8 / 22
07
しおりを挟む
そして私達は夕刻を前にオルエン商会へと……向かうのだった。
そう、もう『帰る』ではなく『向かう』なのだ。
今の私には、帰る場所はどこにもない……それを……思い出し溜息を吐く私の耳に聞こえるのは、どこまでも甘く優しい大丈夫と言うクレイの言葉で、それだけが私の支えとなっていた。
商会には既にユーリとエリスが戻っており、悪気なさそうな様子でエリスは私に笑みを向けて手を振って見せた。
「セレナ様、旦那様がお待ちになっておいで(です)」
「お姉さま!! 私達も呼び出されているの、一緒にいきましょう」
私の心はヒヤリとしながら、腕に絡みつけようとしてくる手を拒否し、クレイを盾にするように自分の立ち位置を代えた。
「そう……」
向けられる従業員の視線は同情混ざりのものもあるが、多くは私を馬鹿にするかのようで、私は居たたまれない気持ちになる。
今日の卒業パーティに関わる多くがオルエン商会によって提供されているだけあって、あの場に商会の人間も多くいた。
気持ち悪い……。
「よく顔を出せたものだ」
「自業自得と言う奴だな」
「これで、商会はまともになると言うもの」
そんな声がこれ見よがしに紡がれ、一体……私が何をしたというのよ。 そんな気分になっている中、聞こえているはずの声を聞こえていないかのようにエリスはニコニコとしていた。
憂鬱な気持ちで会長室の前で足を止め、緊張に大きく息を吸えば、軽く背中に手が触れた。 手の主であるクレイを見上げれば静かに優しい笑みが向けられている。
大丈夫
そうクレイの表情が語り、私はどこか諦めたように頷いて見せる。 だって、彼は私に秘密を見せてくれたのだから……。 それがどうして? と言われそうだけど、私に奇妙な安心感を与えてくれる。
「何よ!! お姉さま、私には素っ気ない癖に……怒っていますの? ユーリのことなんて好きでもない癖に」
ぶちぶちと文句が繰り広げられる。
「お黙りなさい」
静かな……そして冷ややかなクレイの声がエリスを黙らせ、そしてノックをする。
「入りなさい」
聞こえたのは会長の声。
会長の穏やかな優しい顔立ちはクレイと似ているけれど、その内面はとても粗暴で狂暴で横暴で傲慢。 だからこそ王国1位の商会を築く事が出来たと言うのが、会長の理念の1つだ。
「ユーリから聞いた。 馬鹿な事をしてくれたと考えている。 セレナ申し訳ない事をした」
チラリと部屋の人々の視線がユーリに向けられる。 堂々と色ぼけ発言を吐き出していたパーティの時とは違い、不機嫌そうにしかめ面を浮かべている。 それを見れば彼の今日の言動が会長の怒りを買ったのは確かだろう。 だからと言って、大勢の前で行った発言を無かった事に出来る訳がない。
「(そう)……ですね……」
私は腑に落ちたいとでも言うような曖昧な言葉を口の中で吐き出しながら、大きく息を吸った。
「あら、私達の愛情を軽く見ないでいただけます?!」
エリスが割って入るように言いながら、ユーリの元に踊りだすように進み勢いよく抱き着いていた。 不機嫌そうな顔が緩むユーリに反して、私の表情はいっそう厳しさを増していた。
「エリスにも問題がありましたから……謝罪等なさらないでください」
そして、溜息。
「そう言ってもらえるとありがたい。 セレナ、君は10歳の頃から私の娘だった。 これからも家族として私達と共にあるものだと信じている」
まるで今日の夕食は美味しいなと他愛無い日常会話を語るように会長は語る。
「ぁ……無理……です。 今まで通りなんて、無理です。 出来る訳ありません!! 私に恥をかけと……言うの?!」
今日の事をきっかけに、人々は私への態度を大きく変えて来た。
「私達は家族だ。 醜聞は抑えるように働きかけよう」
「そんな簡単に収まるものではありませんわ!! オルエン商会の大きさ知名度を考え……れ、ば……」
不満は最後まで続かなかった。
問題を起こしたのは会長ではなく、双子の……自分と一心同体だと思っていた双子の妹が起こしたのだから。
「言いたい事があるなら、言ってしまいなさい。 日頃から……抱えているものはあるだろう?」
「家族なら……私に……私に、世間の嘲笑の的になれとおっしゃるわけがありませんよね? 私は……結局は駒の一つに過ぎないと……」
会長に言いながらも、双子のエリスが自分をどう思っていたのかを理解していくのだ。
「商売人としては感情的になるのは致命的ではあるが、今は構わない。 それだけショックだと言う事は理解できる」
会長が顔を伏せれば、私は胸がキュッと痛くなる。 だって……10歳の頃から、私の生きている意味は会長に褒められ、認められる事だったのだから。
ニコニコとユーリにじゃれつく自分と同じ顔。
何故私を窮地に突き落とそうとするの?!
