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第1話:王子の告白
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リーリャ・エマス15歳、六年制の王立学園に通う四年生。
成績優秀で二年連続学年首位となった彼女は、表彰台の常連だった。
しかし本人は派手な事を好まない性格で、周囲に褒められてもあまり嬉しそうな顔をしない。
「学生たるもの、学業で成果を出せるのは喜ばしいものです。これからも高みを目指し続けます」
それがリーリャという少女である。
文武両道な彼女はまさに優等生を絵に描いたような生徒で、日々の鍛錬を欠かさない。
「おはようリーリャ、今日も朝早くから精が出るね」
日課となっている朝のジョギングをしていたリーリャに声を掛けたのは、この国の第一王子リュカリウス。
現在六年生の彼は全女子生徒の憧れ。
早くに婚約者を決めたくない、との理由で学園への入学を希望したという。
そのため世継ぎの彼とお近づきになりたい!という女子生徒が殺到し、リュカリウスが入学した頃は大変な騒ぎだった。
リーリャが入学した時には騒ぎも落ち着いてきていて、リュカリウスは他の生徒達に溶け込み生徒生活を送っている。
「おはようございます、殿下」
普通の生徒であれば彼に話しかけられたら狂喜乱舞するところなのだが、目立ちたくないリーリャは全く嬉しくない。
更に、一学年下の妹から常日頃言われているのだ…玉の輿は自分が狙っているから邪魔しないでくれと。
妹のアーリャはオシャレ好きで昔から白馬の王子様を夢見るような少女。
二人は性格こそ違えど仲の良い姉妹で、性格が違うからこそ取り合いの喧嘩なども起きず平和に過ごしてきた。
リーリャは王子に興味がないため学業に専念してきたのだが、何故か最近やたらと王子に絡まれるように。
(ついに朝のジョギングにまで現れた…なんで?)
初めて声を掛けられたのは図書室で、勉強家のリーリャは同じく読書好きのリュカリウスと話が合った。
そのうち裏庭で昼食をとっている時にも現れるようになり、遂に朝の日課中にまで現れたというわけだ。
(殿下はお城から登校しているはずなのに。何時に来たのよ)
地方から出てきたリーリャは寮生だが、リュカリウスは城から毎朝通っている。
誰もいない時間を狙った筈なのに、何故リュカリウスがいるのだろうか?
不思議に思いながら走り去ろうとするリーリャを、リュカリウスが笑顔で追ってきた。
「俺も走ろうと思ってさ。君は毎朝走っているんだろう?警備の人から聞いたよ」
警備のおっちゃんが情報を流したのか。
警備員なのに個人の行動パターンを勝手にバラすのはいかがなものかと思いながら、リーリャはそのまま走り続ける。
「入学直後からずっと続けているらしいね、凄いな」
「別に凄くないですよ、ただの習慣ですので」
「だって、勉強もしているだろう?二年間ずっと学年首位なんて凄いことだよ」
「読書が好きですので頭に入ってくるだけです」
リーリャは淡々と答えているのに、並走するリュカリウスは嬉しそうな笑顔。
なぜ自分に構うのか、リーリャには理解できなかった。
「そうだ、この間君が読んでいた本。俺も読んでみたよ、新しい発見ができた」
「それは良かったですね」
「リーリャとの会話は実に楽しい。頭の硬い先生達よりも柔軟で、知識量は多いからね」
「先生方の知識には及びませんよ」
「またまた謙遜を。先生の問題集が間違ってたんだろう?リーリャが気づいたおかげでテストに間に合ったって聞いたよ」
どこまで聞き出しているのか。
ストーカーじみているリュカリウスの行動に、リーリャは引いていた。
「…なんでそんなに私の事気にするんですか」
ジョギングが終わったタイミングで訪ねたリーリャに、リュカリウスは爽やかな笑顔でサラリと言ったのだ。
「なんでって?俺は君の事が好きだから」
