最強推し活!!推しの為に転生して(生まれて)きました!!

藤雪たすく

文字の大きさ
23 / 49

23話目 あなたに本気です

しおりを挟む
賑やかな昼食が終わり、さあ片付けだと袖を捲った俺だったが、また引き摺られて今度は一階のロビーに連れてこられた。座らされたソファーの向かいにはまたまたリオル様が座っている……が、視線は伏せ気味で片手で頭を抱えているので直視せずにすんで先ほどよりは幾分落ち着きを保てているが、この広いロビーに2人きりである。上の食堂からはみんなが片付けをしてくれている音が聞こえてくるけど……ロビーにはソファーに向かい合って2人きり。

伏せられているが、目元や鼻筋はリナに似てきただろうか?口や顎のラインはマサカズ似かな?
子供の頃はマサカズ寄りだったが、成長してリナに似た部分も増えてきた気がする。

「まずはルディ、試験合格おめでとう。銀月の迷い猫の新メンバーとして歓迎する」

「はい!!ありがとうございます!!」

社交辞令でも歓迎の言葉にに歓喜です。

「試験終了と加入予定の報告は冒険者協会に提出して来たんだが、本契約には本人の同意が必要になるから明日一緒に冒険者協会に同行してもらう事になるが大丈夫かな?」

「はい!!予定なんて何もないのでついて来いと言われれば、冒険者協会でもクジャダガのダンジョンでもキルキス大陸でもどこでもお供いたします!!」

基本は自宅待機だろうと思うが、リオル様の要請ならば何処へなりとも駆けていく所存。ワガママを言えるなら単身の依頼よりもリオル様の側で身の回りのお世話をさせていただきたい。

「キルキス大陸は世界的に立ち入り禁止区域だ……まったく……君が言うと冗談に聞こえないからやめてくれ」

冗談のつもりは全くないが?
キルキス大陸は魔王城があった大陸で魔物の土地。マサカズが魔王を討伐する時にぶっ放した魔法のせいで大陸の大部分が『禁忌の深淵』と呼ばれる大穴になっている。用がなければ行く意味のない場所だが、ご用命とあれば?

「メンバーとして迎えさせてもらうにあたり、君の冒険者協会に残る経歴も調べさせてもらったが、犯罪歴、冒険者法の違反もない。我がギルドとしては君との契約に何も問題はない……が、君は本当にいいのか?Cランク冒険社となっているが君の力は見せてもらったがAランク……以上だ。うちのギルドじゃなくてももっと大手の、強いギルドにだって……いや、むしろ向こうから勧誘が来るんじゃないか?なぜ君はCランクに留まっているんだ?」

「銀月の迷い猫の試験参加資格がCランクからだったからです。ランクの高さではなく試験内容のみで合否が決定するとの事だったのでランクアップの試験は受けなくてもいいかなと思いました」

Cランクから上のランクに上がるには実績だけでなく、冒険者協会実施している試験を受けなければならない。集団での野営の実技や教官との模擬戦だったりで面倒だ。

「個々の力は巨大なギルドに引けは取らない。だが、リーダーの俺が言うのもなんだが……直接の依頼は少ないし配信の視聴者数もだ。君がお金を稼ぎたいとか配信冒険者として名を売りたいと思っているなら、うちはおすすめしない」

俺としてはメンバーを駒としか思っておらず、捨て駒の様に扱う大手ギルドよりは銀月の迷い猫の方が人に勧めたいと思うんだがな。

「リオル様のお側で働けるなら金も名誉も興味ないですね」

俺の言葉でリオル様は左手で頭を抱えてますます俯いてしまった。

「それなんだが……君に憧れられる要素は俺にないと思うんだが……もし、もし君が俺の父と母に憧れを持っていて俺に期待をしているならそれは間違いだぞ」

「勇者様と聖女様にですか?」

マサカズとリナには感謝の気持ちは持っている。
過去の俺からは考えられない生活を与えてくれたのは2人だ。俺の命そのものとも言える至宝の存在を与えてくれたのも2人。だから感謝はしているが、憧れるかと尋ねられると……マサカズは戦闘以外でバカだしリナは普段は穏やかだが興奮すると俺に理解できない言葉を早口で紡ぐ姿はちょっと怖い。そんな2人が好きだが憧れではない。

しかしなぜ2人のことを?もしかしてもうすでに『俺』だと疑われてる?答えを間違えたら加入して1日で追放か!?なんと答えるのが正解か……二人は仮にもこの世界を救った英雄だ。その二人に無関心な人間などまず存在しない。

「俺には父と母の様な力はない」

あの二人は異世界から転生した時に特殊な力を授かったらしいから……この世界で産まれ、この世界の理の中で生を受けたリオル様が、その特殊な力を受け継いでいなくてもそれはなんら不思議でもない。
それはマサカズもリナも言っていた。
リオル様が強いのは環境によるものだ、幼い頃からマサカズやリナを手本に生きて、物心つく前から剣に触れ、魔法に触れて……努力をしてきたから……。

『ルーウェン……無理だよ。僕が父さまみたいに出来るわけない』

『お父上の様になる必要はありません。ぼっちゃんはぼっちゃんの剣を振るえば良いのです』

『僕は剣なんか……強くなんてならなくてもいい!!ずっとルーウェンが守ってくれるんでしょ?』

『お守りしますよ。私はぼっちゃんの事が何よりも大切ですから。ぼっちゃんは?守りたいものはありませんか?私は、ぼっちゃんが守りたいと思う大切な物が出来た時に……ぼっちゃんの手で守れる様に強くなってもらいたいのです』

『う~……ある。守りたいもの……』

『では鍛錬あるのみです。私が教えられるすべてをぼっちゃんにお教えします。それで……その大切なものをルーウェンめにも教えていただくわけには……』

『ルーウェンには内緒!!いくよ、ルーウェン!!』

戦いなんてしたくないと泣いていたぼっちゃんだったが、それからは『僕が守るんだ』と剣も魔法も一生懸命に励んでくれた……。

尊いっ!!尊すぎますっ!!

勇者と聖女の子として良からぬ奴らが寄ってくる、それらからご自身の身を守れる様になって欲しいとエゴを押し付けていた俺に健気についてきてくれたぼっちゃん。

マサカズやリナの様になれなど一度も思った事はない。

「私は……リオル様がリオル様だから……あなたの役に立ちたいと思ったのです」

死んでもすぐに生まれ変わり、しつこくもあなたの側に居ようと足掻くぐらいに……。

「わからないな……物好きな奴……」

リオル様はご自身の魅力に気付いてないんだな。そんなところも可愛らしい。

「まあいい、まず君の取り分の話になるんだが……銀月の迷い猫では、個人で引き受けた依頼以外の依頼の報酬はギルドの蓄えを抜いた分をメンバーで等分している。これは直接依頼に参加していなくても……だ」

「雑用の俺でもですか!?それは……不満が出ませんか?」

さすがに直接命のやり取りをしている人間と拠点でぬくぬくご飯を作ってる人間が同じ分け前なのは不満の声が上がるだろう?

「賛同出来ないなら抜けてもらって構わない……百歩譲って君が雑用係に収まってくれたとして、戦闘部隊が戦地に立って戦えるのは……毎日の生活を支えてくれている奴がいるからだろう」

氷なんかじゃない、勇者と聖女の様になれないことに負い目を感じる必要はない……綺麗事だろうが、立派にマサカズとリナの思想を受け継いでいる。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

異世界で孵化したので全力で推しを守ります

のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ
BL
※イヴ視点26以降(ハルフィリア編)大幅修正いたします。 見てくださった皆様には申し訳ございません。 これからも見ていただけたら嬉しいです。 外の世界に憧れを抱いていた少年は、少女漫画の世界に転生しました。 当て馬キャラに転生したけど、モブとして普通に暮らしていたが突然悪役である魔騎士の刺青が腕に浮かび上がった。 それでも特に刺青があるだけでモブなのは変わらなかった。 漫画では優男であった聖騎士が魔騎士に豹変するまでは… 出会う筈がなかった二人が出会い、聖騎士はヤンデレと化す。 メインヒーローの筈の聖騎士に執着されています。 最上級魔導士ヤンデレ溺愛聖騎士×当て馬悪役だけどモブだと信じて疑わない最下層魔導士

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

魔王に転生したら、イケメンたちから溺愛されてます

トモモト ヨシユキ
BL
気がつくと、なぜか、魔王になっていた俺。 魔王の手下たちと、俺の本体に入っている魔王を取り戻すべく旅立つが・・ なんで、俺の体に入った魔王様が、俺の幼馴染みの勇者とできちゃってるの⁉️ エブリスタにも、掲載しています。

オレの番になって──異世界に行って愛猫の番にされる話

まめ
BL
不慮の事故により、異世界に転移することになった神木周。 心残りは、唯一の家族だった愛猫・ネロのことだけだった。 ──目覚めた草原で再会したのは、見覚えのある大きな黒い獣。ネロが追いかけてきてくれたのだ。 わからないことばかりの異世界だけど、ネロがいるからきっと大丈夫。 少しずつ心をほどき、神に招かれた世界で穏やかな毎日を楽しむ周たち。 しかし、そんな彼らに不穏な気配が忍び寄る―― 一人と一匹がいちゃいちゃしながら紡ぐ、ほのぼの異世界BLファンタジー。 こんにちは異世界編 1-9 話 不穏の足音編 10-18話 首都編 19-28話 番──つがい編 29話以降 全32話 執着溺愛猫獣人×気弱男子 他サイトにも掲載しています。

処理中です...