

 シュナイゼルだけは、変わらず冷静に受け応えをしてくれた。

「ああ、楽しみにしている。では、また」

 アルダシールは軽く手を挙げて挨拶すると、アシュレイを抱き上げて馬車に乗り込んだ。

「大丈夫、自分で乗れるから……! 人前でやめて、恥ずかしいわ」

 アシュレイが抗議しても、アルダシールは素知らぬ顔だ。

「何を今更。怪我人なのだし、 転びでもしたら大変だ」

 もう乗り込んでしまったので、アシュレイは諦めて窓から顔を出す。

「それじゃ、2人ともお元気で。コリーヌ、また会いましょうね」

「はいっ、お姉様。お元気で」

 アシュレイが手を振ると、馬車は動き始めた。

 先頭には護衛用、その後ろにアシュレイとアルダシールが乗る馬車が続く。

 その周囲をカルダンとエッダ、マクシムが騎乗して守りを固める。

 帰りは行きと同じ行程で3日をかけてアラウァリアの王都へ帰着する。

「せっかくだからベラミ領にも寄れれば良かったのにね」

「残念だがこれ以上は城を空られない。それに今はアシュレイの体調が第一だ」

 シュナイゼルやコリーヌたちの姿が見えなくなるまで進み、頭を引っ込めたところをアルダシールに抱きすくめられる。

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