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第3章 国際連合は活躍する
20【国際連合は世界に広がる2】
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<<国際連合事務局アニス視点>>
国際連合は、ここナーラ領の首都ナーラに本部があります。
国際連合はキンコー王国、ハローマ王国、トカーイ帝国が幹事国とになります。
事務局長の人事については3年を任期として、基本幹事国の3国から選出されることになりました。
ナーラの事務局には、加盟国から派遣された30名の職員が常駐しており、それぞれの職務を遂行しています。
この職員以外にも、国際裁判所、特許管理、平和維持軍等の各機関毎に職員がいます。
アーノルド様の歓迎会から1週間が経った頃、アーノルド様やわたし達は、国際裁判所の建屋に移りました。
ここが、職場兼住居になります。
しばらくは、必要なものを揃えたり、片付けをしたりしていましたが、すっかり落ち着きました。
今のところ国際裁判所は、静かなものです。
今もアーノルド様はお茶を飲みながら、マサル様から渡された異世界の判例を読んでおられます。
国際裁判所の建屋は、国際連合事務局の建屋に隣接しています。
耳をすませば、そちらの声が聞こえる距離です。
事務局の方は、まだ落ち着かないようですね。
時折大きな怒号が聞こえてきます。
「あちらは、落ち着くまでに時間がかかるみたいだな。
まぁ3ヶ国から集まっておるしな。
ちょっと、手伝いに行ってやるか。のうアニス。」
「承知致しました。アーノルド様。お供させていただきます。」
わたし達は、国際連合事務局に入って行きました。
そこは書類が散らかり、まだまだ整理が出来ていません。
「皆、頑張っておるのぉ。ご苦労さん。」
事務所内に入られた、アーノルド様が国際連合事務局の面々に声を掛けられました。
皆は一斉にこちらを見て、アーノルド様と認識すると慌てて姿勢を正します。
「ちょっと大変そうな声が聞こえたんで、手伝いに来たぞ。
そんなに畏まらんでも大丈夫じゃよ。
作業を続けてくれ。」
皆の顔に緊張が伺えます。
実はアーノルド様、大陸では無茶苦茶有名なのです。
アーノルド様がキンコー王国の宰相をされている頃の話なんですが、大陸を2分するような問題が起きました。
キッカケはハローマ王国の第1皇子の死去でした。
第1皇子の死亡原因については、様々な噂が流れましたが、最も広がったのは第2皇子のガード様派の貴族による暗殺説でした。
しかもこの貴族は直後にトカーイ帝国に亡命してしまったのです。
当時キンコー王国と合わせて3大大国であった、ハローマ王国とトカーイ帝国は、絶えず小競り合いを繰り返し、一触即発状態でした。
噂はどんどん大きくなり、「トカーイ帝国の手引きで暗殺が行われた。
この機にトカーイ帝国が、近隣諸国を従えハローマ王国に攻めて来る。」
と、こんな調子です。
ハローマ王国に接する近隣小国は、自分達も蹂躙されるのではと疑心暗鬼になり、激しい情報合戦が繰り広げられました。
わたしもまだ子供でしたが、この事件のことは、覚えております。
それ程の危機状態だったのです。
ハローマ王国は、キンコー王国に仲裁に入ることを求めてきました。
両国は当時から盟友だったこともあり、仲裁役として、キンコー王国宰相のアーノルド様が、間に入られました。
アーノルド様は、第1皇子の死亡原因が、狩りの途中での事故死であったことの証拠を探し出し、事件性が無いことを確認しました。
次に、トカーイ帝国に亡命されたとされる貴族と会い、亡命の動機について聞き取りをされます。
その貴族は皇子の狩りに同行していたそうです。
皇子がイノシシを追いかけて林の中に単身入って行くの見て、慌てて追いかけたのですが、途中で見失い、林の中を探し回っていたのですが、その間に後から遅れて林に入った皇子の従者が、崖の下で生き絶えている皇子を発見したということです。
その狩りには、その貴族と敵対する貴族もおり、彼らがその貴族を落としめる為に噂を流したようです。
これについては既に聞き取りが終わっており、その貴族の言葉が正しいことを再確認出来たのです。
亡命に関しては、思ったより早い噂の拡がりに怖じ気づいた貴族の行動で、トカーイ帝国には何ら関係の無い話しだったのです。
アーノルド様は、トカーイ帝国、ハローマ王国双方を走り回り、仲裁を果たしたのですが、事態はそれで終わりませんでした。
噂に踊らされた小国同士が、あちらこちらで小競り合いを始めたのです。
アーノルド様は、当時駆け出しだった「赤いイナズマ」を引き連れ戦場を走り回り、時には会話で、時には武力であっという間に、それらの戦いを終わらせていったと言います。
以降、ハローマ王国のみならずトカーイ帝国や大陸各国で、「鬼神アーノルド」の名で呼ばれるようになったそうです。
えっ、子供のわたしが何故そんなに良く知っているのかですって。
「鬼神アーノルド、怒涛の仲裁」って舞台を観たんですよね。
事務局の皆様が鬼神に気をとられて動けない内に片付けをしてしまいましょうかね。
積み上がっている書類の山から数冊手に取って見て見ます。
事前に自国で調べてきたのでしょうか、大陸各国の様々な種類の情報が載っています。
よく調べられていると思いますが、急いで調べたのでしょうか、抜けや書きかけのものもあります。
同じような資料が3部、そう3ヶ国が同じような資料を作ってきたのです。
それも虫喰いのように。でも3つをあわせればきっと立派なものになると思います。
わたしは表紙を見ながら、分別していきます。
次に、虫喰いを補うように、3ヶ国の資料から良いとこ取りを始めました。
実はわたしにはこういった作業にはうってつけの新兵器があります。
カトウ運輸製の新商品「付箋」です。
アーノルド様の歓迎会の時にマサル様に頂いたのですが、これ良いです。
気になるところに貼っておけば忘れないし、
伝言メモにも使える。
けど、今回のような分別作業にはもっと効果を発揮します。
資料の必要なところにペタペタ貼っておけば、後で纏める時に凄く楽だし、色で仕分けすれば、資料の関連性も一目瞭然です。
更にボールペンで優先順位を書いておけば、もう整理は、終わったようなものです。
淡々と作業を続けていると、あっという間に片付いてしまいました。
作業を終え振り向くと、アーノルド様始め皆様が、じっとこちらを見つめていました。
「アニス、君はここで働いた方いいんじゃないかな。」
「アニスさん、是非お願い致します。」
アーノルド様に促され、皆様に懇願されたら嫌とは言えません。
こうしてわたしアニスは、国際連合事務局で働くことになったのでした。
国際連合は、ここナーラ領の首都ナーラに本部があります。
国際連合はキンコー王国、ハローマ王国、トカーイ帝国が幹事国とになります。
事務局長の人事については3年を任期として、基本幹事国の3国から選出されることになりました。
ナーラの事務局には、加盟国から派遣された30名の職員が常駐しており、それぞれの職務を遂行しています。
この職員以外にも、国際裁判所、特許管理、平和維持軍等の各機関毎に職員がいます。
アーノルド様の歓迎会から1週間が経った頃、アーノルド様やわたし達は、国際裁判所の建屋に移りました。
ここが、職場兼住居になります。
しばらくは、必要なものを揃えたり、片付けをしたりしていましたが、すっかり落ち着きました。
今のところ国際裁判所は、静かなものです。
今もアーノルド様はお茶を飲みながら、マサル様から渡された異世界の判例を読んでおられます。
国際裁判所の建屋は、国際連合事務局の建屋に隣接しています。
耳をすませば、そちらの声が聞こえる距離です。
事務局の方は、まだ落ち着かないようですね。
時折大きな怒号が聞こえてきます。
「あちらは、落ち着くまでに時間がかかるみたいだな。
まぁ3ヶ国から集まっておるしな。
ちょっと、手伝いに行ってやるか。のうアニス。」
「承知致しました。アーノルド様。お供させていただきます。」
わたし達は、国際連合事務局に入って行きました。
そこは書類が散らかり、まだまだ整理が出来ていません。
「皆、頑張っておるのぉ。ご苦労さん。」
事務所内に入られた、アーノルド様が国際連合事務局の面々に声を掛けられました。
皆は一斉にこちらを見て、アーノルド様と認識すると慌てて姿勢を正します。
「ちょっと大変そうな声が聞こえたんで、手伝いに来たぞ。
そんなに畏まらんでも大丈夫じゃよ。
作業を続けてくれ。」
皆の顔に緊張が伺えます。
実はアーノルド様、大陸では無茶苦茶有名なのです。
アーノルド様がキンコー王国の宰相をされている頃の話なんですが、大陸を2分するような問題が起きました。
キッカケはハローマ王国の第1皇子の死去でした。
第1皇子の死亡原因については、様々な噂が流れましたが、最も広がったのは第2皇子のガード様派の貴族による暗殺説でした。
しかもこの貴族は直後にトカーイ帝国に亡命してしまったのです。
当時キンコー王国と合わせて3大大国であった、ハローマ王国とトカーイ帝国は、絶えず小競り合いを繰り返し、一触即発状態でした。
噂はどんどん大きくなり、「トカーイ帝国の手引きで暗殺が行われた。
この機にトカーイ帝国が、近隣諸国を従えハローマ王国に攻めて来る。」
と、こんな調子です。
ハローマ王国に接する近隣小国は、自分達も蹂躙されるのではと疑心暗鬼になり、激しい情報合戦が繰り広げられました。
わたしもまだ子供でしたが、この事件のことは、覚えております。
それ程の危機状態だったのです。
ハローマ王国は、キンコー王国に仲裁に入ることを求めてきました。
両国は当時から盟友だったこともあり、仲裁役として、キンコー王国宰相のアーノルド様が、間に入られました。
アーノルド様は、第1皇子の死亡原因が、狩りの途中での事故死であったことの証拠を探し出し、事件性が無いことを確認しました。
次に、トカーイ帝国に亡命されたとされる貴族と会い、亡命の動機について聞き取りをされます。
その貴族は皇子の狩りに同行していたそうです。
皇子がイノシシを追いかけて林の中に単身入って行くの見て、慌てて追いかけたのですが、途中で見失い、林の中を探し回っていたのですが、その間に後から遅れて林に入った皇子の従者が、崖の下で生き絶えている皇子を発見したということです。
その狩りには、その貴族と敵対する貴族もおり、彼らがその貴族を落としめる為に噂を流したようです。
これについては既に聞き取りが終わっており、その貴族の言葉が正しいことを再確認出来たのです。
亡命に関しては、思ったより早い噂の拡がりに怖じ気づいた貴族の行動で、トカーイ帝国には何ら関係の無い話しだったのです。
アーノルド様は、トカーイ帝国、ハローマ王国双方を走り回り、仲裁を果たしたのですが、事態はそれで終わりませんでした。
噂に踊らされた小国同士が、あちらこちらで小競り合いを始めたのです。
アーノルド様は、当時駆け出しだった「赤いイナズマ」を引き連れ戦場を走り回り、時には会話で、時には武力であっという間に、それらの戦いを終わらせていったと言います。
以降、ハローマ王国のみならずトカーイ帝国や大陸各国で、「鬼神アーノルド」の名で呼ばれるようになったそうです。
えっ、子供のわたしが何故そんなに良く知っているのかですって。
「鬼神アーノルド、怒涛の仲裁」って舞台を観たんですよね。
事務局の皆様が鬼神に気をとられて動けない内に片付けをしてしまいましょうかね。
積み上がっている書類の山から数冊手に取って見て見ます。
事前に自国で調べてきたのでしょうか、大陸各国の様々な種類の情報が載っています。
よく調べられていると思いますが、急いで調べたのでしょうか、抜けや書きかけのものもあります。
同じような資料が3部、そう3ヶ国が同じような資料を作ってきたのです。
それも虫喰いのように。でも3つをあわせればきっと立派なものになると思います。
わたしは表紙を見ながら、分別していきます。
次に、虫喰いを補うように、3ヶ国の資料から良いとこ取りを始めました。
実はわたしにはこういった作業にはうってつけの新兵器があります。
カトウ運輸製の新商品「付箋」です。
アーノルド様の歓迎会の時にマサル様に頂いたのですが、これ良いです。
気になるところに貼っておけば忘れないし、
伝言メモにも使える。
けど、今回のような分別作業にはもっと効果を発揮します。
資料の必要なところにペタペタ貼っておけば、後で纏める時に凄く楽だし、色で仕分けすれば、資料の関連性も一目瞭然です。
更にボールペンで優先順位を書いておけば、もう整理は、終わったようなものです。
淡々と作業を続けていると、あっという間に片付いてしまいました。
作業を終え振り向くと、アーノルド様始め皆様が、じっとこちらを見つめていました。
「アニス、君はここで働いた方いいんじゃないかな。」
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アーノルド様に促され、皆様に懇願されたら嫌とは言えません。
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