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第7話 擬人化識別機能AI搭載デジタルカメラ
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水を失ったプールの底で、すっかり忘れさられたブラックバスが一匹ピチピチと跳ねていたとき─
抱き抱えられ運ばれている儚げな女生徒は、ミミズクの擬人化の男子生徒の髪に手を伸ばした。
「……ネコの耳付いてる?目の色も…ミトさんに似てる、金色。ミトさんの仲間?」
「誰があんなネコの奴と!」
と言うと同時に、周りがヒソヒソとイチャついていると噂していることに気がついた。急に恥ずかしくなって、彼女を解放した。
「…髪は、生えグセで…。とりあえず!ここのベンチに座ってて、保健室からタオル貰ってくる。」と彼女を座らせた。
「…ありがとう。」
タオルを受け取った彼女は、体の形を確認するかの様に丁寧に滴を拭いていった。その様子から、まだ人の体に慣れてきってはいないのだなと感じた。
「ねぇ君、擬人化してる人だよね。」
「…やっぱり分かったりするの?」
「うん。だけど、最初に気づいたのは…君を持ち上げた時かな。羽の様に軽かったから─」
「俺は鳥の肉も食べるけどさ…君を見ても美味しそうとは思わなかったんだよね。だから─」
「…私のこと食べようとしてた?」
「思うのとするのは別!!」
「…やっぱり、ミトさんに似てるね。」
フフッと微笑んだ顔を見て、やっぱり俺は、この子が運命の人なんじゃないかと思った─。
ベンチに座ってる女子生徒と男子生徒は、誰が見ても青春の様子を体現していた。私は、カメラを構え、卒業アルバムに載せるワンシーンのサンプルとして、この2人を試し撮りさせて貰うことにした。
私はいわゆる、学校行事の思い出を撮影するために呼ばれてきている写真館のおじさんだ。今日は1年生の合唱祭の打ち合わせに呼ばれた帰りに、この場に居合わせた。
ファインダーを覗いてみると、
「これは……。擬人化の生徒だったのか。」
("幻体"の感度を低く設定し、"現視体"の感度を高く設定してと─)
目視とファインダー越し見える景色が合う様に設定をし、シャッターを切る。
そして撮った画像を確認すると、
「やはり、難しいな。女生徒の方がまだ不安定だ…」
「あの!お聞きしたいのですが、擬人化しているお友達が居りまして、一緒に写真を撮りたいのですが、良い方法はないでしょうか?プロの方に一度お聞きしたくって。」
妖精さんとミミズクくんとの間に突入しようとしていた林さんだったが、急きょ知識欲センサーの矛先の向きが変わったのだった。
「それなら、スマートフォンに専用のアプリケーションをダウンロードすればいいよ。それが一番簡単な方法さ。」
「そうすれば、お友達の写真が撮れる様になるのですか?」
あまりにも林さんが熱心に聞くものだから、写真館のおじさんの説明にも熱が入る。
「擬人化識別機能が最近導入されてね。プロが使うものまでの機能はないけれど、最近の携帯のカメラの性能はいいからな。私も普段はそちらを使っているよ。」
「オート機能でも充分撮れると思うが…擬人化の生徒によっては、"幻体"の大きさ、濃さ、揺らぎの安定感、が違うからね。そこは手動で調節しなければいけないけれど─」
「そうなのですね!」林さんは、目を輝かせながら写真館のおじさんの話を聴き、メモをとっている。
「とても解りやすい説明、ありがとうございました。また分からないことがあれば、お聞きしてもよろしいですか?」
「ああ、私もイベント毎に学校に出入りしているからね。声を掛けてくれて構わないよ。」
そうして、写真館のおじさんは彼女を勉強熱心だなと感心し、友だち想いなのだなと思った。
(では逆に"幻体"の感度を高くし、調整して撮影すれば、妖精さんの正体に近づけるかもしれませんね…ついでに隠し撮り─)なんて彼女が思っているなんて知るよしもない…
そしておじさんは、目の前の2人に合流した林さんを見て、再びシャッターを切った。
(しかしこれが限界か…。擬人化の女子生徒に合わせて調整して撮ってはみたが、どうしても彼女の姿が他の生徒よりコントラストの低い状態で撮れてしまうな…)
「ここからは、私が妖精さんを引き継ぎます!」
「ちょっと、まだ聞きたいことが…」
「彼女を着替えさせなければいけませんので!」
「…ごめん。無神経だった…。」
じゃあ、これ─。と、儚げな彼女に渡す。
「……名刺?」
