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第41話 全てはこの為に
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カーテンを閉めて外の光を遮断した部屋。
ハズキはノブ子の隣で仮眠をとっていた。
初めて人間になってすぐの時の様に、神経過敏になっていた。
浅い眠りに落ちる時、「ハズキ大丈夫?」と言うノブ子の顔を見ると、ひとつ目のお化けの様相に見えた。「幽霊……?」と、呟きながら気絶する様に眠りに落ちていった。
夢とうつつの境目で「言えて妙……」という彼女の声が聞こえた気がした─
修学旅行三日目。早朝。
帰国した2人はファーストフード店で、ノブ子をさらったアイツに制裁を与えるべく作戦を立てていた。
「さて、奴から時間差で舐めたメッセージが届きましたね……」
《修学旅行楽しんでる?その間にノブ子ちゃんを好き勝手させてもらっちゃった。ノブ子が俺の事好きだから仕方ないよね。早く助けに来ないと、もっと酷い事しちゃうかも。》
林さんがハズキの携帯電話をハッキングしたが、彼の実家のフクロウのお店の方に置きっぱなしになっていた。
「メール、時間指定で送れるとか……アイツ良く知ってんな……」
「言ってる場合ですか!声だけじゃ何をしているのか良くわかりません。今度GPSを改良する時は全天球カメラを取り付け、更に移動式に─」
「……お前も自重しろよな……」
「住みかは特定出来ましたが、ひとつ都市をまたぐことになりそうです。」
「ああ……だが私がすることはもう決まってる……」
「何をするんです?」
「……ああそだな……」
「聞いてます?」
「限界!寝る!30分経ったら起こしてくれ!」
「えっ!?」
「万全の体制で行きたいからよお……」
バタンッと目の前の机に突っ伏した後、直ぐにミトさんの寝息が聞こえてきた。
(寝るの早っ!妖精さんの所へ今すぐ行きたいのは山々ですが……私も其なりの準備をしなければ……)
「修学旅行からノブ子ちゃんと……後ミトさんも……帰ってきたら、連絡下さい。私、ご飯作るって約束したので。」
「うん、ありがとね。凄く喜ぶと思う。」
アキヨシは、何事かもなかったかの様に、オコメさんを見送った。
薄暗い部屋で、退廃的なつかの間の同棲生活が繰り広げられていた。
布団です巻きにしたノブ子をハズキは抱き枕にしていた。
「ハズキ……それも成長期のせい?触り心地いい生えぐせの髪も無くなっちゃた……」
「何故だか、君に触られるのは嫌じゃ無かったんだよなあ……」
「私のこと、特別な存在ってこと?」
返事の代わりにノブ子の首元を甘噛した。
「びっくり。それもっとして?」
「君って何しても全然嫌がらないよね……つまんない……」
ノブ子は、布団の隙間から片手を出して彼の髪を撫でた─
「私の主人を返して下さい!」
アキヨシがノブ子の元へ向かおうとした時、ハルヨシのお嫁さんが乗り込んできた。
「何で、僕がハルヨシをとったみたいになってるの?」
「ずっと義兄さんが一番怪しいと思ってたんです!もの凄く仲良いし。うちの主人を誑かしたのは、ほんとは飲み屋の女じゃなく貴方だったんですね!だから、お家に帰ってこなくなって……」
「いや……こいつが勝手に─」
「違うんだよ、おにぃが最近寂しくしてたから様子見に来てただけだから。」
「ハルヨシが優しいのは知ってる。だけど私も寂しかったんだからあ……」
(ハルヨシ……おまえ、僕をダシに使いがって……)
望まない夫婦喧嘩の仲裁役をしたアキヨシは、抱きしめあう二人を見て辟易した。
小悪魔おじさんハルヨシは、「また来るねー」と帰っていった。
ため息をついてアキヨシは、インターフォンを鳴らした。
「アキヨシです。ハズキくん……義娘を引き取りに来ました。」
「思ったよりも遅かったですね……だけど俺、アキヨシさんが通報しないの分かってました。あれだけ娘の正体隠してますもんね。」
「……そうだね。だけど、君には何か訳があったんだろ?」
「それは俺が錯乱状態だから?それで許される事じゃないのに。」
「あれ?アキヨシじゃーん。私まだ帰らないよ。ハズキとの夢のフワッフワッのゆるふわ生活送ってんだもーん。」
と、ノブ子の元気そうな声が割り込んで来た。
「アキヨシさん教えてくれたじゃないですか。ノブ子ちゃんの好きなもの。凄く役にたちました。」
「……あまりこの子を甘やかさないでくれるかなあ。この通り、増長するから。」
「ええ、本当にノブ子ちゃんは目先の誘惑に弱いですね。だから、計画も上手く運んだ。」
「帰らないもーん。こっちの方が居心地いいもーん。じゃあね、アキヨシ。」
「君ねえ……今度は反抗期モードに突入しちゃったの?これは、悪夢と呼ぶべきか、成長を喜ぶべきなのか……」
「大丈夫です。もうすぐ彼女をお返し出来ます。ほら、もうその時が来たみたいだ……」
「どういう─」
「おい、鍵開けろよ!」
アキヨシが後ろを振り向くと、息の荒いミトさんと林さんが立っていた。
「妖精さんを帰して頂きます!開けないと─」
ガシャッとあっさり開くエントランスのドア─
「ちょっと待って下さい!……罠かもしれません!」
「だとしても、正面突破してやんよ!」
と、ミトさんはハズキの部屋へと走って行き、バンッとドアを蹴り上げると、あっさりとドアが開いた。
目の当たりにしたのは、布団にくるまったノブ子が口移しをされている光景だった。
「てめぇ……」
ミトさんは、土足で上がり込みハズキの胸ぐらを掴んだ。
林さんはノブ子がキスをされているのが衝撃的で、入り口で硬直してしまった。
しかし、「ハズキくん、この子に何もされてな─ぐっ……」アキヨシの場違いな言葉を聞いて、思わず溝落ちに肘鉄を食らわして冷静になった。そして、ノブ子の元へと向かった。
「来てくれて嬉しいよ…………ミト。」
思ってもみなかった言葉を発するハズキに視線が集中した。
胸ぐらを捕まれたハズキは、とても嬉しそうな表情をミトさんに向けていた。
「あ?」
「お前が執着してるこの子に手を出せば、もう一度構ってくれると思ったんだあ。俺、一体どれだけ想い続けてたんだろう……ミトの事。」
ハズキはノブ子の隣で仮眠をとっていた。
初めて人間になってすぐの時の様に、神経過敏になっていた。
浅い眠りに落ちる時、「ハズキ大丈夫?」と言うノブ子の顔を見ると、ひとつ目のお化けの様相に見えた。「幽霊……?」と、呟きながら気絶する様に眠りに落ちていった。
夢とうつつの境目で「言えて妙……」という彼女の声が聞こえた気がした─
修学旅行三日目。早朝。
帰国した2人はファーストフード店で、ノブ子をさらったアイツに制裁を与えるべく作戦を立てていた。
「さて、奴から時間差で舐めたメッセージが届きましたね……」
《修学旅行楽しんでる?その間にノブ子ちゃんを好き勝手させてもらっちゃった。ノブ子が俺の事好きだから仕方ないよね。早く助けに来ないと、もっと酷い事しちゃうかも。》
林さんがハズキの携帯電話をハッキングしたが、彼の実家のフクロウのお店の方に置きっぱなしになっていた。
「メール、時間指定で送れるとか……アイツ良く知ってんな……」
「言ってる場合ですか!声だけじゃ何をしているのか良くわかりません。今度GPSを改良する時は全天球カメラを取り付け、更に移動式に─」
「……お前も自重しろよな……」
「住みかは特定出来ましたが、ひとつ都市をまたぐことになりそうです。」
「ああ……だが私がすることはもう決まってる……」
「何をするんです?」
「……ああそだな……」
「聞いてます?」
「限界!寝る!30分経ったら起こしてくれ!」
「えっ!?」
「万全の体制で行きたいからよお……」
バタンッと目の前の机に突っ伏した後、直ぐにミトさんの寝息が聞こえてきた。
(寝るの早っ!妖精さんの所へ今すぐ行きたいのは山々ですが……私も其なりの準備をしなければ……)
「修学旅行からノブ子ちゃんと……後ミトさんも……帰ってきたら、連絡下さい。私、ご飯作るって約束したので。」
