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11話目 待ちに待った…
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【リンモンの月10日 銀月の迷い猫の加入試験参加者募集】
ついにこの時がやってきた!!
冒険者協会の掲示板に貼られた一枚の告知に俺はガッツポーズをしながら膝から崩れ落ちてしまった。
落ち着け、落ち着け俺……ここで何か見落としてまた一年待つことになったら悔やんでも悔やみきれないぞ?しっかりと告知内容を確認するんだ。
書かれていた内容は試験日と試験資格と参加登録締切日だ。やはり試験内容については何も書かれておらず、普段の依頼に出かける姿でご参加くださいとだけ書かれていた。
広報担当のユマの可愛らしいイラストと『みんなと一緒に戦いたいな♡』と緩い感じのメッセージが書かれているが、そんな緩い試験ではないと噂では聞いている。
トラウマになって冒険者を引退する者、身体の一部を欠損し冒険者を続けられなくなった者がいるなど……不穏な噂がかなり広まっている。
例え試験によって冒険者稼業を引退に追いやられる危険があろうとも、銀月の迷い猫に加入できないのであれば冒険者を続けている意味がないので受けない選択肢などない。
タブレットを手に入れてから三年、その間にも銀月の迷い猫の信者は増え続けてこの前のカースドラゴン討伐の配信でも増えたし、その前のモウコクラーケンの討伐でも信者は爆発的に増えた……両方ともリオル様は映ってないんだけどさ、それでもメンバーの魅力っていうのかな?俺の推しはリオル様が絶対的なんだけど……今は銀月の迷い猫のメンバー全員を応援している。そんなメンバーをまとめているのがリオル様なんだと思うと……感無量、ご立派になられてと感動の涙が浮かんでくる。
しかし……他の冒険者の配信を見ていないから独りよがりなんだけど、銀月の迷い猫の配信は楽しいんだよね。
配信を盛り上げるために効率よりも派手さを意識した魔法や技が多いんだけど(光を発する必要のない状況でも派手な光の演出があったり)余裕のある魔物相手になら視聴者を楽しませるのは大切なことだと思う。そしてそれぞれがそれぞれの役目を理解しているというか……息のあった連携?銀月の迷い猫の戦いは見ていて嫌な気持ちがしないんだ。
力を合わせてかっこよく魔物を倒すシーンは子供たちなんてワクワクするだろう。
高ランクの魔物を余裕を持って倒すシーンは上を目指す冒険者達の憧れと目標となるだろう。
他の視聴者のチャットを見るのも楽しみの一つなのだが……時折『リオフィラ』とか『ゼノナディ』とか謎の言葉がとびかうこともあり、ファン同士の暗黙の呪文に疎外感や嫉妬を覚えていたりもする。空白だった時間が恨めしい。
しかしそんな嫉妬もあと少しの事、メンバーに採用されたらその辺の事も質問してみよう。人当たりのいいユマなら広報担当もしているんだし色々教えてくれるだろう。
試験日はリンモンの月10日、参加希望者は冒険者協会の窓口にリュザンの月30日までに申し出るように……か。
「すみません。掲示板に貼ってある銀月の迷い猫の加入試験に参加希望したいです」
メノーシュの街で生活して一年。顔馴染みの協会の受付嬢、カノンからとても悲しそうな顔を向けられた。
「ルディくんは銀月の迷い猫への加入を希望してたのね……まだ若いんだから他のギルドを経験してからでもいいんじゃないのかな?ルディくんの実力なら銀月の迷い猫じゃなくても有名になれると思うわ?」
やんわりと……いや、かなりはっきりと諦めろと言われている気がする。そんなに難関な試験なのか。
依頼の納期はしっかり守ってきたし失敗した事もない。割とこの街で成績優秀者だったと思うんだけどそれでも無理なのか。
「助言はありがたいんですけど……銀月の迷い猫への加入は俺の、俺を拾って育ててくれた恩人での夢でもあるんです。チャンスがあるなら目指していきたいんです」
笑顔で応える。笑顔で対応すればこれまでトラブルになることはなかった。笑顔大事……たまにはこっそり力で黙らせる事もあったけどね、大概の事はこれで乗り切れた。
「そ……そうなのね。参加意志の書類は提出しておくけれど……くれぐれも無理しちゃダメだからね。無理だと思ったら棄権することも考えてね。はい、これが控え。当日は冒険者証とこの控えを持って『銀月の迷い猫』の拠点がある王都リカンアランの冒険者協会へ集まってね。控えにも書いてあるけれど朝8時に集合よ」
「ありがとうございます!!がんばれるとこまで頑張ってみようと思います。今までお世話になりました」
「え?もう旅立つの?」
「善は急げです!!」
遅刻しないよう明日には早速王都へ向かうことにしよう。
一年お世話になった食堂は先月契約期間を終えて……料理人を目指すなら続けていかないかと優しい言葉ももらったけど俺の目標はずっと変わらない。お世話になったお礼と別れも終えている。
お世話になりました……この街に思い残すことはもうない。
泣いても笑っても試験まであと1ヶ月だ。
申請は済ませた。鍛錬を重ねて実力で言えば前世より強くなったと思う。呼び方もなおした。掃除洗濯に料理も野営の知識も勉強してきた。やれる事はやってきたつもりだ。
どんな試験が来てもただ本気でぶつかるのみだ。
ついにこの時がやってきた!!
冒険者協会の掲示板に貼られた一枚の告知に俺はガッツポーズをしながら膝から崩れ落ちてしまった。
落ち着け、落ち着け俺……ここで何か見落としてまた一年待つことになったら悔やんでも悔やみきれないぞ?しっかりと告知内容を確認するんだ。
書かれていた内容は試験日と試験資格と参加登録締切日だ。やはり試験内容については何も書かれておらず、普段の依頼に出かける姿でご参加くださいとだけ書かれていた。
広報担当のユマの可愛らしいイラストと『みんなと一緒に戦いたいな♡』と緩い感じのメッセージが書かれているが、そんな緩い試験ではないと噂では聞いている。
トラウマになって冒険者を引退する者、身体の一部を欠損し冒険者を続けられなくなった者がいるなど……不穏な噂がかなり広まっている。
例え試験によって冒険者稼業を引退に追いやられる危険があろうとも、銀月の迷い猫に加入できないのであれば冒険者を続けている意味がないので受けない選択肢などない。
タブレットを手に入れてから三年、その間にも銀月の迷い猫の信者は増え続けてこの前のカースドラゴン討伐の配信でも増えたし、その前のモウコクラーケンの討伐でも信者は爆発的に増えた……両方ともリオル様は映ってないんだけどさ、それでもメンバーの魅力っていうのかな?俺の推しはリオル様が絶対的なんだけど……今は銀月の迷い猫のメンバー全員を応援している。そんなメンバーをまとめているのがリオル様なんだと思うと……感無量、ご立派になられてと感動の涙が浮かんでくる。
しかし……他の冒険者の配信を見ていないから独りよがりなんだけど、銀月の迷い猫の配信は楽しいんだよね。
配信を盛り上げるために効率よりも派手さを意識した魔法や技が多いんだけど(光を発する必要のない状況でも派手な光の演出があったり)余裕のある魔物相手になら視聴者を楽しませるのは大切なことだと思う。そしてそれぞれがそれぞれの役目を理解しているというか……息のあった連携?銀月の迷い猫の戦いは見ていて嫌な気持ちがしないんだ。
力を合わせてかっこよく魔物を倒すシーンは子供たちなんてワクワクするだろう。
高ランクの魔物を余裕を持って倒すシーンは上を目指す冒険者達の憧れと目標となるだろう。
他の視聴者のチャットを見るのも楽しみの一つなのだが……時折『リオフィラ』とか『ゼノナディ』とか謎の言葉がとびかうこともあり、ファン同士の暗黙の呪文に疎外感や嫉妬を覚えていたりもする。空白だった時間が恨めしい。
しかしそんな嫉妬もあと少しの事、メンバーに採用されたらその辺の事も質問してみよう。人当たりのいいユマなら広報担当もしているんだし色々教えてくれるだろう。
試験日はリンモンの月10日、参加希望者は冒険者協会の窓口にリュザンの月30日までに申し出るように……か。
「すみません。掲示板に貼ってある銀月の迷い猫の加入試験に参加希望したいです」
メノーシュの街で生活して一年。顔馴染みの協会の受付嬢、カノンからとても悲しそうな顔を向けられた。
「ルディくんは銀月の迷い猫への加入を希望してたのね……まだ若いんだから他のギルドを経験してからでもいいんじゃないのかな?ルディくんの実力なら銀月の迷い猫じゃなくても有名になれると思うわ?」
やんわりと……いや、かなりはっきりと諦めろと言われている気がする。そんなに難関な試験なのか。
依頼の納期はしっかり守ってきたし失敗した事もない。割とこの街で成績優秀者だったと思うんだけどそれでも無理なのか。
「助言はありがたいんですけど……銀月の迷い猫への加入は俺の、俺を拾って育ててくれた恩人での夢でもあるんです。チャンスがあるなら目指していきたいんです」
笑顔で応える。笑顔で対応すればこれまでトラブルになることはなかった。笑顔大事……たまにはこっそり力で黙らせる事もあったけどね、大概の事はこれで乗り切れた。
「そ……そうなのね。参加意志の書類は提出しておくけれど……くれぐれも無理しちゃダメだからね。無理だと思ったら棄権することも考えてね。はい、これが控え。当日は冒険者証とこの控えを持って『銀月の迷い猫』の拠点がある王都リカンアランの冒険者協会へ集まってね。控えにも書いてあるけれど朝8時に集合よ」
「ありがとうございます!!がんばれるとこまで頑張ってみようと思います。今までお世話になりました」
「え?もう旅立つの?」
「善は急げです!!」
遅刻しないよう明日には早速王都へ向かうことにしよう。
一年お世話になった食堂は先月契約期間を終えて……料理人を目指すなら続けていかないかと優しい言葉ももらったけど俺の目標はずっと変わらない。お世話になったお礼と別れも終えている。
お世話になりました……この街に思い残すことはもうない。
泣いても笑っても試験まであと1ヶ月だ。
申請は済ませた。鍛錬を重ねて実力で言えば前世より強くなったと思う。呼び方もなおした。掃除洗濯に料理も野営の知識も勉強してきた。やれる事はやってきたつもりだ。
どんな試験が来てもただ本気でぶつかるのみだ。
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