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第63話
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「リア、込んできたからリアだけカウンターに来ない?」
しばらくしてヨモがリアを呼んだ。4人掛けのセットテーブルになっているのでリアだけ椅子を隣のテーブルから借りていた。午後のティータイムになり人が多くなっていた。リアはいつものカウンターの席に着いた。
「込んできたわね」
「ティータイムだからね」
ヨモはお客さんの紅茶を入れながらリアと話をしていた。
「そろそろ私たちも帰るわね。今度またゆっくり来るわ」
「もう少しいいんじゃない?叔父様達もなんだかゆっくりしているし」
「でも…」
「あそこの席はちょっとした予約席なの。まあ少し余計にお金を頂いているわ。だから心配しないで。あとでリアに請求するから」
「わかった。ありがとう」
「実はリアにちょっと聞きたい事があって」
ヨモが改まってリアに聞いてきた。リアはなんとなく察していた。
「シンの事?」
「ええ、シンって…何者?ごめん、変な聞き方して。ただお客さんから聞く話が色々でもう分からなくなってしまって、リアに聞いた方が早いって思ったの」
ヨモはリアもシンも同じように前職で知り合ってから仲良くなった人だ。リアの事はリアから聞いてはいるがシンの事はよく分かっていなかった。
「ヨモが想像している人だと思うわ」
「シンフォニー・クローリーって事?」
実は隣国で処刑されたご令嬢がユグンに現れた事は、このリアを斬り付けた件でまた噂が広まっていた。世間はゴシップ好きなのである。
「まあ…」
「…どうして教えてくれなかったのよ。リアにとっては敵じゃない」
「私にとってはね。でもヨモには優しくていい人だったんでしょう?付き合いをやめろなんて言えないわ」
「リア…シンはリアに何をしたの?今は女性を襲って兵士に捕まっているって事以外聞いてなくて」
リアはあの時の状況を説明した。
「なぜ?シンはどうして…」
「そこは分からないの。私がシンの正体を知って何かをするって思ったのかも、脅されるとか」
「リアがそんな事するはずないじゃない!」
「私はね、でもモグリベルでは結構なスキャンダルだったらしいのよ。シー姉さまが言っていた。シンのご家族も逃げるように国外に出たらしいけど行方不明だって」
「…」
「だからひどい事をされるって思ったんじゃないかしら。私は仲良くしないと言っただけなんだけど、シンが深読みしてしまったのかも」
「はぁ、じゃあシンは鉱山送りになるのかしら」
「だぶん」
「可哀そうだけど、リアを襲ったのは許せないわ」
「ありがとう。でも事情を知らない冒険者ギルドは私の方が悪者になるよね」
「どうしてよ?」
「だって相手は儚げな美人よ。私は地味な黒ショールの女。私がマオに取り入ってシンを悪者に仕立て上げようとしていると思われているわ。誰も味方なんてする人はいない。ギルド長にも言われたわ。マオはなんだってこんな地味な女がいいんだってね」
「なによそれ!リアはびっくりするくらいの美少女なのに!」
「ありがとう、ヨモ。まあ、私は冒険者ギルドにはもう行けないとは思うのよね」「そうね、行かない方がいいわね。変に絡まれると厄介だし、叔父様達とも会えたんですもの商人ギルドで取引を再開してもいいんじゃない?」
「そのつもり、でもよかった」
「何か?」
「ヨモだけでも私の味方になってくれて、ヨモはシンとも親しいから」
「リアの事情は聞いているもの、リアの味方に決まってるでしょ」
「嬉しい」
「話が盛り上がっているようだね。ヨモさん、美味しい紅茶をありがとう。我々はこれで失礼するよ。混んできたようだしね。リアはまだいてもいいが…」
「私も出るわ。ヨモ、また来るから」
「ええ、コバック男爵もまたいらしてください。お待ちしていますわ。あとヨモで結構ですわ」
「ありがとう、ヨモ。あぁ私の事もショーンで構わないよ」
「「え?」」
「それでは」
と、叔父はちょっと俯いて金貨を置いてさっさと店を出てしまった。両親と姉は微笑みなからヨモに挨拶をして店を出た。
「…叔父様ったらヨモに気があるのかしら?」
「えっ?!や、やめてよ、リア。そそそんなわけないでしょう。あっおつり!」
「貰っときなよ」
「そ、そんなわけには!リアッちょっと待って清算…」
と、言っていたが出て来た。
叔父様とヨモならちょっと年の差はあるが、叔父様だってまだ30代だ。全然有りだろう。叔父様もシブメンだし。
リアはそんな事を思いながら4人を追った。
「本当にヨモの紅茶は美味しかったわ」
と、姉シルビアがチラリとショーンを見る。
「心が落ち着く感じがしたわね」
と、母イザベラがチラリとショーンを見る。
「叔父様ったらずっとヨモを見ていたのよ」
と、シルビアがリアに言う。
「まあ、そうなの?長らく独身生活をしてきてようやく実を固める決心が付いたのかしら?」
イザベラは棒読みでやはりチラリとショーンを見る。
「お母様、急かしてはダメよ。年寄りの恋愛は時間が必要なのよ。ここは抑えて見守ってあげないと」
リアがチラリとショーンを見る。
「そうね、そうね」
