独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍

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第六百二十話

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「へぇ。貴方がクロードね。噂は聞いているわ」

「ふん。あんたのせいで余計な仕事が増えたじゃない」

そういうのはクロードのパートナーとなった詩織と翠だった。

「よろしくお願いします」

「じゃぁ、まずはここの裏山から行きましょうか」

本社の裏には山がありそこも妖怪の住処だったという。

龍脈のラインに乗っているのもあったが本社はこの裏山を管理し緊急事態では防壁として機能するように作られた。

その為に日常的に封印の結界を見回り、必要があれば補修、もしくは張り直しをしている。

詩織は楽し気に、翠は不機嫌そうに歩き、クロードは気楽な感じで裏山を歩いていく。

「あんた、馬鹿じゃないの。これは遊びじゃないんだからね」

クロードが緊張もせずに歩いているのを癪に思ったのか翠がそう言ってくる。

「と、言われても・・・。ここは安全なんでしょ?」

「そうだけど・・・。そうだけど・・・」

「緊張していないのはいいことさ。いざって時に動けないからね」

詩織がそうフォローしてくれる。

それから30分ほど歩くと最初の封印の結界に到達した。

「う~ん。まだ、補修も張り直しも必要なさそうだけど試しに結界を張ってみましょうか」

普段であれば節制できる部分は徹底的に節制する。

だが、現在は魔石に余裕があり新人を安全に育てられるならそちらを優先したい。

そう考えた詩織はこの提案をした。

「わかりました」

クロードは手順通りに結界の張り直しの準備を行う。

その様はまるでベテランのようだ。

しかし、方陣を見た翠が些細な違いに気が付いた。

「ちょっと。ここの方陣が違うじゃない」

違うのは当然だ。

これから張る結界はクロードが改良を加えた物だ。

「まぁまぁ。何か考えがあるみたいだし様子をみましょうよ」

詩織はクロードのしようとしていることにおおよそ検討がついていた。

無駄を省きより効率的に。

最近の組織では術者の安全を考え保守的な考えが蔓延していた。

実戦部隊の部隊長である詩織はそれに危機感を覚えていた。

時には危険なかけも必要だ。

そうしなければ守るべきものを守れない。

ましてや今は自分や翠がいる。

失敗してもフォローをしてやればいい。

クロードはどこか凝り固まった組織を改革するのに役立つだろう。

直感的にそのように考えた詩織はクロードのすることを見守ると決めた。

この場の責任者は詩織だ。

翠はどこか悔しそうな顔をしながら作業を見守るしかなかった。
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