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シシリアキングスの門にはいつも多くの馬車の列があった。魔の森を避けて作った街道は大きくカーブしている。その道を通ると隣国でも8日間ほど掛かってしまう。
それでも魔獣はなにかの拍子に出てきたりするので護衛は必須だ。多くの馬車はモグリベルからの移民目的か商人達だろう。
すでに外は夕暮れに近かった為、シシリアキングスに入るのは明日にしようと決めた。アリアナは今日は狼のお肉を食べるのだとルンルンだった。
久しぶりのお肉、火がないので焼けない事に気が付く。仕方ないので自分で火の魔法円を作成してみる事にする。幸いにも魔法円を作成する材料はハウスに揃っていた。簡単な魔法円なら作れるのだ。適正属性がまだなんなのか分かっていないアリアナは積極的に魔法を直に使う事は避けていた。危険だという事でモグリベルでは禁止されていた事もある。
髪の色から火属性ではないかと思われたが調べないと分からない。適正属性認定式は卒業と共に行う習わしになっているので学園を卒業出来なかったアリアナは今の所知りようがない。
出来は十分とは言えない完成度だったが火が付いたのでOKである。竃に火が入りフライパンに油を引き、切った肉を置いていく。ジューと美味しそうな音がなる。塩を振ったそれだけの味付けであったが、久しぶりの肉は劇的に美味しかった。
「美味しい~ローウルフの肉がこんなに美味しかったなんて知らなかった。本にはあまり美味しくないから人気ないって書いてあったけど物凄く美味しい。魔獣の肉なんて下品なものは平民が食べるものなんて言って貴族たちは全然食べてなかったけど、これを知ったら平民達から取り上げるでしょうね…ああ、美味しかった」
その後、アリアナはアルディのクローゼットに入った。明日は門に入る事になるが旅人のような恰好をしなければならない。馬車も護衛もいないので変に思われないだろうかと思うのだ。
「ねぇ、モジャ。アルディはどうやってモグリベルの王都と魔の森のこの遠い道のりを何度も往復していたの?」
何度か行き来をしていたとモジャは言っていた。馬車での移動だろうと思っていたがはっきり言って馬車の移動なんて地獄である。馬車で王都から一気に魔の森に連れて来させられた時は本当につらかった。10時間以上も馬車の中で座っていて食事も休憩もなかったのだ。本当ならあの距離は4日ほど掛ける距離だ。
それをアルディは何度も往復しているという。もしかしてモジャがなにか協力してワープさせているのかもしれないかと思ったのだ。
『アルディは姿を薄くして浮遊して王都まで行っていたのう。わしの素材を使えばワープも魔法陣に使えるともなんか言っておったのう。まぁ、自分の国だからそれが出来たと思うがシシリアではせんほうがいいのではないかの?』
「そうね…」
その前に姿を薄くする事やワープの魔法陣なんか描けやしないわい。
とりあえず、日常品を買い揃えたいと思っていたアリアナは門に入るまでに言い訳がない。困った。
アルディの作業部屋にはたくさんの本と実験器具や材料が無造作に置いてあった。その中に魔法円を作成する材料がある。そして浮遊や転移魔法の魔法陣についてのメモがそこら辺に落ちていた。あまり片付けがうまくなかった人だったのかもしれない。
これらを見ているとちょっと練習すれば作れるかもしれないと思ってしまう。
しかし、どこの国だって浮遊魔法の対策だってしているだろうから、そんなに簡単には入れたりしないだろう。もう歩いてきたという事にしようかなと思った。
護衛も付けずひとりで馬に乗って来る旅人もいるのだ。もちろんそれはSランクの冒険者とかそんな人たちではある。しかし、やはり無理があると思い直し、正直に話して亡命って形を作った方がいいかもしれない。
貴族ともなれば顔が身分証明みたいなものだが実は貴族にも身分証明はある。
それはいつも貴族がつけている大きな指輪だ。産まれた時に母体から一緒に出てきた所謂、へその緒と魔石を加工して指輪にするのだ。へその緒を使うのは貴族にとっては一番の証明になるのだ。へその緒は母体からの繋がりがあった為、DNA鑑定に近い事も出来る。
自分の娘、息子だという絶対的な証明が出来るのだ。それを貴族たちは金だのダイヤだので装飾をする。そしてそれがヒエラルキーにもつながる。厄介な品物でもあった。
自分だけのたったひとつのその指輪は「ヴァナ」と呼ばれている。平民ももちろん作っても良い。しかし作るのには金がかかる。平民の多くは指輪ではなく小さな瓶に入れ首からかけているだけである。いつかヴァナを作る為に。
しかし多くの平民はそんな金の掛かるヴァナより、普通に冒険者ギルドか商人ギルドでそのへその緒を使って身分証明を作っている。それで十分なのだ。それはカードのような形をした「ヴァイ」といったものになる。
アリアナは「ヴァナ」は持っている。それを門の兵士に見せればいいのだ。そうすればすぐに亡命の手続きをしてくれるだろう。しかしモジャの存在を明かす事は出来ない。モジャの素材は高値が付きそうだし、このハウスにあるアルディのメモ1つ売っても一生食べていけるほどの金貨がもらえるだろう。取り合いになって血を見る事になるかもしれない。
まあ、しかしシシリアキングスには入らないと生活が出来ない。とりあえず、亡命だけはするか…アリアナはなんとかなるかなっと思うのであった。
それでも魔獣はなにかの拍子に出てきたりするので護衛は必須だ。多くの馬車はモグリベルからの移民目的か商人達だろう。
すでに外は夕暮れに近かった為、シシリアキングスに入るのは明日にしようと決めた。アリアナは今日は狼のお肉を食べるのだとルンルンだった。
久しぶりのお肉、火がないので焼けない事に気が付く。仕方ないので自分で火の魔法円を作成してみる事にする。幸いにも魔法円を作成する材料はハウスに揃っていた。簡単な魔法円なら作れるのだ。適正属性がまだなんなのか分かっていないアリアナは積極的に魔法を直に使う事は避けていた。危険だという事でモグリベルでは禁止されていた事もある。
髪の色から火属性ではないかと思われたが調べないと分からない。適正属性認定式は卒業と共に行う習わしになっているので学園を卒業出来なかったアリアナは今の所知りようがない。
出来は十分とは言えない完成度だったが火が付いたのでOKである。竃に火が入りフライパンに油を引き、切った肉を置いていく。ジューと美味しそうな音がなる。塩を振ったそれだけの味付けであったが、久しぶりの肉は劇的に美味しかった。
「美味しい~ローウルフの肉がこんなに美味しかったなんて知らなかった。本にはあまり美味しくないから人気ないって書いてあったけど物凄く美味しい。魔獣の肉なんて下品なものは平民が食べるものなんて言って貴族たちは全然食べてなかったけど、これを知ったら平民達から取り上げるでしょうね…ああ、美味しかった」
その後、アリアナはアルディのクローゼットに入った。明日は門に入る事になるが旅人のような恰好をしなければならない。馬車も護衛もいないので変に思われないだろうかと思うのだ。
「ねぇ、モジャ。アルディはどうやってモグリベルの王都と魔の森のこの遠い道のりを何度も往復していたの?」
何度か行き来をしていたとモジャは言っていた。馬車での移動だろうと思っていたがはっきり言って馬車の移動なんて地獄である。馬車で王都から一気に魔の森に連れて来させられた時は本当につらかった。10時間以上も馬車の中で座っていて食事も休憩もなかったのだ。本当ならあの距離は4日ほど掛ける距離だ。
それをアルディは何度も往復しているという。もしかしてモジャがなにか協力してワープさせているのかもしれないかと思ったのだ。
『アルディは姿を薄くして浮遊して王都まで行っていたのう。わしの素材を使えばワープも魔法陣に使えるともなんか言っておったのう。まぁ、自分の国だからそれが出来たと思うがシシリアではせんほうがいいのではないかの?』
「そうね…」
その前に姿を薄くする事やワープの魔法陣なんか描けやしないわい。
とりあえず、日常品を買い揃えたいと思っていたアリアナは門に入るまでに言い訳がない。困った。
アルディの作業部屋にはたくさんの本と実験器具や材料が無造作に置いてあった。その中に魔法円を作成する材料がある。そして浮遊や転移魔法の魔法陣についてのメモがそこら辺に落ちていた。あまり片付けがうまくなかった人だったのかもしれない。
これらを見ているとちょっと練習すれば作れるかもしれないと思ってしまう。
しかし、どこの国だって浮遊魔法の対策だってしているだろうから、そんなに簡単には入れたりしないだろう。もう歩いてきたという事にしようかなと思った。
護衛も付けずひとりで馬に乗って来る旅人もいるのだ。もちろんそれはSランクの冒険者とかそんな人たちではある。しかし、やはり無理があると思い直し、正直に話して亡命って形を作った方がいいかもしれない。
貴族ともなれば顔が身分証明みたいなものだが実は貴族にも身分証明はある。
それはいつも貴族がつけている大きな指輪だ。産まれた時に母体から一緒に出てきた所謂、へその緒と魔石を加工して指輪にするのだ。へその緒を使うのは貴族にとっては一番の証明になるのだ。へその緒は母体からの繋がりがあった為、DNA鑑定に近い事も出来る。
自分の娘、息子だという絶対的な証明が出来るのだ。それを貴族たちは金だのダイヤだので装飾をする。そしてそれがヒエラルキーにもつながる。厄介な品物でもあった。
自分だけのたったひとつのその指輪は「ヴァナ」と呼ばれている。平民ももちろん作っても良い。しかし作るのには金がかかる。平民の多くは指輪ではなく小さな瓶に入れ首からかけているだけである。いつかヴァナを作る為に。
しかし多くの平民はそんな金の掛かるヴァナより、普通に冒険者ギルドか商人ギルドでそのへその緒を使って身分証明を作っている。それで十分なのだ。それはカードのような形をした「ヴァイ」といったものになる。
アリアナは「ヴァナ」は持っている。それを門の兵士に見せればいいのだ。そうすればすぐに亡命の手続きをしてくれるだろう。しかしモジャの存在を明かす事は出来ない。モジャの素材は高値が付きそうだし、このハウスにあるアルディのメモ1つ売っても一生食べていけるほどの金貨がもらえるだろう。取り合いになって血を見る事になるかもしれない。
まあ、しかしシシリアキングスには入らないと生活が出来ない。とりあえず、亡命だけはするか…アリアナはなんとかなるかなっと思うのであった。
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