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リネン室 ※
しおりを挟むキリトは日課の薪割りを終えて自室に戻ろうと廊下を歩いていた。何度も通って道は覚えていた筈だが、ぼーっと歩いていたのが駄目だったのか、見慣れない通路に出てしまった。
両開きの扉が目について中を覗くと、天井まである大きな棚に畳んだ布類が詰め込まれている。どうやらリネン室のようだった。室内にメイド達の姿を見つけて声を掛けようとすると、彼女達の話し声が耳に入った。思わず通路の壁に張り付き、メイド達の会話を盗み聞く。
「それはキリト様はお美しい方ですけれど、殿方ですもの、ね」
「あら、私もそう思いますわ。妾妃をお迎えになって、ましてやお子がおできになれば、そちらにご寵愛が向くのは当然ですわ」
「あら薄情ね。私は何があってもキリト様を推すわ」
キリトは頭を鈍器で殴られた様な気がした。妾妃、子供、寵愛。今まで考えもしなかった、否、敢えて考えない様にしてきた事を目の当たりにして、キリトは足元の床が急に抜けた様な気分に陥ったのだった。
********
レイルは一日の執務を終えて、キリトの部屋を訪れた。しかし扉をノックしても返事はなく、そっと扉を押し開けると部屋には誰も居なかった。
カゼインとの訓練も日課の薪割りも、とっくに終わっている時間である。もしや他の男と、と嫌な想像が頭をよぎった。
仕方なく自室に戻ると、しばらくして扉を叩く音がした。扉を開けるとキリトが立っていた。
「今、キリトの部屋に行ってきたばかりだ。行き違いになったようだな」
朝からずっと会えていなかったキリトにやっと会えて、思わず顔がほころぶ。腕に抱きしめようと手を伸ばすとキリトが口を開いた。
「少し、屈んで」
「何だ?」
キリトはレイルの腕を引き寄せると、伸び上がってそっとレイルに口付けた。
口付けられたレイルは、脳天を雷に打たれたような衝撃を受けて固まった。キリトから口付けられるのは、これが初めてだった。
更にキリトはレイルの下唇を、舌でチロ、と舐めた。
「…キリト」
「もっと」
堪らずキリトの頭の後ろに手を回すと、ぐっと引き寄せて深く口付けた。口内に舌を差し込むと、キリトも応じて舌を差し出し絡め合う。
「ふ、んん、ん」
キリトは相変わらず上手く息が継げないようで、口を離してやると唾液がつ、と糸を引いた。
「…しよ?」
潤んだ黒い瞳に見つめられて囁かれては、断れるはずは無かった。
寝台にキリトをそっと横たえて服を脱がそうとするレイルの手を、キリトが押し留めた。
「僕が…」
キリトはレイルの上着を捲り上げると、露わになった逞しい腹筋にちゅ、と口付けた。続いて脇腹から胸元へと唇を寄せる。
「…今日は、一体どうしたんだ?」
キリトはわずかに首を横に振って、その問いには答えない。
キリトはするすると上下の服を脱ぐと、あっという間に生まれたままの姿になった。凝視するレイルの視線も構わぬ様子で、レイルの肩を寝台へと押しやった。
「僕が、する」
レイルの下衣の紐を引いてくつろげると、下着の隙間から既に固く屹立したものにそっと指を這わせる。
「あ、もうこんなに…」
レイルは自分の心臓がドクドクと音を立てるのを感じた。キリトが自分から積極的に仕掛けてくるなど、かつて無い事だった。
キリトは寝台に横たわるレイルの上に跨り、下着の間から取り出したレイルの屹立を後孔にひたと当てた。
「待て、解さないと無理だ」
「やだ、もう、欲しい…」
レイルはぐっと息を呑んで突き入れたい衝動に耐えると、寝台脇の小棚に手を伸ばして香油を取り出し手に塗り広げた。
そっとキリトの秘所に指を当て周りをぐるりと撫でる。
「早く…」
キリトが焦れたようにレイルの中心を手で掴んで腰を落とし、隘路に突き入れようとするが、上手く入らない。
と、キリトが美しい顔を歪めて涙をこぼした。
「痛かったか」
レイルが慌てた様に聞いた。
「に、二番目でもいいから、…僕のこと好きでいて」
キリトはポロポロと涙を流し続けている。
「…何の話だ」
キリトはレイルの腕の中でひとしきり涙を流して落ち着くと、リネン室で聞いたメイド達の会話をレイルに話して聞かせた。
「馬鹿な。妾妃など迎えることはない」
「でも…」
「世継ぎのことなら心配するな。隣国に血縁者もいる。もっと言えば、次の王は血縁者で無くても良い」
「そんな」
「俺はキリト以外と契る気はない。絶対にだ」
「レイル…」
「キリト、言ったはずだ。愛している、あなただけを」
「僕も、僕も愛してる」
キリトはレイルの逞しい胸に抱きついて、愛の言葉を返した。
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