ニヤニヤとする女性軍にショーンは聞こえないふりをする。父リベルは矛先がこちらに来ないように我関せずだった。
しばらくしてヨモがリアを呼んだ。4人掛けのセットテーブルになっているのでリアだけ椅子を隣のテーブルから借りていた。午後のティータイムになり人が多くなっていた。リアはいつものカウンターの席に着いた。
「込んできたわね」
「ティータイムだからね」
ヨモはお客さんの紅茶を入れながらリアと話をしていた。
「そろそろ私たちも帰るわね。今度またゆっくり来るわ」
「もう少しいいんじゃない?叔父様達もなんだかゆっくりしているし」
「でも…」
「あそこの席はちょっとした予約席なの。まあ少し余計にお金を頂いているわ。だから心配しないで。あとでリアに請求するから」
「わかった。ありがとう」
「実はリアにちょっと聞きたい事があって」
ヨモが改まってリアに聞いてきた。リアはなんとなく察していた。
「シンの事?」
「ええ、シンって…何者?ごめん、変な聞き方して。ただお客さんから聞く話が色々でもう分からなくなってしまって、リアに聞いた方が早いって思ったの」
ヨモはリアもシンも同じように前職で知り合ってから仲良くなった人だ。リアの事はリアから聞いてはいるがシンの事はよく分かっていなかった。
「ヨモが想像している人だと思うわ」
「シンフォニー・クローリーって事?」
実は隣国で処刑されたご令嬢がユグンに現れた事は、このリアを斬り付けた件でまた噂が広まっていた。世間はゴシップ好きなのである。
「まあ…」
「…どうして教えてくれなかったのよ。リアにとっては敵じゃない」
「私にとってはね。でもヨモには優しくていい人だったんでしょう?付き合いをやめろなんて言えないわ」
「リア…シンはリアに何をしたの?今は女性を襲って兵士に捕まっているって事以外聞いてなくて」
リアはあの時の状況を説明した。
「なぜ?シンはどうして…」
「そこは分からないの。私がシンの正体を知って何かをするって思ったのかも、脅されるとか」
「リアがそんな事するはずないじゃない!」
「私はね、でもモグリベルでは結構なスキャンダルだったらしいのよ。シー姉さまが言っていた。シンのご家族も逃げるように国外に出たらしいけど行方不明だって」
「…」
「だからひどい事をされるって思ったんじゃないかしら。私は仲良くしないと言っただけなんだけど、シンが深読みしてしまったのかも」
「はぁ、じゃあシンは鉱山送りになるのかしら」
「だぶん」
「可哀そうだけど、リアを襲ったのは許せないわ」
「ありがとう。でも事情を知らない冒険者ギルドは私の方が悪者になるよね」
「どうしてよ?」
「だって相手は儚げな美人よ。私は地味な黒ショールの女。私がマオに取り入ってシンを悪者に仕立て上げようとしていると思われているわ。誰も味方なんてする人はいない。ギルド長にも言われたわ。マオはなんだってこんな地味な女がいいんだってね」
「なによそれ!リアはびっくりするくらいの美少女なのに!」
「ありがとう、ヨモ。まあ、私は冒険者ギルドにはもう行けないとは思うのよね」「そうね、行かない方がいいわね。変に絡まれると厄介だし、叔父様達とも会えたんですもの商人ギルドで取引を再開してもいいんじゃない?」
「そのつもり、でもよかった」
「何か?」
「ヨモだけでも私の味方になってくれて、ヨモはシンとも親しいから」
「リアの事情は聞いているもの、リアの味方に決まってるでしょ」
「嬉しい」
「話が盛り上がっているようだね。ヨモさん、美味しい紅茶をありがとう。我々はこれで失礼するよ。混んできたようだしね。リアはまだいてもいいが…」
「私も出るわ。ヨモ、また来るから」
「ええ、コバック男爵もまたいらしてください。お待ちしていますわ。あとヨモで結構ですわ」
「ありがとう、ヨモ。あぁ私の事もショーンで構わないよ」
「「え?」」
「それでは」
と、叔父はちょっと俯いて金貨を置いてさっさと店を出てしまった。両親と姉は微笑みなからヨモに挨拶をして店を出た。
「…叔父様ったらヨモに気があるのかしら?」
「えっ?!や、やめてよ、リア。そそそんなわけないでしょう。あっおつり!」
「貰っときなよ」
「そ、そんなわけには!リアッちょっと待って清算…」
と、言っていたが出て来た。
叔父様とヨモならちょっと年の差はあるが、叔父様だってまだ30代だ。全然有りだろう。叔父様もシブメンだし。
リアはそんな事を思いながら4人を追った。
「本当にヨモの紅茶は美味しかったわ」
と、姉シルビアがチラリとショーンを見る。
「心が落ち着く感じがしたわね」
と、母イザベラがチラリとショーンを見る。
「叔父様ったらずっとヨモを見ていたのよ」
と、シルビアがリアに言う。
「まあ、そうなの?長らく独身生活をしてきてようやく実を固める決心が付いたのかしら?」
イザベラは棒読みでやはりチラリとショーンを見る。
「お母様、急かしてはダメよ。年寄りの恋愛は時間が必要なのよ。ここは抑えて見守ってあげないと」
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「そうね、そうね」
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