69 / 105
ロイスナーに来て、二度目の冬
一緒に 1
しおりを挟む
ギシギシと錆びついてしまったような体の中で、唯一まぶただけが滑らかに動いた。二度三度とその動きを確かめるようにまばたきを重ねれば、徐々に目に映る景色に色が付き、記憶の中の景色から同じものを選び出そうとする。
(ここは、どこだ?)
なんとか首を左右に動かし、自分が今いる場所の特定に急ぐ。
見たこともない魔獣を相手に、布袋の魔力石はその全てが砕け散った。ここで食い止めなければ、魔獣達は一直線にロイスナーの中心まで入り込んで行くだろう。その後に待ち受ける未来は想像を絶する。
最後の魔法を撃ち込む際、普段の何倍もの魔力を込めた。魔力が枯渇してしまうことの危険を、頭痛という形で体が自分に伝える。魔獣から受けた傷から、血が噴き出していくのが見えた。
それでも、自分の持てる力を全て使い果たしてでも、討伐は成功させなければ。
辺境伯としての義務など、元々どうだって良かった。ベルンハルトを突き動かすのはただ一つ。最愛の人、リーゼロッテの盾となる、その決意だけ。リーゼロッテの剣にも盾にもなると決めた、あの日から。
「ベルンハルト様。お目覚めですか?」
聞き慣れた声の方向へと顔を向ければ、アルベルトがベルンハルトをのぞき込んでいた。
「あ、あぁ」
何とか絞り出した声は音にならず、唇から空気が漏れ出しただけのもの。
「奥様を呼んできますね」
次に聞こえた声はヘルムートのものだ。同じ部屋の中にいたのだろうが、すぐに部屋を出ていったのがわかる。
「アル……ここは?」
アルベルトがいてヘルムートがいる。その事実からロイスナーの城に戻ってきたのはわかった。だが、ベルンハルトが寝ているこの部屋がどこなのか、心当たりがない。いや、たった一つだけ、考えたくもない予想。
「奥様のお部屋です」
悪い予想というのは、得てして当たるもので、一番考えたくもなかった予想が現実になる。
「な……なぜ」
「レティシア様がこちらに連れてきたのです。こちらであれば、奥様がいらっしゃるとお考えだったようです」
討伐で怪我負ったレティシアが、信用できる人間にベルンハルトの体を受け渡しただけ、その選択は何一つとして間違ってはいない。ただ、思わぬ形でリーゼロッテの部屋を独占してしまった。呼んでくるとヘルムートが言ったことを考えれば、リーゼロッテは別の部屋にいるのだろう。
こんな形でリーゼロッテのベッドに寝ることなど考えてもいなかった。もっと、ちゃんとした形で。
(こんな時に、何を考えているんだ)
自分の思考回路に呆れかえりながら、ようやく動き出した手で、顔を覆った。
「っ! かめ……ん」
「どうぞ」
アルベルトの手から差し出される白い仮面。ベルンハルトの顔に広がる醜いあざを覆い隠す蓋。それはあざだけでなく、貴族らしく取り繕うことのできないベルンハルトの表情を隠し、与えられた自分の運命に抗う気持ちすら閉じ込める。
魔獣を討伐することも、辺境伯でいることも、こんなあざがあることも。どれ一つとしてベルンハルト自身が望んだものではない。結婚相手ですら、自分の力で手に入れることはできなかった。そんな運命に従うためにも必要な枷。
片手で握りつぶしてしまえそうなぐらい薄い仮面。簡単に外すことのできるそれは、ベルンハルトにとっては何よりも重たいもの。自由になった手で、いつものようにそれを付けた。
「外したのは?」
「だ、大丈夫です。ベルンハルト様のお世話は、私と父上で」
「そうか。すまないな」
アルベルトの話を聞いて、ベルンハルトは心から安堵した。このあざをリーゼロッテに見せるわけにはいかない。ようやく形作られてきた夫婦の形。それを壊してしまう未来など、考えられない。
ベルンハルトの脳裏によみがえる、温室で会った時の記憶。父親であるバルタザールから隠れるように一国の王女が温室で夜を明かしていた。春といえどもまだ冷えるであろう季節に、温室の木の根元で着の身着のまま横たわるリーゼロッテは、ベルンハルトに嫌悪を覚えればまたどうにかして逃げ出すことを考えるだろう。
王都に戻るつもりがないリーゼロッテがこの城から逃げ出してしまえば、次はどこへ行ってしまうかわからない。バルタザールの様に逃げられることなど、耐えられるわけがない。
(毛布しか渡してあげられないが)
「ベルンハルト様。奥様をお連れしました」
「あぁ。大丈夫だ」
ヘルムートに連れられてきたリーゼロッテはいつものように穏やかに微笑んでいて、ベルンハルトの気持ちが和んでいくのがわかる。
(こうして、側で笑っていて欲しいな)
リーゼロッテの笑顔につられて、つい顔が綻んだベルンハルトの目は、口元に笑みをたたえたまま大きく見開かれていった。
「ベルンハルト様。笑っている場合じゃありません。どれだけ、皆が心配したと思っているのですか?」
リーゼロッテの声色は、これまでに聞いたことがないぐらい冷え切っていて、その顔からは微笑みが消えた。
「す、すまない」
ベルンハルトがリーゼロッテの怒りの表情を見るのは初めてだった。結婚してからのリーゼロッテはいつでも穏やかな微笑み浮かべていて、滅多にその感情を外に出すことはない。