そんな思いと同時に……家族に蔑ろにされる辛さがじりじりと心を蝕み、私を捨てないで、私を認めて、私を好きでいて!! と叫びそうになりながら、唇をきつく噛みしめひきしめた。
「感情を抑える必要等ないのですよ」
穏やかなに語ったのはクレイだった。
「平気……です……」
これ以上恰好悪いのは、ゴメンだわ。
「セレナ、君はどうしたいんだ。 大勢の前で、ユーリは君の妹エリスとの結婚を告げた。 それでもユーリと結婚したいと言うなら、私は後押しをしよう。 だが……それこそ嘲笑の的になるだろう」
決してユーリとの関係を戻したい訳ではないのに、それを会長の口から否定された事で、私は……結局都合の良い言葉で、私を丸め込もうとしているかのように思えた。
「そ、んなこと!!」
幾らでも訂正のしようがあるでしょう!! と、言う言葉を飲み込んだ。 どんな訂正の仕方をしても、自分に向けられる悪評が変わるとは思えない。
『君の未来は私が保証しましょう。 ですから、自らを落とすことなく毅然とした態度で立ち向かって下さい』
商会に戻る前、私にそう語ったクレイの言葉だけが、私の心を保ってくれていた。 クレイのその言葉が無ければ、私は……会長に言っていただろう。 ユーリが一時の欲望に身を任せ、血迷ったのだと、そうでなければ婚約者の妹に手を出す等と言う非人道的なことをする訳がない。 と……。
愛すべき双子の妹を傷つけていたに違いない。
「ごめんなさい……お姉さま……。 彼と愛し合った事を許して欲しいの。 私達は……お姉さまの分も幸せになるって約束するわ。 愛する私達が幸せになるんだから……優しいお姉さまですもの……喜んでくださいますわよね」
愛される私……と言うものにエリスは酔っているかのように、うっとりとした表情をエリスは浮かべていた。 何時もなら
『そうね私の可愛い妹……エリス……愛しているわ』
とでも、語っていただろうと思う。
だけど今日は違う。
「勝手に……幸せになればいいわ」
吐き出すように言えば、エリスは縋るような視線を向け、悲痛な声をあげた。 まるで、否定されるなんて欠片も考えていなかったとでも言うように……。
「お姉さま!!」
息が……し難い……。
そう、もう『帰る』ではなく『向かう』なのだ。
今の私には、帰る場所はどこにもない……それを……思い出し溜息を吐く私の耳に聞こえるのは、どこまでも甘く優しい大丈夫と言うクレイの言葉で、それだけが私の支えとなっていた。
商会には既にユーリとエリスが戻っており、悪気なさそうな様子でエリスは私に笑みを向けて手を振って見せた。
「セレナ様、旦那様がお待ちになっておいで(です)」
「お姉さま!! 私達も呼び出されているの、一緒にいきましょう」
私の心はヒヤリとしながら、腕に絡みつけようとしてくる手を拒否し、クレイを盾にするように自分の立ち位置を代えた。
「そう……」
向けられる従業員の視線は同情混ざりのものもあるが、多くは私を馬鹿にするかのようで、私は居たたまれない気持ちになる。
今日の卒業パーティに関わる多くがオルエン商会によって提供されているだけあって、あの場に商会の人間も多くいた。
気持ち悪い……。
「よく顔を出せたものだ」
「自業自得と言う奴だな」
「これで、商会はまともになると言うもの」
そんな声がこれ見よがしに紡がれ、一体……私が何をしたというのよ。 そんな気分になっている中、聞こえているはずの声を聞こえていないかのようにエリスはニコニコとしていた。
憂鬱な気持ちで会長室の前で足を止め、緊張に大きく息を吸えば、軽く背中に手が触れた。 手の主であるクレイを見上げれば静かに優しい笑みが向けられている。
大丈夫
そうクレイの表情が語り、私はどこか諦めたように頷いて見せる。 だって、彼は私に秘密を見せてくれたのだから……。 それがどうして? と言われそうだけど、私に奇妙な安心感を与えてくれる。
「何よ!! お姉さま、私には素っ気ない癖に……怒っていますの? ユーリのことなんて好きでもない癖に」
ぶちぶちと文句が繰り広げられる。
「お黙りなさい」
静かな……そして冷ややかなクレイの声がエリスを黙らせ、そしてノックをする。
「入りなさい」
聞こえたのは会長の声。
会長の穏やかな優しい顔立ちはクレイと似ているけれど、その内面はとても粗暴で狂暴で横暴で傲慢。 だからこそ王国1位の商会を築く事が出来たと言うのが、会長の理念の1つだ。
「ユーリから聞いた。 馬鹿な事をしてくれたと考えている。 セレナ申し訳ない事をした」
チラリと部屋の人々の視線がユーリに向けられる。 堂々と色ぼけ発言を吐き出していたパーティの時とは違い、不機嫌そうにしかめ面を浮かべている。 それを見れば彼の今日の言動が会長の怒りを買ったのは確かだろう。 だからと言って、大勢の前で行った発言を無かった事に出来る訳がない。
「(そう)……ですね……」
私は腑に落ちたいとでも言うような曖昧な言葉を口の中で吐き出しながら、大きく息を吸った。
「あら、私達の愛情を軽く見ないでいただけます?!」
エリスが割って入るように言いながら、ユーリの元に踊りだすように進み勢いよく抱き着いていた。 不機嫌そうな顔が緩むユーリに反して、私の表情はいっそう厳しさを増していた。
「エリスにも問題がありましたから……謝罪等なさらないでください」
そして、溜息。
「そう言ってもらえるとありがたい。 セレナ、君は10歳の頃から私の娘だった。 これからも家族として私達と共にあるものだと信じている」
まるで今日の夕食は美味しいなと他愛無い日常会話を語るように会長は語る。
「ぁ……無理……です。 今まで通りなんて、無理です。 出来る訳ありません!! 私に恥をかけと……言うの?!」
今日の事をきっかけに、人々は私への態度を大きく変えて来た。
「私達は家族だ。 醜聞は抑えるように働きかけよう」
「そんな簡単に収まるものではありませんわ!! オルエン商会の大きさ知名度を考え……れ、ば……」
不満は最後まで続かなかった。
問題を起こしたのは会長ではなく、双子の……自分と一心同体だと思っていた双子の妹が起こしたのだから。
「言いたい事があるなら、言ってしまいなさい。 日頃から……抱えているものはあるだろう?」
「家族なら……私に……私に、世間の嘲笑の的になれとおっしゃるわけがありませんよね? 私は……結局は駒の一つに過ぎないと……」
会長に言いながらも、双子のエリスが自分をどう思っていたのかを理解していくのだ。
「商売人としては感情的になるのは致命的ではあるが、今は構わない。 それだけショックだと言う事は理解できる」
会長が顔を伏せれば、私は胸がキュッと痛くなる。 だって……10歳の頃から、私の生きている意味は会長に褒められ、認められる事だったのだから。
ニコニコとユーリにじゃれつく自分と同じ顔。
何故私を窮地に突き落とそうとするの?!
そんな思いと同時に……家族に蔑ろにされる辛さがじりじりと心を蝕み、私を捨てないで、私を認めて、私を好きでいて!! と叫びそうになりながら、唇をきつく噛みしめひきしめた。
「感情を抑える必要等ないのですよ」
穏やかなに語ったのはクレイだった。
「平気……です……」
これ以上恰好悪いのは、ゴメンだわ。
「セレナ、君はどうしたいんだ。 大勢の前で、ユーリは君の妹エリスとの結婚を告げた。 それでもユーリと結婚したいと言うなら、私は後押しをしよう。 だが……それこそ嘲笑の的になるだろう」
決してユーリとの関係を戻したい訳ではないのに、それを会長の口から否定された事で、私は……結局都合の良い言葉で、私を丸め込もうとしているかのように思えた。
「そ、んなこと!!」
幾らでも訂正のしようがあるでしょう!! と、言う言葉を飲み込んだ。 どんな訂正の仕方をしても、自分に向けられる悪評が変わるとは思えない。
『君の未来は私が保証しましょう。 ですから、自らを落とすことなく毅然とした態度で立ち向かって下さい』
商会に戻る前、私にそう語ったクレイの言葉だけが、私の心を保ってくれていた。 クレイのその言葉が無ければ、私は……会長に言っていただろう。 ユーリが一時の欲望に身を任せ、血迷ったのだと、そうでなければ婚約者の妹に手を出す等と言う非人道的なことをする訳がない。 と……。
愛すべき双子の妹を傷つけていたに違いない。
「ごめんなさい……お姉さま……。 彼と愛し合った事を許して欲しいの。 私達は……お姉さまの分も幸せになるって約束するわ。 愛する私達が幸せになるんだから……優しいお姉さまですもの……喜んでくださいますわよね」
愛される私……と言うものにエリスは酔っているかのように、うっとりとした表情をエリスは浮かべていた。 何時もなら
『そうね私の可愛い妹……エリス……愛しているわ』
とでも、語っていただろうと思う。
だけど今日は違う。
「勝手に……幸せになればいいわ」
吐き出すように言えば、エリスは縋るような視線を向け、悲痛な声をあげた。 まるで、否定されるなんて欠片も考えていなかったとでも言うように……。
「お姉さま!!」
息が……し難い……。
202
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された令嬢のささやかな幸福
香木陽灯
恋愛
田舎の伯爵令嬢アリシア・ローデンには婚約者がいた。
