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エピローグ
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八代家との決着がつき、屋敷に戻った私は。
まだ胸の奥がじんわり熱い感覚を抱えたまま、縁側に座っていた。
夜の空気は静かで、どこか優しい。
庭を照らす月の光は、まるで私を祝福してくれているようで――
こんな夜が来るなんて、昔の私は想像もできなかった。
『椿様』
後ろから政宗さんの声がする。
振り返ると、彼はいつもの穏やかな笑みを浮かべていた。
でも今日は、なぜかそれが少し切なく見えた。
「政宗さん……」
隣に腰を下ろした政宗さんは、しばらく月を見つめていた。
やがて、静かに言う。
『椿様。まずは――お疲れさまでした』
「うん……ありがとう。
政宗さんがいてくれたから、私……頑張れたよ」
それは本当のことだった。
政宗さんがいなければ、私は今も過去の影に怯えたままだったと思う。
政宗さんはそっと私の手を取る。
『……私は、本当に驚きました。
椿様の力が、あれほど優しく、美しく溢れるなんて』
「優し……かった?」
『はい。あれは怒りでも憎しみでもない。
守りたいという願いから生まれた光です』
胸の奥があたたかくなる。
確かに、あの時私は怖かったけれど――
それ以上に、政宗さんを守りたかった。
『椿様は、強く、優しい方です。
だからあの光は、誰にも止められなかった』
「そんな……褒めすぎだよ……」
照れた声を出すと、政宗さんはふっと笑った。
『いえ。本当のことです。
椿様は――私が出会った中で、一番美しい魂を持っています』
胸が一気に熱くなる。
まっすぐすぎる。
優しすぎる。
こんなふうに言われたら、嬉しくて泣きたくなってしまう。
政宗さんは、手を離さないまま私の方へ向き直った。
『椿様。
私は、あなたを守るためなら、この身すべてを差し出す覚悟があります』
「……政宗さん……?」
『ですが、それは……椿様が望むなら、です』
政宗さんの金の瞳が、月よりも柔らかく輝く。
そして――
『椿様。どうか、私と――共に生きていただけませんか?』
それは、とても静かな言葉だった。
けれど、胸の奥に真っ直ぐ届いて、心臓が跳ねた。
共に、生きる。
政宗さんと?
信じられない気持ちと、嬉しさが一気にあふれてきて……
気づけば、涙がぽろりとこぼれていた。
「……私なんかで……いいの……?」
昔の癖で、ついそう言ってしまう。
でも政宗さんは、まるで迷いなく首を振った。
『椿様以外の誰を選ぶというのですか。
椿様は、私を救い、私に生きる意味をくれた人です』
涙が止まらない。
『椿様。
どうか私の伴侶になってください』
その言葉に、胸の奥が震える。
私を出来損ないと呼んだ家でもなく、
力を封じた家族でもなく――
この人が、私を選んでくれる。
私は、涙を拭きながら小さく笑った。
「……政宗さん。
私も……あなたと一緒に生きたい」
その瞬間、政宗さんの表情がほんの少し崩れ、安堵と喜びが一気にあふれたように見えた。
次の瞬間――
そっと抱きしめられた。
『……ありがとうございます、椿様……』
あたたかい腕の中で、私も腕を回す。
この人のそばなら――
私はもう、出来損ないなんかじゃない。
封じられた力じゃない。
ただの、椿。
政宗さんが愛してくれる、唯ひとりの椿。
月が静かに照らす夜。
私は、私の未来を初めて自分で選んだ。
――これから私は、政宗さんと一緒に歩いていく。
もう、誰に否定されることもなく。
誰に縛られることもなく。
私は私のままで、愛されていい。
その事実を、あの優しい腕が教えてくれる。
『椿様。これから、どうか末永く……』
「うん……末永くね」
そう言って笑い合う私たちを、月がそっと見守っていた。
こうして――
出来損ないと言われてきた私の物語は、
最も優しい結末へとたどり着いたのだった。
まだ胸の奥がじんわり熱い感覚を抱えたまま、縁側に座っていた。
夜の空気は静かで、どこか優しい。
庭を照らす月の光は、まるで私を祝福してくれているようで――
こんな夜が来るなんて、昔の私は想像もできなかった。
『椿様』
後ろから政宗さんの声がする。
振り返ると、彼はいつもの穏やかな笑みを浮かべていた。
でも今日は、なぜかそれが少し切なく見えた。
「政宗さん……」
隣に腰を下ろした政宗さんは、しばらく月を見つめていた。
やがて、静かに言う。
『椿様。まずは――お疲れさまでした』
「うん……ありがとう。
政宗さんがいてくれたから、私……頑張れたよ」
それは本当のことだった。
政宗さんがいなければ、私は今も過去の影に怯えたままだったと思う。
政宗さんはそっと私の手を取る。
『……私は、本当に驚きました。
椿様の力が、あれほど優しく、美しく溢れるなんて』
「優し……かった?」
『はい。あれは怒りでも憎しみでもない。
守りたいという願いから生まれた光です』
胸の奥があたたかくなる。
確かに、あの時私は怖かったけれど――
それ以上に、政宗さんを守りたかった。
『椿様は、強く、優しい方です。
だからあの光は、誰にも止められなかった』
「そんな……褒めすぎだよ……」
照れた声を出すと、政宗さんはふっと笑った。
『いえ。本当のことです。
椿様は――私が出会った中で、一番美しい魂を持っています』
胸が一気に熱くなる。
まっすぐすぎる。
優しすぎる。
こんなふうに言われたら、嬉しくて泣きたくなってしまう。
政宗さんは、手を離さないまま私の方へ向き直った。
『椿様。
私は、あなたを守るためなら、この身すべてを差し出す覚悟があります』
「……政宗さん……?」
『ですが、それは……椿様が望むなら、です』
政宗さんの金の瞳が、月よりも柔らかく輝く。
そして――
『椿様。どうか、私と――共に生きていただけませんか?』
それは、とても静かな言葉だった。
けれど、胸の奥に真っ直ぐ届いて、心臓が跳ねた。
共に、生きる。
政宗さんと?
信じられない気持ちと、嬉しさが一気にあふれてきて……
気づけば、涙がぽろりとこぼれていた。
「……私なんかで……いいの……?」
昔の癖で、ついそう言ってしまう。
でも政宗さんは、まるで迷いなく首を振った。
『椿様以外の誰を選ぶというのですか。
椿様は、私を救い、私に生きる意味をくれた人です』
涙が止まらない。
『椿様。
どうか私の伴侶になってください』
その言葉に、胸の奥が震える。
私を出来損ないと呼んだ家でもなく、
力を封じた家族でもなく――
この人が、私を選んでくれる。
私は、涙を拭きながら小さく笑った。
「……政宗さん。
私も……あなたと一緒に生きたい」
その瞬間、政宗さんの表情がほんの少し崩れ、安堵と喜びが一気にあふれたように見えた。
次の瞬間――
そっと抱きしめられた。
『……ありがとうございます、椿様……』
あたたかい腕の中で、私も腕を回す。
この人のそばなら――
私はもう、出来損ないなんかじゃない。
封じられた力じゃない。
ただの、椿。
政宗さんが愛してくれる、唯ひとりの椿。
月が静かに照らす夜。
私は、私の未来を初めて自分で選んだ。
――これから私は、政宗さんと一緒に歩いていく。
もう、誰に否定されることもなく。
誰に縛られることもなく。
私は私のままで、愛されていい。
その事実を、あの優しい腕が教えてくれる。
『椿様。これから、どうか末永く……』
「うん……末永くね」
そう言って笑い合う私たちを、月がそっと見守っていた。
こうして――
出来損ないと言われてきた私の物語は、
最も優しい結末へとたどり着いたのだった。
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