「本当です。みんな……どれだけ……」
体を動かせないベルンハルトが、リーゼロッテの顔を見つめていれば、その目元には徐々に涙が溜まっていくのが見える。
「心配……かけたな」
「わ、わたくし……ベルンハルト様に、何かあったらって……」
リーゼロッテの目元に光る涙は少しずつその質量を増やしていき、今まさにこぼれ落ちようとしている。そんな様子を見ていたアルベルトとヘルムートが部屋を出ていこうとしてるのを、目の端でとらえた。
常日頃、貴族らしくあろうと微笑みを絶やさずにいるリーゼロッテにとって、涙を見られることは望ましいことではないだろう。部屋の扉の外に控える二人はそれをわかっていて、リーゼロッテが落ち着くまではこのままにしておいてくれるはずだ。
(ここは、どこだ?)
なんとか首を左右に動かし、自分が今いる場所の特定に急ぐ。
見たこともない魔獣を相手に、布袋の魔力石はその全てが砕け散った。ここで食い止めなければ、魔獣達は一直線にロイスナーの中心まで入り込んで行くだろう。その後に待ち受ける未来は想像を絶する。
最後の魔法を撃ち込む際、普段の何倍もの魔力を込めた。魔力が枯渇してしまうことの危険を、頭痛という形で体が自分に伝える。魔獣から受けた傷から、血が噴き出していくのが見えた。
それでも、自分の持てる力を全て使い果たしてでも、討伐は成功させなければ。
辺境伯としての義務など、元々どうだって良かった。ベルンハルトを突き動かすのはただ一つ。最愛の人、リーゼロッテの盾となる、その決意だけ。リーゼロッテの剣にも盾にもなると決めた、あの日から。
「ベルンハルト様。お目覚めですか?」
聞き慣れた声の方向へと顔を向ければ、アルベルトがベルンハルトをのぞき込んでいた。
「あ、あぁ」
何とか絞り出した声は音にならず、唇から空気が漏れ出しただけのもの。
「奥様を呼んできますね」
次に聞こえた声はヘルムートのものだ。同じ部屋の中にいたのだろうが、すぐに部屋を出ていったのがわかる。
「アル……ここは?」
アルベルトがいてヘルムートがいる。その事実からロイスナーの城に戻ってきたのはわかった。だが、ベルンハルトが寝ているこの部屋がどこなのか、心当たりがない。いや、たった一つだけ、考えたくもない予想。
「奥様のお部屋です」
悪い予想というのは、得てして当たるもので、一番考えたくもなかった予想が現実になる。
「な……なぜ」
「レティシア様がこちらに連れてきたのです。こちらであれば、奥様がいらっしゃるとお考えだったようです」
討伐で怪我負ったレティシアが、信用できる人間にベルンハルトの体を受け渡しただけ、その選択は何一つとして間違ってはいない。ただ、思わぬ形でリーゼロッテの部屋を独占してしまった。呼んでくるとヘルムートが言ったことを考えれば、リーゼロッテは別の部屋にいるのだろう。
こんな形でリーゼロッテのベッドに寝ることなど考えてもいなかった。もっと、ちゃんとした形で。
(こんな時に、何を考えているんだ)
自分の思考回路に呆れかえりながら、ようやく動き出した手で、顔を覆った。
「っ! かめ……ん」
「どうぞ」
アルベルトの手から差し出される白い仮面。ベルンハルトの顔に広がる醜いあざを覆い隠す蓋。それはあざだけでなく、貴族らしく取り繕うことのできないベルンハルトの表情を隠し、与えられた自分の運命に抗う気持ちすら閉じ込める。
魔獣を討伐することも、辺境伯でいることも、こんなあざがあることも。どれ一つとしてベルンハルト自身が望んだものではない。結婚相手ですら、自分の力で手に入れることはできなかった。そんな運命に従うためにも必要な枷。
片手で握りつぶしてしまえそうなぐらい薄い仮面。簡単に外すことのできるそれは、ベルンハルトにとっては何よりも重たいもの。自由になった手で、いつものようにそれを付けた。
「外したのは?」
「だ、大丈夫です。ベルンハルト様のお世話は、私と父上で」
「そうか。すまないな」
アルベルトの話を聞いて、ベルンハルトは心から安堵した。このあざをリーゼロッテに見せるわけにはいかない。ようやく形作られてきた夫婦の形。それを壊してしまう未来など、考えられない。
ベルンハルトの脳裏によみがえる、温室で会った時の記憶。父親であるバルタザールから隠れるように一国の王女が温室で夜を明かしていた。春といえどもまだ冷えるであろう季節に、温室の木の根元で着の身着のまま横たわるリーゼロッテは、ベルンハルトに嫌悪を覚えればまたどうにかして逃げ出すことを考えるだろう。
王都に戻るつもりがないリーゼロッテがこの城から逃げ出してしまえば、次はどこへ行ってしまうかわからない。バルタザールの様に逃げられることなど、耐えられるわけがない。
(毛布しか渡してあげられないが)
「ベルンハルト様。奥様をお連れしました」
「あぁ。大丈夫だ」
ヘルムートに連れられてきたリーゼロッテはいつものように穏やかに微笑んでいて、ベルンハルトの気持ちが和んでいくのがわかる。
(こうして、側で笑っていて欲しいな)
リーゼロッテの笑顔につられて、つい顔が綻んだベルンハルトの目は、口元に笑みをたたえたまま大きく見開かれていった。
「ベルンハルト様。笑っている場合じゃありません。どれだけ、皆が心配したと思っているのですか?」
リーゼロッテの声色は、これまでに聞いたことがないぐらい冷え切っていて、その顔からは微笑みが消えた。
「す、すまない」
ベルンハルトがリーゼロッテの怒りの表情を見るのは初めてだった。結婚してからのリーゼロッテはいつでも穏やかな微笑み浮かべていて、滅多にその感情を外に出すことはない。
「本当です。みんな……どれだけ……」
体を動かせないベルンハルトが、リーゼロッテの顔を見つめていれば、その目元には徐々に涙が溜まっていくのが見える。
「心配……かけたな」
「わ、わたくし……ベルンハルト様に、何かあったらって……」
リーゼロッテの目元に光る涙は少しずつその質量を増やしていき、今まさにこぼれ落ちようとしている。そんな様子を見ていたアルベルトとヘルムートが部屋を出ていこうとしてるのを、目の端でとらえた。
常日頃、貴族らしくあろうと微笑みを絶やさずにいるリーゼロッテにとって、涙を見られることは望ましいことではないだろう。部屋の扉の外に控える二人はそれをわかっていて、リーゼロッテが落ち着くまではこのままにしておいてくれるはずだ。
24
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?
向原 行人
ファンタジー
第三王子が趣味で行っている冒険のパーティに所属するマッパー兼食事係の私、アニエスは突然パーティを追放されてしまった。
というのも、新しい食事係の少女をスカウトしたそうで、水魔法しか使えない私とは違い、複数の魔法が使えるのだとか。
私も、好きでもない王子から勝手に婚約者呼ばわりされていたし、追放されたのはありがたいかも。
だけど私が唯一使える水魔法が、実は「飲むと数時間の間、能力を倍増する」効果が得られる神水だったらしく、その効果を失った王子のパーティは、一気に転落していく。
戻ってきて欲しいって言われても、既にモフモフ妖狐や、新しい仲間たちと幸せな日々を過ごしてますから。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ギルド受付嬢は今日も見送る~平凡な私がのんびりと暮らす街にやってきた、少し不思議な魔術師との日常~
弥生紗和
ファンタジー
【完結】私はギルド受付嬢のエルナ。魔物を倒す「討伐者」に依頼を紹介し、彼らを見送る毎日だ。最近ギルドにやってきたアレイスさんという魔術師は、綺麗な顔をした素敵な男性でとても優しい。平凡で代わり映えのしない毎日が、彼のおかげでとても楽しい。でもアレイスさんには何か秘密がありそうだ。
一方のアレイスは、真っすぐで優しいエルナに次第に重い感情を抱き始める――
恋愛はゆっくりと進展しつつ、アレイスの激重愛がチラチラと。大きな事件やバトルは起こりません。こんな街で暮らしたい、と思えるような素敵な街「ミルデン」の日常と、小さな事件を描きます。
大人女性向けの異世界スローライフをお楽しみください。
西洋風異世界ですが、実際のヨーロッパとは異なります。魔法が当たり前にある世界です。食べ物とかファッションとか、かなり自由に書いてます。あくまで「こんな世界があったらいいな」ということで、ご容赦ください。
※サブタイトルで「魔術師アレイス~」となっているエピソードは、アレイス側から見たお話となります。
この作品は小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。
鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。
さらに、偽聖女と決めつけられる始末。
しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!?
他サイトにも重複掲載中です。
司書ですが、何か?
みつまめ つぼみ
ファンタジー
16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。
ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ
水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。
それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。
黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。
叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。
ですが、私は知らなかった。
黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。
残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる