24 / 702
第二十四話
しおりを挟む
クロード達は順調に足を進め二つ目の安全地帯にたどり着いていた。
「今日の探索はここまでにして休憩を取ろう」
安全地帯の角に陣取り姉様達が手早く夕食の準備をしてくれる。
鍋に魔法で水を出し生活魔法で湯を沸かし白い粉を入れる。
白い粉はみるみる水を吸い取り嵩が増える。
「アリシア姉様その粉はなんですか?」
「クロードははじめて見るのね。小麦粉に色々な物を混ぜた冒険者御用達の保存食よ。味は今一だけど栄養価が高いの」
説明しながらも椀に手際よくよそって手渡してくれる。
スプーンですくい口に入れてみる。
お世辞にも美味しいとは言えないが食べられないほどではない。
「お味はどうかしら?」
「何とも言えない味ですね」
「学園の実習なんかでもお世話になるから今のうちから慣れておいた方がいいわよ」
嵩張らないという利点はあるもののもうちょっと改善できないだろうかと携行食の改善を決意したクロードだった。
食事も終え後は寝るだけとなった。
「はじめてのダンジョンで疲れたろ。見張りはこっちでするからクロードはもう休むといい」
「お言葉に甘えて休ませていただきますね」
肉体的には余裕があるが常に気を張り精神的な疲れが溜まっていたクロードは毛布に包まるとすぐに寝息をたてはじめる。
四人はクロードが寝たのを確認して起こさないように小声で話しはじめる。
「ファールハイト兄さんはクロードのことをどう見たんだ?ずっと観察してたんだろ」
ファールハイトは全体のバランスを見ながら後方の警戒しつつクロードの評価をしていた。
「連携に関しては甘いところがあったが常に余力を残しているように見えた」
「危なげなかったものね。私も安心して魔法を撃てたわ」
「私はこのまま進んでいいと思うけどどうかしら?」
「異論はない。ではこのまま奥に向かうということで決定するよ」
朝起きると兄達と姉達は既に起きていた。
「クロード。おはよう。よく眠れたみたいね」
「熟睡してしまったみたいで申し訳ないです」
「どこでも眠れるってのは実は重要なことだ。恥ずかしがる必要はないさ」
クラウス兄様が椀を差し出してくれる。
中身は夕食と同じ携行食だった。
「食べながら聞いてくれ。ここから先はゴブリンの上位種のホブゴブリンやメイジが混じってきて難易度が上がるのはもちろんだが何より数が多い」
「わかってると思うけど突出して孤立したりしないようにするのよ」
「わかりました」
「私としてはクロードよりクラウス兄様の方が心配だけどね」
「そりゃあどういう意味だよ」
「ふふ。それは過去に孤立した実績があるからだね」
「ファールハイト兄さん。それをここで言うか」
難易度が上がると聞いて緊張していたはずがいつの間にか兄様達につられて笑っていた。
「今日の探索はここまでにして休憩を取ろう」
安全地帯の角に陣取り姉様達が手早く夕食の準備をしてくれる。
鍋に魔法で水を出し生活魔法で湯を沸かし白い粉を入れる。
白い粉はみるみる水を吸い取り嵩が増える。
「アリシア姉様その粉はなんですか?」
「クロードははじめて見るのね。小麦粉に色々な物を混ぜた冒険者御用達の保存食よ。味は今一だけど栄養価が高いの」
説明しながらも椀に手際よくよそって手渡してくれる。
スプーンですくい口に入れてみる。
お世辞にも美味しいとは言えないが食べられないほどではない。
「お味はどうかしら?」
「何とも言えない味ですね」
「学園の実習なんかでもお世話になるから今のうちから慣れておいた方がいいわよ」
嵩張らないという利点はあるもののもうちょっと改善できないだろうかと携行食の改善を決意したクロードだった。
食事も終え後は寝るだけとなった。
「はじめてのダンジョンで疲れたろ。見張りはこっちでするからクロードはもう休むといい」
「お言葉に甘えて休ませていただきますね」
肉体的には余裕があるが常に気を張り精神的な疲れが溜まっていたクロードは毛布に包まるとすぐに寝息をたてはじめる。
四人はクロードが寝たのを確認して起こさないように小声で話しはじめる。
「ファールハイト兄さんはクロードのことをどう見たんだ?ずっと観察してたんだろ」
ファールハイトは全体のバランスを見ながら後方の警戒しつつクロードの評価をしていた。
「連携に関しては甘いところがあったが常に余力を残しているように見えた」
「危なげなかったものね。私も安心して魔法を撃てたわ」
「私はこのまま進んでいいと思うけどどうかしら?」
「異論はない。ではこのまま奥に向かうということで決定するよ」
朝起きると兄達と姉達は既に起きていた。
「クロード。おはよう。よく眠れたみたいね」
「熟睡してしまったみたいで申し訳ないです」
「どこでも眠れるってのは実は重要なことだ。恥ずかしがる必要はないさ」
クラウス兄様が椀を差し出してくれる。
中身は夕食と同じ携行食だった。
「食べながら聞いてくれ。ここから先はゴブリンの上位種のホブゴブリンやメイジが混じってきて難易度が上がるのはもちろんだが何より数が多い」
「わかってると思うけど突出して孤立したりしないようにするのよ」
「わかりました」
「私としてはクロードよりクラウス兄様の方が心配だけどね」
「そりゃあどういう意味だよ」
「ふふ。それは過去に孤立した実績があるからだね」
「ファールハイト兄さん。それをここで言うか」
難易度が上がると聞いて緊張していたはずがいつの間にか兄様達につられて笑っていた。
579
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる