もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

文字の大きさ
91 / 139

第63話

しおりを挟む
「リア、込んできたからリアだけカウンターに来ない?」

 しばらくしてヨモがリアを呼んだ。4人掛けのセットテーブルになっているのでリアだけ椅子を隣のテーブルから借りていた。午後のティータイムになり人が多くなっていた。リアはいつものカウンターの席に着いた。
「込んできたわね」
「ティータイムだからね」
 ヨモはお客さんの紅茶を入れながらリアと話をしていた。

「そろそろ私たちも帰るわね。今度またゆっくり来るわ」
「もう少しいいんじゃない?叔父様達もなんだかゆっくりしているし」
「でも…」
「あそこの席はちょっとした予約席なの。まあ少し余計にお金を頂いているわ。だから心配しないで。あとでリアに請求するから」
「わかった。ありがとう」
「実はリアにちょっと聞きたい事があって」
 ヨモが改まってリアに聞いてきた。リアはなんとなく察していた。
「シンの事?」
「ええ、シンって…何者?ごめん、変な聞き方して。ただお客さんから聞く話が色々でもう分からなくなってしまって、リアに聞いた方が早いって思ったの」
 ヨモはリアもシンも同じように前職で知り合ってから仲良くなった人だ。リアの事はリアから聞いてはいるがシンの事はよく分かっていなかった。

「ヨモが想像している人だと思うわ」
「シンフォニー・クローリーって事?」
 実は隣国で処刑されたご令嬢がユグンに現れた事は、このリアを斬り付けた件でまた噂が広まっていた。世間はゴシップ好きなのである。

「まあ…」
「…どうして教えてくれなかったのよ。リアにとっては敵じゃない」
「私にとってはね。でもヨモには優しくていい人だったんでしょう?付き合いをやめろなんて言えないわ」
「リア…シンはリアに何をしたの?今は女性を襲って兵士に捕まっているって事以外聞いてなくて」
 リアはあの時の状況を説明した。

「なぜ?シンはどうして…」
「そこは分からないの。私がシンの正体を知って何かをするって思ったのかも、脅されるとか」
「リアがそんな事するはずないじゃない!」
「私はね、でもモグリベルでは結構なスキャンダルだったらしいのよ。シー姉さまが言っていた。シンのご家族も逃げるように国外に出たらしいけど行方不明だって」
「…」
「だからひどい事をされるって思ったんじゃないかしら。私は仲良くしないと言っただけなんだけど、シンが深読みしてしまったのかも」
「はぁ、じゃあシンは鉱山送りになるのかしら」
「だぶん」
「可哀そうだけど、リアを襲ったのは許せないわ」
「ありがとう。でも事情を知らない冒険者ギルドは私の方が悪者になるよね」
「どうしてよ?」
「だって相手は儚げな美人よ。私は地味な黒ショールの女。私がマオに取り入ってシンを悪者に仕立て上げようとしていると思われているわ。誰も味方なんてする人はいない。ギルド長にも言われたわ。マオはなんだってこんな地味な女がいいんだってね」
「なによそれ!リアはびっくりするくらいの美少女なのに!」
「ありがとう、ヨモ。まあ、私は冒険者ギルドにはもう行けないとは思うのよね」「そうね、行かない方がいいわね。変に絡まれると厄介だし、叔父様達とも会えたんですもの商人ギルドで取引を再開してもいいんじゃない?」
「そのつもり、でもよかった」
「何か?」
「ヨモだけでも私の味方になってくれて、ヨモはシンとも親しいから」
「リアの事情は聞いているもの、リアの味方に決まってるでしょ」
「嬉しい」

「話が盛り上がっているようだね。ヨモさん、美味しい紅茶をありがとう。我々はこれで失礼するよ。混んできたようだしね。リアはまだいてもいいが…」
「私も出るわ。ヨモ、また来るから」
「ええ、コバック男爵もまたいらしてください。お待ちしていますわ。あとヨモで結構ですわ」
「ありがとう、ヨモ。あぁ私の事もショーンで構わないよ」
「「え?」」
「それでは」
 と、叔父はちょっと俯いて金貨を置いてさっさと店を出てしまった。両親と姉は微笑みなからヨモに挨拶をして店を出た。

「…叔父様ったらヨモに気があるのかしら?」
「えっ?!や、やめてよ、リア。そそそんなわけないでしょう。あっおつり!」
「貰っときなよ」
「そ、そんなわけには!リアッちょっと待って清算…」
 と、言っていたが出て来た。

 叔父様とヨモならちょっと年の差はあるが、叔父様だってまだ30代だ。全然有りだろう。叔父様もシブメンだし。
 リアはそんな事を思いながら4人を追った。

「本当にヨモの紅茶は美味しかったわ」
 と、姉シルビアがチラリとショーンを見る。
「心が落ち着く感じがしたわね」
 と、母イザベラがチラリとショーンを見る。
「叔父様ったらずっとヨモを見ていたのよ」
 と、シルビアがリアに言う。

「まあ、そうなの?長らく独身生活をしてきてようやく実を固める決心が付いたのかしら?」
 イザベラは棒読みでやはりチラリとショーンを見る。
「お母様、急かしてはダメよ。年寄りの恋愛は時間が必要なのよ。ここは抑えて見守ってあげないと」
 リアがチラリとショーンを見る。
「そうね、そうね」
 ニヤニヤとする女性軍にショーンは聞こえないふりをする。父リベルは矛先がこちらに来ないように我関せずだった。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!

天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。  魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。  でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。  一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。  トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。  互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.  他サイトにも連載中 2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。  よろしくお願いいたします。m(_ _)m

水精姫の選択

六道イオリ/剣崎月
ファンタジー
見た目が美しくも奇異な小国の王女パルヴィは、財政難から大国に身売りすることになったのだが、道中で買うと言った王が死亡したと聞かされる。 買われ故国を救いたいと願う王女は引き返さずに大国へと赴き 

平民に転落した元令嬢、拾ってくれた騎士がまさかの王族でした

タマ マコト
ファンタジー
没落した公爵令嬢アメリアは、婚約者の裏切りによって家も名も失い、雨の夜に倒れたところを一人の騎士カイルに救われる。 身分を隠し「ミリア」と名乗る彼女は、静かな村で小さな幸せを見つけ、少しずつ心を取り戻していく。 だが、優しくも謎めいたカイルには、王族にしか持ちえない気品と秘密があり―― それが、二人の運命を大きく動かす始まりとなるのであった。

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。

まるねこ
ファンタジー
魔法が使えなかったせいで落ちこぼれ街道を突っ走り、伯爵家から売られたソフィ。 泣きっ面に蜂とはこの事、売られた先で魔物と出くわし、置いて逃げられる。 それでも挫けず平民として仕事を頑張るわ! 【手直しての再掲載です】 いつも通り、ふんわり設定です。 いつも悩んでおりますが、カテ変更しました。ファンタジーカップには参加しておりません。のんびりです。(*´꒳`*) Copyright©︎2022-まるねこ

【完】瓶底メガネの聖女様

らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。 傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。 実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。 そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

処理中です...