もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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15.

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『どうじゃ、暮らして行けそうか?』
「ええ、生活出来る環境は整っていたわ。でもひとりで永遠にって訳には…隣国にでも亡命してここで一緒に暮らしてくれる人を探したい所ではあるのよね」
『それがいいのぉ』
「いいの?」
『もちろんじゃ』
「よかった。でもここを出て隣国に向かうのは厳しいのよね」
『ここから出れば魔獣がうじゃうじゃいるからのぉ』
「そうなのよね」
『隣国とはまだ、シシリア王国で間違いないか?』
「ええ、正式にはシシリアキングス王国だけど」
『おお、国を奪って大きくしよったか、ほっほっほ』
「ええ…というか合併したのよ。争いはなかったの、双方の話し合いで納得のもと、王族だけ排除した感じね。元々シシリア王国が大きくなってしまったから合併するしかなかったのよね。シシリアキングス王国になって10周年祭がこの間開かれてたの。それに陛下と王妃が参加していたんだけどね」
 その時に追放されたのだ。

『そうか、ばあさんまでの情報しかないからの』
「いい国だと聞いたわ」
『そうか、その国に行きたいのか?』
「そうだけど、怖くてこの家から出れないわ」
『心配するな、わしから近辺は結界がされている。魔獣ははじかれるし、人は自然と方向転換されるようになっとる』
「え?そうなの?」
『ああ、だからアルディも外に畑や薬草を植えていたが人に見つからずに生活が出来ていた』
「よかった。これから果物だけで生活しないといけないかと思った。私も野菜とか育ててみようかな」
『まあ、それはいいが、ここからでは隣国までずいぶんあるぞ。近くまで行ってそこを拠点にした方がよいのではないか?』
「え?どういうこと?」
 モジャはそう言うと目を閉じた。そして木全体が揺れた。そしてモジャの根っこがボコッと抜けた。地面からすべての根っこが出てきた。
「ええー-!!」
『アルディも最初からここに拠点を決めたのではない。わしを移動させてここに落ち着いたのじゃ。わしは「住まい人」が移動したい所に移動する』

 この木は森の中を自由自在に歩けるのだ。アリアナはふっと思った。アルディとモジャはどうやって出会ったのか。

「…アルディさんはどうやってモジャさんに会えたの?」
 さすがのアルディもこの生物を作り出せる訳がない。

『アルディは偶然忘れられたわしを見つけた。夫が死んだので国を出ようとしていたらしい。そして魔の森で迷った。魔術で魔獣をどうにかしていたようだがさすがにもう無理だと思っていた所にわしを見つけたと言うとったな』
 兵士のおばあさんはモグリベルから出ようとしていたのか…なぜだろう。まあ住民はどこに移住しても不思議はないが…それにしても歩いてとは無謀な…

「じゃあ、結界はモジャさんの特性なの?」
『いや、これはアルディが半永久の結界魔法の魔法陣を完成させ、わしに張り付けたのだな』
「え、そんな魔法陣が…すごっ」
 蔓が伸びてきてアリアナを巻き付けた。そして大きな枝の上にアリアナをチョンと乗せた。
『さて、どこに行きたい。どこにでも移動するぞ』
 根っこを足のようにバタバタしている。揺れる、動かないで。
「で、で、でも動いている所を見られない?」
『魔法陣には動くわしが見えないような呪文を刻んでいたようだ』
 用意周到だ。

 アリアナはワクワクが止まらない。
「それじゃあ、シシリアキングスにレッツゴー!」
 高々に声を上げたアリアナはすぐに後悔した。その声にテンションが上がったモジャが「任せるのじゃーー!」と言いながらわっさわっさと動き出した。
 すごく揺れる。
「ちょ、ちょ、ちょっと揺れる、揺れるーー!酔っちゃうーー」
『なんじゃ、なんじゃ、情けないのぉアルディは楽しんどったぞ。ほっほっほーー』


 枝の上で揺れながら、酔わないように遠くを見ていたら何かがバチンバチンと何か音がする。よく見てみると生き物ような物が結界に当たって吹き飛ばされているようだ。

 そっか、この木の付近には結界があるから、その木が動いているから阻まれるのか…え、人間も吹き飛ばされてしまうのでは…?
「ちょっと、ちょっと!モジャ!止まって、止めて!」
『なんじゃ』
 ようやくモジャはアリアナの声を聞き止まった。

「さっきから何かが吹き飛ばされているのよ」
『魔獣じゃろ?』
「そうかもしれないけど人まで吹き飛ばされてしまうんじゃないの?」
『そうかもしれん』
「ダメだよそんなの。ケガさせちゃう」
『人なんか滅多におらんじゃろうて…』
「そうだけど、ちょっと吹き飛ばされた魔獣の所まで戻ってよ」
『面倒じゃのう…』
「住まい人の言う事ところに移動するんでしょう?」
『仕方ないのう』
 モジャはのっそのっそと戻ってくれた。魔獣は死んでいたようで、モジャの結界の中で何体も横たわっている。

 すごい結界だ。弾くだけではなく死んでしまっている。
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