しかし婚約者とアリシアの妹が不貞を働き、子を身ごもったのだという。
「結婚は家同士の繋がり。二人が結ばれるなら私は身を引きましょう。どうぞお幸せに」
婚約破棄されたアリシアは潔く身を引くことにした。
婚約破棄という烙印が押された以上、もう結婚は出来ない。
ならば一人で生きていくだけ。
アリシアは王都の外れにある小さな家を買い、そこで暮らし始める。
「あぁ、最高……ここなら一人で自由に暮らせるわ!」
初めての一人暮らしを満喫するアリシア。
趣味だった刺繍で生計が立てられるようになった頃……。
「アリシア、頼むから戻って来てくれ! 俺と結婚してくれ……!」
何故か元婚約者がやってきて頭を下げたのだ。
しかし丁重にお断りした翌日、
「お姉様、お願いだから戻ってきてください! あいつの相手はお姉様じゃなきゃ無理です……!」
妹までもがやってくる始末。
しかしアリシアは微笑んで首を横に振るばかり。
「私はもう結婚する気も家に戻る気もありませんの。どうぞお幸せに」
家族や婚約者は知らないことだったが、実はアリシアは幸せな生活を送っていたのだった。
犠牲になるのは、妹である私
木山楽斗
恋愛
男爵家の令嬢であるソフィーナは、父親から冷遇されていた。彼女は溺愛されている双子の姉の陰とみなされており、個人として認められていなかったのだ。
ソフィーナはある時、姉に代わって悪名高きボルガン公爵の元に嫁ぐことになった。
好色家として有名な彼は、離婚を繰り返しており隠し子もいる。そんな彼の元に嫁げば幸せなどないとわかっていつつも、彼女は家のために犠牲になると決めたのだった。
婚約者となってボルガン公爵家の屋敷に赴いたソフィーナだったが、彼女はそこでとある騒ぎに巻き込まれることになった。
ボルガン公爵の子供達は、彼の横暴な振る舞いに耐えかねて、公爵家の改革に取り掛かっていたのである。
結果として、ボルガン公爵はその力を失った。ソフィーナは彼に弄ばれることなく、彼の子供達と良好な関係を築くことに成功したのである。
さらにソフィーナの実家でも、同じように改革が起こっていた。彼女を冷遇する父親が、その力を失っていたのである。
突然倒れた婚約者から、私が毒を盛ったと濡衣を着せられました
景
恋愛
パーティーの場でロイドが突如倒れ、メリッサに毒を盛られたと告げた。
メリッサにとっては冤罪でしかないが、周囲は倒れたロイドの言い分を認めてしまった。
【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)
熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。
しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。
「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」
身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。
堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。
数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。
妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。
とある侯爵令息の婚約と結婚
ふじよし
恋愛
ノーリッシュ侯爵の令息ダニエルはリグリー伯爵の令嬢アイリスと婚約していた。けれど彼は婚約から半年、アイリスの義妹カレンと婚約することに。社交界では格好の噂になっている。
今回のノーリッシュ侯爵とリグリー伯爵の縁を結ぶための結婚だった。政略としては婚約者が姉妹で入れ替わることに問題はないだろうけれど……
双子の妹は私に面倒事だけを押し付けて婚約者と会っていた
今川幸乃
恋愛
レーナとシェリーは瓜二つの双子。
二人は入れ替わっても周囲に気づかれないぐらいにそっくりだった。
それを利用してシェリーは学問の手習いなど面倒事があると「外せない用事がある」とレーナに入れ替わっては面倒事を押し付けていた。
しぶしぶそれを受け入れていたレーナだが、ある時婚約者のテッドと話していると会話がかみ合わないことに気づく。
調べてみるとどうもシェリーがレーナに成りすましてテッドと会っているようで、テッドもそれに気づいていないようだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる