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第73話
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誰も動かずモジャもキングダムウルフも見合ったままだった。
『リア』
「は、はい!」
リアは急に呼ばれて驚いた。
『ハウスの後ろに実がなっていると言う』
モジャはため息交じりにそう言った。
「え?」
『それを取ってきてくれるか?』
「実が?…わかった」
『他のものは動くでない』
ショーンが自分が…と動こうとしたのをモジャが止めた。
リアは急いでモジャの木に登りハウスの周りを調べた。見えにくい所に1つの実がなっていた。見た目はリンゴのようだ。しかしその実は大きく少し黄い色をしている。黄金色と言われればそうかもしれない。その実はいい香りが漂い、思わず食べてしまいそうな誘惑にかられる。
リアは首を振り、ダメダメと思いながら実を手に取ると香りをかがないように皆がいる場所へと戻った。
『あったか…』
モジャはため息を吐いた。
「ええ」
リンゴを見てキングダムウルフは明らかに興奮している。
「リア、それは…」
ショーンがリアの持っているものを問いただそうした。
「叔父様、後に」
『リア、それをキングに渡してくれ。どうやら結界があって入れないようじゃ』
「なるほど」
だからこの間も近づかなかったようだ。
リアは結界ギリギリまで近づきリンゴを投げた。キングダムウルフはそれを口でキャッチし、一口で食べてしまった。シャリシャリといい音を奏でている。
千年樹の実を食べたものは伝説の妖狼フェンリルになると言う。では、ほかの魔獣や獣が食べた場合はどうなるのか。人間が食べた場合は何になるのだろう。リアはそんな事を考えていた。
『ようやく我も伝説のフェンリルになるのだな。がーはっはっは』
両親でも叔父でも、秘書でもない、もちろんモジャやリアでもない大きな声が森中に響き渡った。
『おお、力が漲《みなぎ》るようだ。我は最強になったのだ!』
『キングよ。もう良いだろう。はよ、帰れ。わしらは談笑しておる』
『千年樹よ。我に従い、我の僕《しもべ》となり尽くすが良い』
『何を言うておる、はよ、帰れ』
『…我はフェンリルだろう?』
『知らん、わしの見た所何も変わっとらん』
『は?』
ベアの魔獣の2倍はありそうなキレイな金色をした大きなウルフは困惑している。リアはそのキングダムウルフとは2mほどしか離れていない。それに気が付いたキングダムウルフはリアを見つける。
『小娘!いい度胸だ!こんな結界この我が壊してやる』
結界に飛び込んだキングダムウルフはバチンと大きな音を立てて吹き飛んだ。さすがに死んではいないようだ。
『な、なぜだ。我はフェンリルになったのだろう!』
『キングよ。…非常にいい難い事だがわしの実を食したからと言ってフェンリルなんぞにはならん。それはどこぞの誰かが勝手に作り上げた幻想じゃ…』
『何を言っておるのだ…千年樹の実を食べればフェンリルになれると…』
『幻想じゃ』
そうモジャにはっきりと言われたキングダムウルフは明らかに落胆していた。
「元気だしてね」
リアはキングダムウルフに言った。
『…』
キングダムウルフはリアを見た。
『我に言っているのか…』
「そう。あなたは人と話が出来るのね」
『リア、魔獣は人とは話せない』
「え?でもみんな分かるよね?」
両親、叔父、秘書は頷く。
『ほう、そうか。わしの実を食べた魔獣は人語が話せるようになるのか。なるほど、ほっほっほっほ、わしも初めて知ったぞい。ほっほっほい』
キングダムウルフは明らかに先ほどより、落胆している。
『我はそんなもののために人生を掛けて…』
ちょっと、気の毒になってきたリアは
「元気だして」
と、もう一度言った。
『帰る…』
項垂れていたキングダムウルフは急に頭を上げると背を向け帰っていった。やれやれとモジャが言ってまた大きなため息を吐いた。
『リア』
「は、はい!」
リアは急に呼ばれて驚いた。
『ハウスの後ろに実がなっていると言う』
モジャはため息交じりにそう言った。
「え?」
『それを取ってきてくれるか?』
「実が?…わかった」
『他のものは動くでない』
ショーンが自分が…と動こうとしたのをモジャが止めた。
リアは急いでモジャの木に登りハウスの周りを調べた。見えにくい所に1つの実がなっていた。見た目はリンゴのようだ。しかしその実は大きく少し黄い色をしている。黄金色と言われればそうかもしれない。その実はいい香りが漂い、思わず食べてしまいそうな誘惑にかられる。
リアは首を振り、ダメダメと思いながら実を手に取ると香りをかがないように皆がいる場所へと戻った。
『あったか…』
モジャはため息を吐いた。
「ええ」
リンゴを見てキングダムウルフは明らかに興奮している。
「リア、それは…」
ショーンがリアの持っているものを問いただそうした。
「叔父様、後に」
『リア、それをキングに渡してくれ。どうやら結界があって入れないようじゃ』
「なるほど」
だからこの間も近づかなかったようだ。
リアは結界ギリギリまで近づきリンゴを投げた。キングダムウルフはそれを口でキャッチし、一口で食べてしまった。シャリシャリといい音を奏でている。
千年樹の実を食べたものは伝説の妖狼フェンリルになると言う。では、ほかの魔獣や獣が食べた場合はどうなるのか。人間が食べた場合は何になるのだろう。リアはそんな事を考えていた。
『ようやく我も伝説のフェンリルになるのだな。がーはっはっは』
両親でも叔父でも、秘書でもない、もちろんモジャやリアでもない大きな声が森中に響き渡った。
『おお、力が漲《みなぎ》るようだ。我は最強になったのだ!』
『キングよ。もう良いだろう。はよ、帰れ。わしらは談笑しておる』
『千年樹よ。我に従い、我の僕《しもべ》となり尽くすが良い』
『何を言うておる、はよ、帰れ』
『…我はフェンリルだろう?』
『知らん、わしの見た所何も変わっとらん』
『は?』
ベアの魔獣の2倍はありそうなキレイな金色をした大きなウルフは困惑している。リアはそのキングダムウルフとは2mほどしか離れていない。それに気が付いたキングダムウルフはリアを見つける。
『小娘!いい度胸だ!こんな結界この我が壊してやる』
結界に飛び込んだキングダムウルフはバチンと大きな音を立てて吹き飛んだ。さすがに死んではいないようだ。
『な、なぜだ。我はフェンリルになったのだろう!』
『キングよ。…非常にいい難い事だがわしの実を食したからと言ってフェンリルなんぞにはならん。それはどこぞの誰かが勝手に作り上げた幻想じゃ…』
『何を言っておるのだ…千年樹の実を食べればフェンリルになれると…』
『幻想じゃ』
そうモジャにはっきりと言われたキングダムウルフは明らかに落胆していた。
「元気だしてね」
リアはキングダムウルフに言った。
『…』
キングダムウルフはリアを見た。
『我に言っているのか…』
「そう。あなたは人と話が出来るのね」
『リア、魔獣は人とは話せない』
「え?でもみんな分かるよね?」
両親、叔父、秘書は頷く。
『ほう、そうか。わしの実を食べた魔獣は人語が話せるようになるのか。なるほど、ほっほっほっほ、わしも初めて知ったぞい。ほっほっほい』
キングダムウルフは明らかに先ほどより、落胆している。
『我はそんなもののために人生を掛けて…』
ちょっと、気の毒になってきたリアは
「元気だして」
と、もう一度言った。
『帰る…』
項垂れていたキングダムウルフは急に頭を上げると背を向け帰っていった。やれやれとモジャが言ってまた大きなため息を吐いた。
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