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第2話:私に構わないでください
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王子リュカリウスからの告白。
1000人いれば999人は喜ぶであろう、人生最大級の幸福。
しかしリーリャは、
「…お受けできません」
拒絶の意思を示した。
「…言うと思ったよ。一応理由を聞いても良い?」
驚いた事にリュカリウスは振られる事を想定していたらしい。
王子という立場に胡座をかかないその姿勢は素晴らしく、好ましいと思いながらもリーリャは受け入れるわけにいかなかった。
「私は学業に専念したいんです、王子と恋仲になったりしたら大騒ぎになってしまうし自由がなくなります」
「卒業を待つと言っても無理?」
「…ごめんなさい」
「俺の事好きになれない?」
「素敵な方だとは思います。けれど隣に立つのは私ではないのです」
「…俺が望んでいるのに?」
だって、貴方の事を狙っているのは妹だから。
それを言ってしまうと妹の印象が悪くなる、そう思うと口にはできなかった。
「…ごめんなさい、リュカリウス様。お気持ちは嬉しいですが、私は駄目なんです」
好きにはなれない、なってはいけない。
ずっとそうやって心に蓋をしてきたことに、リーリャは気づいていない。
「どうか私に構わないでください、他の方に目を向けてください」
好きになってしまわないように。
距離を置きたいのに、いつも彼は踏み込んでくる。
「君は残酷な事を言うね」
悲しげに笑うリュカリウスを見るとリーリャの心は痛んだ。
「俺の気持ちは俺のものだ。自由でありたくてこの学校に通っている。その間だけでも…君を想うことすら許してくれないのかい」
「私は…」
その時、出勤する教師達の話し声が近づいてきた。
「…ごめんなさい、殿下」
リーリャは頭を下げると、着替えるために寮へと急いだ。
「…俺は諦めないよ、リーリャ」
リュカリウスの呟きは彼女に届かなかったけれど。
リーリャが涙を堪えていた事も、リュカリウスには気づかれなかった。
(…なんで。何でこんなに苦しいの?)
妹アーリャは幼い頃から白馬の王子様の迎えを夢見ていて、玉の輿を狙っている。
それを実現させるために日々自分磨きをしていて、本当に可愛い妹だ。
(私はアーリャを応援してるのに。リュカリウス様は私を好き?)
嬉しいと、思ってしまった。
選ばれたいなんて思った事もなかったのに、喜びを感じてしまったのだ。
(どうしよう…アーリャがリュカリウス様の目に留まれば良いんだ。そうすれば私は…)
遠くから見ている事ができる、それでいい。
それでいいはずなのに…彼の隣に妹が立つ姿を想像し、リーリャの目から涙が溢れる。
(なんで?なんでよ。私は王子なんて狙ってない、お妃様なんて望んでないのに)
図書室で本を勧めあったり、新しい論文について語り合ったり。
考えを共有する時間は楽しかった…それが失われるのは嫌だった。
「それはワガママよ、リーリャ。お姉ちゃんなんだから我慢するの。アーリャは可愛い妹なんだから、あの子の努力を無駄にしちゃいけない」
部屋で一人、自分に言い聞かせて。
リーリャは顔を洗い、登校の支度を整えたのであった。
1000人いれば999人は喜ぶであろう、人生最大級の幸福。
しかしリーリャは、
「…お受けできません」
拒絶の意思を示した。
「…言うと思ったよ。一応理由を聞いても良い?」
驚いた事にリュカリウスは振られる事を想定していたらしい。
王子という立場に胡座をかかないその姿勢は素晴らしく、好ましいと思いながらもリーリャは受け入れるわけにいかなかった。
「私は学業に専念したいんです、王子と恋仲になったりしたら大騒ぎになってしまうし自由がなくなります」
「卒業を待つと言っても無理?」
「…ごめんなさい」
「俺の事好きになれない?」
「素敵な方だとは思います。けれど隣に立つのは私ではないのです」
「…俺が望んでいるのに?」
だって、貴方の事を狙っているのは妹だから。
それを言ってしまうと妹の印象が悪くなる、そう思うと口にはできなかった。
「…ごめんなさい、リュカリウス様。お気持ちは嬉しいですが、私は駄目なんです」
好きにはなれない、なってはいけない。
ずっとそうやって心に蓋をしてきたことに、リーリャは気づいていない。
「どうか私に構わないでください、他の方に目を向けてください」
好きになってしまわないように。
距離を置きたいのに、いつも彼は踏み込んでくる。
「君は残酷な事を言うね」
悲しげに笑うリュカリウスを見るとリーリャの心は痛んだ。
「俺の気持ちは俺のものだ。自由でありたくてこの学校に通っている。その間だけでも…君を想うことすら許してくれないのかい」
「私は…」
その時、出勤する教師達の話し声が近づいてきた。
「…ごめんなさい、殿下」
リーリャは頭を下げると、着替えるために寮へと急いだ。
「…俺は諦めないよ、リーリャ」
リュカリウスの呟きは彼女に届かなかったけれど。
リーリャが涙を堪えていた事も、リュカリウスには気づかれなかった。
(…なんで。何でこんなに苦しいの?)
妹アーリャは幼い頃から白馬の王子様の迎えを夢見ていて、玉の輿を狙っている。
それを実現させるために日々自分磨きをしていて、本当に可愛い妹だ。
(私はアーリャを応援してるのに。リュカリウス様は私を好き?)
嬉しいと、思ってしまった。
選ばれたいなんて思った事もなかったのに、喜びを感じてしまったのだ。
(どうしよう…アーリャがリュカリウス様の目に留まれば良いんだ。そうすれば私は…)
遠くから見ている事ができる、それでいい。
それでいいはずなのに…彼の隣に妹が立つ姿を想像し、リーリャの目から涙が溢れる。
(なんで?なんでよ。私は王子なんて狙ってない、お妃様なんて望んでないのに)
図書室で本を勧めあったり、新しい論文について語り合ったり。
考えを共有する時間は楽しかった…それが失われるのは嫌だった。
「それはワガママよ、リーリャ。お姉ちゃんなんだから我慢するの。アーリャは可愛い妹なんだから、あの子の努力を無駄にしちゃいけない」
部屋で一人、自分に言い聞かせて。
リーリャは顔を洗い、登校の支度を整えたのであった。
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