「うん、ありがとね。凄く喜ぶと思う。」
アキヨシは、何事かもなかったかの様に、オコメさんを見送った。
薄暗い部屋で、退廃的なつかの間の同棲生活が繰り広げられていた。
布団です巻きにしたノブ子をハズキは抱き枕にしていた。
「ハズキ……それも成長期のせい?触り心地いい生えぐせの髪も無くなっちゃた……」
「何故だか、君に触られるのは嫌じゃ無かったんだよなあ……」
「私のこと、特別な存在ってこと?」
返事の代わりにノブ子の首元を甘噛した。
「びっくり。それもっとして?」
「君って何しても全然嫌がらないよね……つまんない……」
ノブ子は、布団の隙間から片手を出して彼の髪を撫でた─
「私の主人を返して下さい!」
アキヨシがノブ子の元へ向かおうとした時、ハルヨシのお嫁さんが乗り込んできた。
「何で、僕がハルヨシをとったみたいになってるの?」
「ずっと義兄さんが一番怪しいと思ってたんです!もの凄く仲良いし。うちの主人を誑かしたのは、ほんとは飲み屋の女じゃなく貴方だったんですね!だから、お家に帰ってこなくなって……」
「いや……こいつが勝手に─」
「違うんだよ、おにぃが最近寂しくしてたから様子見に来てただけだから。」
「ハルヨシが優しいのは知ってる。だけど私も寂しかったんだからあ……」
(ハルヨシ……おまえ、僕をダシに使いがって……)
望まない夫婦喧嘩の仲裁役をしたアキヨシは、抱きしめあう二人を見て辟易した。
小悪魔おじさんハルヨシは、「また来るねー」と帰っていった。
ため息をついてアキヨシは、インターフォンを鳴らした。
「アキヨシです。ハズキくん……義娘を引き取りに来ました。」
「思ったよりも遅かったですね……だけど俺、アキヨシさんが通報しないの分かってました。あれだけ娘の正体隠してますもんね。」
「……そうだね。だけど、君には何か訳があったんだろ?」
「それは俺が錯乱状態だから?それで許される事じゃないのに。」
「あれ?アキヨシじゃーん。私まだ帰らないよ。ハズキとの夢のフワッフワッのゆるふわ生活送ってんだもーん。」
と、ノブ子の元気そうな声が割り込んで来た。
「アキヨシさん教えてくれたじゃないですか。ノブ子ちゃんの好きなもの。凄く役にたちました。」
「……あまりこの子を甘やかさないでくれるかなあ。この通り、増長するから。」
「ええ、本当にノブ子ちゃんは目先の誘惑に弱いですね。だから、計画も上手く運んだ。」
「帰らないもーん。こっちの方が居心地いいもーん。じゃあね、アキヨシ。」
「君ねえ……今度は反抗期モードに突入しちゃったの?これは、悪夢と呼ぶべきか、成長を喜ぶべきなのか……」
「大丈夫です。もうすぐ彼女をお返し出来ます。ほら、もうその時が来たみたいだ……」
「どういう─」
「おい、鍵開けろよ!」
アキヨシが後ろを振り向くと、息の荒いミトさんと林さんが立っていた。
「妖精さんを帰して頂きます!開けないと─」
ガシャッとあっさり開くエントランスのドア─
「ちょっと待って下さい!……罠かもしれません!」
「だとしても、正面突破してやんよ!」
と、ミトさんはハズキの部屋へと走って行き、バンッとドアを蹴り上げると、あっさりとドアが開いた。
目の当たりにしたのは、布団にくるまったノブ子が口移しをされている光景だった。
「てめぇ……」
ミトさんは、土足で上がり込みハズキの胸ぐらを掴んだ。
林さんはノブ子がキスをされているのが衝撃的で、入り口で硬直してしまった。
しかし、「ハズキくん、この子に何もされてな─ぐっ……」アキヨシの場違いな言葉を聞いて、思わず溝落ちに肘鉄を食らわして冷静になった。そして、ノブ子の元へと向かった。
「来てくれて嬉しいよ…………ミト。」
思ってもみなかった言葉を発するハズキに視線が集中した。
胸ぐらを捕まれたハズキは、とても嬉しそうな表情をミトさんに向けていた。
「あ?」
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