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第80話
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「でもそんなにシシリアキングスに染まってないと思うけど」
王都にはたくさんいた騎士団の姿も見ない。
「シシリアが政治に介入してないのがいいのかもな。税金だけ払ているだけだ。シシリアもこんな小さな弱い国なんて興味ないんだろう。それより国を集めて大きくしたいだけだろうな」
「ふーん、でっそのレッドスパイダーって手に入るの?」
そういえば、そのレッドスパイダーが目的だった事をリアは思い出す。
「なんだ、取りに行くのか?さすがは冒険者だな。魔の森の近くにレッドスパイダーは生息している。行けばうじゃうじゃといるぞ」
「すごいわ」
「皆知っているよ」
「誰でも取っていいの?」
「いいよ。皆カネに困ったら取りに行くんだ。ふだんは皆違う仕事をしている」
「冒険者に頼むの?」
「いや?自分たちで取りに行ってここで売ったりしているな。冒険者登録も碌にしてないな奴もいるな」
「ゆるいのね」
親からの伝手や顔なじみなどで清算出来るようだ。
「でもその時空間バックを自国民には安く売っているってことよね?そんな事したら帳簿とかでバレない?」
「帳簿なんて見せない。いい値で税金を払っている。まぁレッドスパイダーの件は裏帳簿だろうな」
はははとモズは豪快に笑う。そんな大きな声で言って事なのかとリアは思う。
「取りに行くのか?」
「ちょっと興味あるかも…」
「退治しないから魔の森には害虫のようにいるぞ」
モズはリアが本気で取りに行くようだと分かると、
「俺の休みの日にでも付いて行こうか?ここの国民は親から取り方を教えられるから知っているが何も知らないで取りに行くと大変な事になるぞ」
「そうなの?でもせっかくの休みに嫌じゃない?」
「べ、別に釣りくらいしかいつもしないし、それにいつも暇だしな…」
モズはなぜか明後日の方向を見て答える。
「本当?じゃあお願いしようかな?」
モズの次の休みの日に門で待ち合わせをした。待ち合わせなんて前世依頼だ。まるでデートのようだ。
時間が過ぎてもモズは現れない。まだかなぁと待っていると大柄な男性が向こうからやって来た。「よ、ようぉ」と言って来る。よく見るとモズだった。
「え?ど、どうしたの?全然分からなかった。髭は?!」
「いや、その…」
その日のモズは立派な髭がなかった。キレイに剃られ若いツルツルの肌が見えている。
ちょっとイケメンだ。モズは恥ずかしそうに大きな手で顎をさすり、気まずそうにしている。
なんで剃ったのだろう。剃った方がカッコイイけど、逆に緊張してしまう。
「あぁ、ええっと、に、似合っているよ。すごくいいと思う、うん」
「そ、そうか。じゃあ行こうか。魔の森付近まで2・3時間はかかるからな」
「そっか、結構歩くね、あは…」
なぜか二人とも緊張している。
「レッドスパイダーなんか何するんだ?」
歩いていて緊張が和らいだのかモズが聞いてきた。
「んーちょっと、実験したい事があって…」
「実験?」
「そう…でも今は秘密」
「ふーん、結構学者気質なのか?売り飛ばして金が欲しいとか言う奴はいっぱいいたが…」
「まぁそうかも…モズはいつもこうやってレッドスパイダーの居場所を案内しているの?」
「いや、まさか!そんなわけないだろう。金に困っている奴には仕方ないから取り方は教えるけど、野郎にわざわざ付き添ったりしない」
「…」
じゃあなんで私には付き添ってくれるのだ?そう思うと意識してしまった。二人してモジモジしていると、モズが手を繋いできた。リアは飛び上がって驚いた。
「わ、悪い…」
「いえ、びっくりして…」
「うん、こ、ここら辺、山道で道も整備されてないから、危ないんだ」
「そっか、」
手は繋いだまま二人は休憩を挟みながら歩いた。リアはドキドキしている。前を歩く頼りになる背中を見ていると意識せずにはいられない。
王都にはたくさんいた騎士団の姿も見ない。
「シシリアが政治に介入してないのがいいのかもな。税金だけ払ているだけだ。シシリアもこんな小さな弱い国なんて興味ないんだろう。それより国を集めて大きくしたいだけだろうな」
「ふーん、でっそのレッドスパイダーって手に入るの?」
そういえば、そのレッドスパイダーが目的だった事をリアは思い出す。
「なんだ、取りに行くのか?さすがは冒険者だな。魔の森の近くにレッドスパイダーは生息している。行けばうじゃうじゃといるぞ」
「すごいわ」
「皆知っているよ」
「誰でも取っていいの?」
「いいよ。皆カネに困ったら取りに行くんだ。ふだんは皆違う仕事をしている」
「冒険者に頼むの?」
「いや?自分たちで取りに行ってここで売ったりしているな。冒険者登録も碌にしてないな奴もいるな」
「ゆるいのね」
親からの伝手や顔なじみなどで清算出来るようだ。
「でもその時空間バックを自国民には安く売っているってことよね?そんな事したら帳簿とかでバレない?」
「帳簿なんて見せない。いい値で税金を払っている。まぁレッドスパイダーの件は裏帳簿だろうな」
はははとモズは豪快に笑う。そんな大きな声で言って事なのかとリアは思う。
「取りに行くのか?」
「ちょっと興味あるかも…」
「退治しないから魔の森には害虫のようにいるぞ」
モズはリアが本気で取りに行くようだと分かると、
「俺の休みの日にでも付いて行こうか?ここの国民は親から取り方を教えられるから知っているが何も知らないで取りに行くと大変な事になるぞ」
「そうなの?でもせっかくの休みに嫌じゃない?」
「べ、別に釣りくらいしかいつもしないし、それにいつも暇だしな…」
モズはなぜか明後日の方向を見て答える。
「本当?じゃあお願いしようかな?」
モズの次の休みの日に門で待ち合わせをした。待ち合わせなんて前世依頼だ。まるでデートのようだ。
時間が過ぎてもモズは現れない。まだかなぁと待っていると大柄な男性が向こうからやって来た。「よ、ようぉ」と言って来る。よく見るとモズだった。
「え?ど、どうしたの?全然分からなかった。髭は?!」
「いや、その…」
その日のモズは立派な髭がなかった。キレイに剃られ若いツルツルの肌が見えている。
ちょっとイケメンだ。モズは恥ずかしそうに大きな手で顎をさすり、気まずそうにしている。
なんで剃ったのだろう。剃った方がカッコイイけど、逆に緊張してしまう。
「あぁ、ええっと、に、似合っているよ。すごくいいと思う、うん」
「そ、そうか。じゃあ行こうか。魔の森付近まで2・3時間はかかるからな」
「そっか、結構歩くね、あは…」
なぜか二人とも緊張している。
「レッドスパイダーなんか何するんだ?」
歩いていて緊張が和らいだのかモズが聞いてきた。
「んーちょっと、実験したい事があって…」
「実験?」
「そう…でも今は秘密」
「ふーん、結構学者気質なのか?売り飛ばして金が欲しいとか言う奴はいっぱいいたが…」
「まぁそうかも…モズはいつもこうやってレッドスパイダーの居場所を案内しているの?」
「いや、まさか!そんなわけないだろう。金に困っている奴には仕方ないから取り方は教えるけど、野郎にわざわざ付き添ったりしない」
「…」
じゃあなんで私には付き添ってくれるのだ?そう思うと意識してしまった。二人してモジモジしていると、モズが手を繋いできた。リアは飛び上がって驚いた。
「わ、悪い…」
「いえ、びっくりして…」
「うん、こ、ここら辺、山道で道も整備されてないから、危ないんだ」
「そっか、」
手は繋いだまま二人は休憩を挟みながら歩いた。リアはドキドキしている。前を歩く頼りになる背中を見ていると意識せずにはいられない。
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