お妃候補に引っ掛かりもしないはずの一生徒でしかないリーリャは、王子から告白されたのだった。
成績優秀で二年連続学年首位となった彼女は、表彰台の常連だった。
しかし本人は派手な事を好まない性格で、周囲に褒められてもあまり嬉しそうな顔をしない。
「学生たるもの、学業で成果を出せるのは喜ばしいものです。これからも高みを目指し続けます」
それがリーリャという少女である。
文武両道な彼女はまさに優等生を絵に描いたような生徒で、日々の鍛錬を欠かさない。
「おはようリーリャ、今日も朝早くから精が出るね」
日課となっている朝のジョギングをしていたリーリャに声を掛けたのは、この国の第一王子リュカリウス。
現在六年生の彼は全女子生徒の憧れ。
早くに婚約者を決めたくない、との理由で学園への入学を希望したという。
そのため世継ぎの彼とお近づきになりたい!という女子生徒が殺到し、リュカリウスが入学した頃は大変な騒ぎだった。
リーリャが入学した時には騒ぎも落ち着いてきていて、リュカリウスは他の生徒達に溶け込み生徒生活を送っている。
「おはようございます、殿下」
普通の生徒であれば彼に話しかけられたら狂喜乱舞するところなのだが、目立ちたくないリーリャは全く嬉しくない。
更に、一学年下の妹から常日頃言われているのだ…玉の輿は自分が狙っているから邪魔しないでくれと。
妹のアーリャはオシャレ好きで昔から白馬の王子様を夢見るような少女。
二人は性格こそ違えど仲の良い姉妹で、性格が違うからこそ取り合いの喧嘩なども起きず平和に過ごしてきた。
リーリャは王子に興味がないため学業に専念してきたのだが、何故か最近やたらと王子に絡まれるように。
(ついに朝のジョギングにまで現れた…なんで?)
初めて声を掛けられたのは図書室で、勉強家のリーリャは同じく読書好きのリュカリウスと話が合った。
そのうち裏庭で昼食をとっている時にも現れるようになり、遂に朝の日課中にまで現れたというわけだ。
(殿下はお城から登校しているはずなのに。何時に来たのよ)
地方から出てきたリーリャは寮生だが、リュカリウスは城から毎朝通っている。
誰もいない時間を狙った筈なのに、何故リュカリウスがいるのだろうか?
不思議に思いながら走り去ろうとするリーリャを、リュカリウスが笑顔で追ってきた。
「俺も走ろうと思ってさ。君は毎朝走っているんだろう?警備の人から聞いたよ」
警備のおっちゃんが情報を流したのか。
警備員なのに個人の行動パターンを勝手にバラすのはいかがなものかと思いながら、リーリャはそのまま走り続ける。
「入学直後からずっと続けているらしいね、凄いな」
「別に凄くないですよ、ただの習慣ですので」
「だって、勉強もしているだろう?二年間ずっと学年首位なんて凄いことだよ」
「読書が好きですので頭に入ってくるだけです」
リーリャは淡々と答えているのに、並走するリュカリウスは嬉しそうな笑顔。
なぜ自分に構うのか、リーリャには理解できなかった。
「そうだ、この間君が読んでいた本。俺も読んでみたよ、新しい発見ができた」
「それは良かったですね」
「リーリャとの会話は実に楽しい。頭の硬い先生達よりも柔軟で、知識量は多いからね」
「先生方の知識には及びませんよ」
「またまた謙遜を。先生の問題集が間違ってたんだろう?リーリャが気づいたおかげでテストに間に合ったって聞いたよ」
どこまで聞き出しているのか。
ストーカーじみているリュカリウスの行動に、リーリャは引いていた。
「…なんでそんなに私の事気にするんですか」
ジョギングが終わったタイミングで訪ねたリーリャに、リュカリウスは爽やかな笑顔でサラリと言ったのだ。
「なんでって?俺は君の事が好きだから」
お妃候補に引っ掛かりもしないはずの一生徒でしかないリーリャは、王子から告白されたのだった。
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