独身貴族の異世界転生～ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

第五百六十二話

クロードとイフは現実世界へと戻ってきた。

「何と言うかどっと疲れましたね」

「私は精々過去に英雄的な行動を取った人物だと思っていたんだけどね」

「あはは・・・。まさか、自分が神の１柱だとは思っていませんでした」

神が戯れに人に紛れて過ごすというのは過去にも存在する。

しかし、それが認められることは少ない。

それは神の格にもよるが強大な神であればあるほど求められる役割が大きいからだ。

１人の神がその役割から離れればそれだけ他の神々の負担となる。

そういった事情もありクロードの存在はイレギュラーだった。

「とにかく私では判断できないわ。精霊王様に報告するけれど構わないかしら？」

「えぇ。構いませんよ」

イフは迷わずイフリートを呼び出した。

「主が戦闘以外で呼び出すとは珍しいな」

「ちょっと困ったことになってね」

イフはイフリートにクロードの内側であったことを話した。

「ふむ。事情はわかった。必ず伝えよう」

そう言ってイフリートは消えていった。

「とりあえず寝ましょうか」

「そうですね。お休みなさい」

イフとクロードはそれぞれ寝室に向かい眠りについた。



その頃、イフリートから報告を受けた精霊王は北欧の神々に悪態をついていた。

「面倒なことを引き起こしてくれる」

神々というのはやる気になれば何でもできる。

しかし、だからこそ自らを律しなければならない。

そうしなければ世界の法則は乱れ、崩壊してしまう。

「とにかく、私が一度見てこよう」

精霊王はそう言って姿を消した。



「おや、今日は来訪が多い日にゃ」

ここはクロードの内側だ。

覚醒していない今の状態なら本人に気づかれず内側に入り込むことは精霊王からすれば難しくない。

「正直ここまでの大物だとは思っていなかったな」

精霊王は漏れ出している力でクロードの正体に辿り着いていた。

精霊王は世界になくてはならない程の大物だ。

その精霊王から見てもクロードの正体は敬意を払う対象であり畏怖すべき存在だ。

クロードの親である２柱の神が静観している以上あまり干渉するのもよくないだろう。

「私は何も見ていないし聞いていない」

「それでいいにゃ。来たついでにゃ。主様の前世の部屋を修復していってくれると助かるにゃ」

「わかった。それぐらいはしていこう」

体よくつかわれる形となったがそれぐらいでこの恐ろしい相手が許してくれるなら安いものである。