もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

文字の大きさ
88 / 139

第60話

しおりを挟む
 リアはモジャに王都での6日間を聞かせた。
「そうだ。私家族と再会したのよ。それで家族がぜひモジャに会ってお礼を言いたいって」
『連れて来るがいい』
「いいの?」
『住まい人の家族はわしの家族じゃ』
「ありがとう。じゃあ明日お茶会を開きましょう!沢山のお菓子と飲み物を準備して、王都で美味しかった物を買ってこよう。あっ、でもどうやって連れてこようかな。ここまで結構距離があるし、歩くしかないんだけどお母様は大丈夫かな?」
 リアはひとりでハイになったりローになったりしていた。

『アルディは箒に孫を乗せておったぞ』
「でもひとりでしょう?」
『よくわからんが何人か乗れるのはないか。魔法陣を見て見よ』
 リアは箒を取り出し、魔法陣を浮かび上がらせた。

 ごちゃごちゃと何やら分からない。仕方ないのでアルディの本を取り出しひとつひとつの呪文を書き出した。沢山の呪文の中に数字の呪文が書いてあった。ようするに何人まで運べるかと刻まれているようだった。数字は古代数字で6とされている。両親、姉、叔父、自分で5名だ。
 よかった乗れそうだ。しかしどうやって乗せるのだろう。箒の周りにいたらいいのだろうか?試したいが他に試せる人がない。明日一発勝負だな。アルディが作ったものに失敗はない、気にする事はないかとリアはお茶会の準備に勤しんだ。


 翌日の朝、王都の叔父達がいる宿に戻ろうとした時だった。モジャがリアを止めた。
『アリアナ、ちょっと待つのじゃ』
「どうしたの?」
 ふわりと温かい風がリアを包んだ。リアにというかモジャの結界の周りと言っていいだろう。
「なにこれ?」
『キングがきたのぉ』
「キング?」
『なんのようじゃ?』
 モジャはリアの後ろに視線を送った。リアが振り向くと、後ろには黄金に輝く3mはあろう大きなウルフがいた。
 リアは生きている魔獣と向き合うのは初めてだった。

『アリアナ、動くでないぞ』
「う、うん」
 リアは動こうにも動けなかった。

 しばらくしてその黄金に輝くウルフは去って行った。
「びっくりした…あれはなんだったの?」
 ふうと、緊張感が取れへたり込んだ。

『あれか…あやつはキングダムウルフと言われているらしい。辞典にも乗っておるわいな』
「そ、それが何でこんな所に…」
『あやつはわしが移動したのが気に入らんじゃったようだの。元はわしがいたシシリーの魔の森深くに住んでおったのに最近はこの辺でウロウロしとる』
「モジャが好きなの?」
 ちょっと茶化すように言ったがモジャはげんなりした顔をした。

『わしというか、わしのなる実が欲しいのじゃろうて』
「モジャの実?」
『わしの実を食べれば伝説の妖狼フェンリルになると言われている』
「え?そうなの?」
『そんな訳なかろう。しかしキングの中ではそんな伝説を本気で信じているようで群れの中で1番の奴が数年ごとにやってくる』
「食べさせた事はないの?」
『その前にわしは実がならん。ずいぶん前に1回実っていた事はあるのぉ。それは落ちてリスに食われてしもうた』
「…そのリスはキングダムリスにはならなかったの?」
『そんなものにはならん。リスはリスじゃよ。わしの実は普通の実なのじゃ』
「へぇ、でもフェンリルちょっと見てみたいかも」
『フェンリルとは人間にとっては災いとされているのじゃが…』
 今の子はそんな事も知らぬのかと言うような顔でリアを見る。

「え?そうなの?じゃあ今のなし、いない方がいいね」
 リアは慌てて訂正した。

『キングは風と火の属性を持つ魔獣なのじゃ。あの温かい風はキングが来た証拠じゃ、覚えておくといい』
「確かに温かい風に包まれた」
『怒らせると厄介だ。無視するに限る』
「モジャでも厄介なのね」
『今ではこの結界があるからイイが昔は面倒しゃったわいな。よく囲われたりもした。キライじゃ』
 モジャの言い方が可愛くて笑ってしまったが、実を求めてこれからも訪れるのだろうと思うとちょっとやだなと思うリアだった。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!

天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。  魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。  でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。  一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。  トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。  互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.  他サイトにも連載中 2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。  よろしくお願いいたします。m(_ _)m

水精姫の選択

六道イオリ/剣崎月
ファンタジー
見た目が美しくも奇異な小国の王女パルヴィは、財政難から大国に身売りすることになったのだが、道中で買うと言った王が死亡したと聞かされる。 買われ故国を救いたいと願う王女は引き返さずに大国へと赴き 

平民に転落した元令嬢、拾ってくれた騎士がまさかの王族でした

タマ マコト
ファンタジー
没落した公爵令嬢アメリアは、婚約者の裏切りによって家も名も失い、雨の夜に倒れたところを一人の騎士カイルに救われる。 身分を隠し「ミリア」と名乗る彼女は、静かな村で小さな幸せを見つけ、少しずつ心を取り戻していく。 だが、優しくも謎めいたカイルには、王族にしか持ちえない気品と秘密があり―― それが、二人の運命を大きく動かす始まりとなるのであった。

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。

まるねこ
ファンタジー
魔法が使えなかったせいで落ちこぼれ街道を突っ走り、伯爵家から売られたソフィ。 泣きっ面に蜂とはこの事、売られた先で魔物と出くわし、置いて逃げられる。 それでも挫けず平民として仕事を頑張るわ! 【手直しての再掲載です】 いつも通り、ふんわり設定です。 いつも悩んでおりますが、カテ変更しました。ファンタジーカップには参加しておりません。のんびりです。(*´꒳`*) Copyright©︎2022-まるねこ

【完】瓶底メガネの聖女様

らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。 傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。 実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。 そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

処理中です...