もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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第59話

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「え?もう離れてしまうの?心配よ」
 母は心配してリアの手を取る。
「お母様、もう大丈夫よ。離れ離れじゃないわ。いつでも会えるし居場所も知らせる。モジャにみんなを招待していいか聞いてくるだけだから。お母様は王都の宿屋で待っていて」
「そうよね、そうよね」
 母イザベラは少しまだ情緒不安定のようだった。
「アリアナ、心配はいらない。不安なのは今だけだ。お前の元気な姿を見たのだからその内落ち着くだろう」

 報告は終わってアリアナは思い出す事があった。
「あっ叔父様、忘れていた事があるの」
「なんだい」
「お世話になったのでこれを受け取って」
 アリアナは麻袋からまた布の袋を取り出し、昼食が終わり、紅茶しか乗っていないテーブルの上にゴロゴロと魔石を出した。
「これは…」
 透明のような青色のような美しい色をしたローウルフの魔石を取り出したのだ。全部で30個はあるだろう。
「…どうしたのだ?」
「魔の森の近くに住んでいたからローウルフが沢山いて、モジャの結界に触れると死んでしまうらしくて取り放題だったの。毛皮は前の冬に全部売ってしまってこっちに来る資金にしていたんだけど、魔石は叔父様にあげようと思って売らずに持っていたの」

「…ああ、アリアナ…気持ちはありがたいが、どんなに貴重なものか分かっているのか?」
「え?まあ…貴重なのは知っているわよ」
「…ローウルフは集団で行動するから討伐するのが難しい魔獣だ。一匹倒してもその血や声か何かで仲間を呼び寄せる。冒険者でもAクラスが数組いないと危険な魔獣なんだ。だから毛皮や牙、魔石なんてなかなか手に入らないと言われているんだぞ」
「そうなのね…」
 そう言われても結界に体当たりしているのか毎朝倒れているのだ。モジャの家にはまだ保管庫に沢山置いている。 
「毛皮はどこで売っていたんだね?」
「シシリーの商人ギルドよ」
「ああ、シシリーね。王都じゃなくてよかった」
「?」
「王都だとすぐに王家から介入が入る。そんな腕のいいパーティーがいるなら兵士にでも騎士にでも迎えるだろうからな」
「シシリーだと見つかりにくいの?」
「距離があるからね。市場の混乱ですぐにどういった経緯か分からなくなるらしい」
「ずさんね」
「しかし、シシリーの商人ギルドもこんな若い娘がローウルフを何匹も討伐しているなんておかしいとは思わなかったものなのか」
 父リベルは言う。
「それは適当に言って仲間がいるみたいな事にしていたから」
「仲間?」
「森の住民だって事にしたらなんか納得してくれた。一気に全部売った訳じゃないないから」
「そういえば、去年の冬はローウルフの毛皮がいつもの倍は出回っていたな。値が割れそうになっていたぞ。まさか、アリアナが原因だったとは…」
 そういえば、最後の方は少し安かった。

 魔石は一応叔父預かりにする事にした。

 リア達家族は午後から門の近くの高級宿に移動した。リアが一度モジャの所に行って戻って来るまで待ってもらう事にした。そこは叔父が好んで使っている宿だ。
「叔父様、こんな所に私たちも泊まらせて貰ってもいいのですか?」
 姉シルビアが言う。
「アリアナから高価な魔石を預かっている。君たちもその恩恵を受けるに相応しいよ」
「アリアナのおかげね」

「じゃあ、明日には戻って来るから」
「分かったわ」
 リアは王都の門で皆と別れ、門を出て近くの森の茂みに入って行った。誰かに付けられている様子もないと分かり、箒を取り出した。影が薄くなる魔法円を燃やし、箒に乗り青空に飛び立った。

「モジャ!ただいま!」
『何じゃ騒々しいのぉ、何か忘れものか?』
「え、違うわよ。帰って来たのよ」
『帰って来たって…王都に行ってからまだ6日じゃぞい。もう良いのか?』
「え?まだそんなもの?なんだか1ヶ月くらい滞在していた気分」
 王都に着いて1週間も経っていない。

『まあ殺されかけたり大変じゃったのう』
「え?なんで知っているの?」
『ん?アリアナは「住まい人」じゃぞ?アリアナの魔力は読み取れる。どこへ行こうと大体分かる」
「殺されかけたまで分かるの?」
『相手が殺気だっていたからな。アリアナに向けられていると分かった』
「だったら助けてよ」
 リアはぷうとした顔になる。

『ほっほっほ、わしが助けんでもオレンジの炎が助けてくれたのだろう?』
「そうだけど、誰もいなかったら死んでたわよ」
『そうなっていたらわしが殺していた』
「え?」
『住まい人の敵はわしの敵じゃ』
「モジャ~!なんかカッコイイ事言ってる」

『ぬっほっほっほっほおぉぉ』
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