「俺、放課後ここでアルバイトしてるから、一度来て欲しい!まだ話たいから─」と去っていった。
その名刺には─フクロウカフェ─と書かれていた。
抱き抱えられ運ばれている儚げな女生徒は、ミミズクの擬人化の男子生徒の髪に手を伸ばした。
「……ネコの耳付いてる?目の色も…ミトさんに似てる、金色。ミトさんの仲間?」
「誰があんなネコの奴と!」
と言うと同時に、周りがヒソヒソとイチャついていると噂していることに気がついた。急に恥ずかしくなって、彼女を解放した。
「…髪は、生えグセで…。とりあえず!ここのベンチに座ってて、保健室からタオル貰ってくる。」と彼女を座らせた。
「…ありがとう。」
タオルを受け取った彼女は、体の形を確認するかの様に丁寧に滴を拭いていった。その様子から、まだ人の体に慣れてきってはいないのだなと感じた。
「ねぇ君、擬人化してる人だよね。」
「…やっぱり分かったりするの?」
「うん。だけど、最初に気づいたのは…君を持ち上げた時かな。羽の様に軽かったから─」
「俺は鳥の肉も食べるけどさ…君を見ても美味しそうとは思わなかったんだよね。だから─」
「…私のこと食べようとしてた?」
「思うのとするのは別!!」
「…やっぱり、ミトさんに似てるね。」
フフッと微笑んだ顔を見て、やっぱり俺は、この子が運命の人なんじゃないかと思った─。
ベンチに座ってる女子生徒と男子生徒は、誰が見ても青春の様子を体現していた。私は、カメラを構え、卒業アルバムに載せるワンシーンのサンプルとして、この2人を試し撮りさせて貰うことにした。
私はいわゆる、学校行事の思い出を撮影するために呼ばれてきている写真館のおじさんだ。今日は1年生の合唱祭の打ち合わせに呼ばれた帰りに、この場に居合わせた。
ファインダーを覗いてみると、
「これは……。擬人化の生徒だったのか。」
("幻体"の感度を低く設定し、"現視体"の感度を高く設定してと─)
目視とファインダー越し見える景色が合う様に設定をし、シャッターを切る。
そして撮った画像を確認すると、
「やはり、難しいな。女生徒の方がまだ不安定だ…」
「あの!お聞きしたいのですが、擬人化しているお友達が居りまして、一緒に写真を撮りたいのですが、良い方法はないでしょうか?プロの方に一度お聞きしたくって。」
妖精さんとミミズクくんとの間に突入しようとしていた林さんだったが、急きょ知識欲センサーの矛先の向きが変わったのだった。
「それなら、スマートフォンに専用のアプリケーションをダウンロードすればいいよ。それが一番簡単な方法さ。」
「そうすれば、お友達の写真が撮れる様になるのですか?」
あまりにも林さんが熱心に聞くものだから、写真館のおじさんの説明にも熱が入る。
「擬人化識別機能が最近導入されてね。プロが使うものまでの機能はないけれど、最近の携帯のカメラの性能はいいからな。私も普段はそちらを使っているよ。」
「オート機能でも充分撮れると思うが…擬人化の生徒によっては、"幻体"の大きさ、濃さ、揺らぎの安定感、が違うからね。そこは手動で調節しなければいけないけれど─」
「そうなのですね!」林さんは、目を輝かせながら写真館のおじさんの話を聴き、メモをとっている。
「とても解りやすい説明、ありがとうございました。また分からないことがあれば、お聞きしてもよろしいですか?」
「ああ、私もイベント毎に学校に出入りしているからね。声を掛けてくれて構わないよ。」
そうして、写真館のおじさんは彼女を勉強熱心だなと感心し、友だち想いなのだなと思った。
(では逆に"幻体"の感度を高くし、調整して撮影すれば、妖精さんの正体に近づけるかもしれませんね…ついでに隠し撮り─)なんて彼女が思っているなんて知るよしもない…
そしておじさんは、目の前の2人に合流した林さんを見て、再びシャッターを切った。
(しかしこれが限界か…。擬人化の女子生徒に合わせて調整して撮ってはみたが、どうしても彼女の姿が他の生徒よりコントラストの低い状態で撮れてしまうな…)
「ここからは、私が妖精さんを引き継ぎます!」
「ちょっと、まだ聞きたいことが…」
「彼女を着替えさせなければいけませんので!」
「…ごめん。無神経だった…。」
じゃあ、これ─。と、儚げな彼女に渡す。
「……名刺?」
「俺、放課後ここでアルバイトしてるから、一度来て欲しい!まだ話たいから─」と去っていった。
その名刺には─フクロウカフェ─と書かれていた。
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