もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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16.

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「死んでるよ?」
『はじかれてその衝撃で死んだのだろう。ずっと寝ていたからパワーが貯まってしまっていたから、そのせいもあるかのぉ』
「いや、人がいたら死んじゃうんじゃないの?もう走ってはダメ!ゆっくり行って!」
『そうかぁ…』
「あ、この魔獣…解体して持って帰ってもいいのかな?」
『いいのではないか』
 モジャはちょっとしょんぼりとしている。

「あ、ごめん。モジャは悪くないけど人が死んでしまうとモジャもどうなるかわからないよ。危ない木ってことで討伐されてしまうかもしれないし」
『そういえば、ばあさんもそんな事言っていたな。だから移動するときは魔法陣を書き替えておったのぉ』
「えっ…わかったわ、いずれ書き直せるようにするから、今はゆっくりと歩いてね」
『うむ』

 アリアナはハウスに戻って目に付いたナイフを持ってきた。狼の魔獣のようで馬くらいの大きさだ。とにかく魔獣は普通の動物の2倍はする。それに死んでいたとしてもこわい。その魔獣の体にナイフを入れる。解体は出来ないが魔石ぐらいは取り出そうとしたのだ。

 ナイフを入れた瞬間、魔獣が大きく光った。次に見た時には魔石、毛皮、牙、肉などの素材になっていた。
「え?え?なんで?」
『ああ、そのナイフは魔獣の特性などが書き込まれている何枚もの魔法陣を組み込ませているようじゃ、そのナイフ自体も王族御用達の職人が作った特別なものらしい。普通のナイフだと魔法陣に耐えられんからとかで何度も試行錯誤しながら完成させておったの』
 国宝級というかマジモンのやつである。

「そ、そんなすごいものを私が使っていいのかぁ…」
『あるものは使うのが筋じゃろ』
「そうね」
 考えるのを放棄したアリアナはそこら辺に散らばっている狼の魔獣を刺しては素材に換えて麻袋に詰め込んだ。

 そしてまたモジャに乗り今度はゆっくりと進んでもらった。魔獣の素材と数キロの肉が手に入った。アルディの本棚から魔獣ブックなるものを発見した。その中にローウルフやシルバーウルフ、キングダムウルフなど狼型の魔獣の記載があった。よく目にするのがローウルフであるらしかった。ローウルフはめずらしく仲間意識が高い集団行動をしている群れる魔獣のため、数人での討伐は難しいと記載されている。
 モジャがはじいた魔獣はローウルフのようだった。

 アリアナが調べているの食用であるかという事だ。食用である魔獣の人気ランキングの上位はイノシシ型やクマ型、ウマ型の魔獣である。狼型はあまり肉が取れないうえに美味しくないらしい。
 しかし食べられない事はないとの事なので、狼の肉は自分で調理して食べる事にする。キッチンには塩や砂糖の調味料が少量残っていた。丁度肉が食べたかったのだ。硬くて美味しくないと評判の肉でも美味しく感じられそうだ。

 ハウスのキッチンには大きな貯蔵庫のような冷蔵室もあった。食材はなにも入ってはいなかったがアリアナが来て以来その貯蔵庫はヒンヤリとしている。アリアナはそこに数キロの狼の肉を冷蔵室に保管した。これで数日は食材に困ることはない。

「たぶん、自制の冷蔵庫よね。こんなのまだ貴族のお屋敷にしかない貴重なものだけど、こんなものまで作れちゃうなんてやっぱりすごいな」

 
 枝に戻るとモジャが言った。
『ほれ、あそこじゃろ?シシリアの門は』
 素材の整理をしていたらすでに目的地に到着していた。確かに、シシリアキングスの紋章が大きな門に掲げられている。

「え?もう着いたの?普通はショートカットしても3日くらいはかかる距離なのよ?」
『ただ歩いていたわけなかろう。ワープしたのじゃ、この辺なら簡単にできるの』
「ワぁープぅ???」
『ワープを知らんかぁ?あっちからこっちに行けるという事じゃ』
 ワープ、瞬間移動、転移、時空間移動、テレポーテーション…

「そ、それもアルディが作った魔法陣で出来るようになったの?」
『これは元からわしの能力じゃ!』
「そうですか…」

 だったら最初からワープをすればよかったのでは…いやなにも言うまい
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