もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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27.

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「王子様の元婚約者様とはね…すごい大物きたわね」
「婚約は見染められてたまたまよ。産まれは高々男爵の娘なのよ。しかも庶民派よ。父は商人だし」
「男爵…商人…あっ」
「え?」
「そういえば最近、モグリベルの男爵が家族揃って貴族籍を廃してシシリアキングスに亡命したって話を聞いたわ。確か…カビラ家だった。一から商人の道を進むって話だった」
 家族のみんながシシリアキングスに!?

「戸籍部の部長がお茶しに来た時に言ってたのよ。欲が出て末娘が亡くなったって、自分のせいなんだって後悔していたって話よ。部長も自分に娘がいるから悲しい話だって」
「お父様達が自ら…」
「ええ、そうよ!あなたがいなくなった事を悲しんでいたって」
 リアはポロポロと涙が溢れた。

 心配してくれていた。悲しんでくれていた。リアの為に貴族籍を抜いてくれていた。
「よかったわね。あなたは愛されていたのね」
「うん」
「さぁ、ショールを巻いて見つかってしまう。ここのメイクルームは私くらいしか使わないけどたまにお客さんも使うから、早く」
「え?報告しないの?」
「誰に?なんの?」
「…」
「私は好奇心であなたの髪色が気になっただけ、いつか森の中のツリーハウスに招待してね」
 リアはイケメン兵士から助けられ逃げた先が現在の位置にある普通のツリーハウスだったとまでしか伝えていない。モジャの事を言うのはまだ早いだろうと考えていた。
「ありがとう、ヨモ」
「ねぇ、ショールを巻いてカツラを被ったら?黒のショールのままだと取れって言われちゃうかも」
「そうねぇ」
「私、いい所知ってるわ。もうすぐ終了時間だから選んであげる」
「あなた本当に暇なのね」
 ヨモはメイクルームから出ると帰る準備を始めた。
「その変わり給金はすごく安いのよ。でも私ひとりなら食べていけるから」

 その後、古着屋に案内された。古着屋の中の一角にあるコーナーに色々な色のカツラがあった。
「目のお色ですとこちらの髪色がよろしいですわね」
 ショールの上からカツラを着けさせて貰い店員に選んでもらっている。カツラを着けるのも貴族や上流階級の人間にはよるある事だ。素性を知られたくないとか、病気で毛が抜けてしまったとか、理由は様々だろう。それが不要になり古着屋に回っているようだ。店員もまた理由は聞かない。ショールの上からの着用するカツラを選ぶなどそんなにない依頼だと思うがそれでも気にする様子はない。

「ちなみに私の瞳って何色に見えます?」
「え?灰色の沈んだお色かと…」
「その通りよ。変な色よね」
「いえ、そんな事は…この隣国から最近入りました水色の巻き毛のカツラになさいましたら、明るい感じになりますわ」
「素敵ね。本物みたい」
「こちらは人毛になりますわ。なんでも元貴族の女性のものだとか」
「貴族?似合うかしら、ちょっと派手じゃない?」
「そんな事ないわ、水の属性って多いから、水色の髪は平民でも結構多いのよ。私の友達にも水色の娘がいるわ」
 ヨモはキラキラと光る水色のカツラを進める。
「そうかな…じゃあ、これにしますね」
 リアは購入し着用したまま店を出た。
「ヨモも灰色の目に見えるの?」
 大通りを歩きながらリアはヨモに聞いた。
「それが私にはブラウンにしか見えないんだけど…人によって見え方が違うのかな」
 実際は澄んだ青い瞳だ。どういう事なのか分からないが人によって見え方が異なるらしい。正解を出さないようにしなければならない。
 街を歩いている人たちを気にして見ると水色の髪の人は結構いる。ヨモの言っていた事は本当のようだ。
「お貴族様って見た事なかったけどみんなあんなにキレイなものなの?リアだけ?」
「え?面と向かってなによ」
 今は黒のショールを巻いてカツラをしているので地味なリアだ。
「ん~私は容姿だけはいいって親から言われていたわ。おまえは頭が悪いから学園では容姿を活かしていい男を捕まえろって言われて育ったのよ。いい男を間違ったのね。顔のいい男とか家柄のいい男だと思ってしまって」
「お父様が後悔するはずね…」
「なによ、それより今日はヨモの所に泊めてね。話が長くなって宿を取ってなかったから」
「え!もう仕方ないなぁ…部屋の掃除なんてロクにしてないんだけど」

 夜になり露店で夕食を買い、ヨモの部屋に行った。部屋は狭く、物が溢れている。キレイな部屋とは言い難い一人暮らしの様子だった。
「だから、掃除なんてしてないって言ったでしょ」
 物が多いのは夫の物ばかりだと言う。夫は必要だからだと使えもしない武器とか魔石を買ったりしていたらしい。いつか使う日が来るらしいとの事でどんどん貯まっていったのだそうだ。そして夫が戻らなくなって二人暮らしの部屋では家賃が払えなくなってきたので一人暮らし用の部屋を借りたが荷物が整理出来ていないのだと言う。

「5年経てば死亡届が受理されて、私は独身に戻るんだけど…なかなか決心が付かなくて…荷物も捨てられない。でももう潮時なのかな」
 ヨモは香りのいい紅茶を飲みつつポツリと言った。

 旦那さんは3人のパーティーを組んで依頼を行っていたらしい。その日も3人だったと冒険者ギルドは言う。そしてその3人誰も戻ってきていないのだ。
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