AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

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終わりのための旅

翌朝

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「プーン、、、」

耳元の羽音で目が覚める。
蚊だ。昔から鳥肌が立つほど嫌いな音だ。
部屋に蚊がいるなら、それを退治するまで絶対に寝ない。

体が重い。
痛いより重い。
だが、取り敢えず体を起こした。

周りは真っ暗だ。
頼りは月の光だけ。

しばらく、ジッと月を眺めた。
まるで二日酔いの朝のように、さっきまでの記憶が思い出せない。
けれど、夜風が気持ち良い。

そして思い立ったように立ち上がった。

「よし」

小さく呟き、荷物を確認する。
大丈夫。全て残っている。

俺は歩き出した。
家に帰るために。
そこで、俺の最後を迎えるために。


朝までただ歩き続けた。
涼しい風に背中を押されるように、ひたすら前に進む。

なんともいえない達成感。
体の痛み。
なぜか痛みさえも心地よい。
少女を助けて、自分自身も生きている。
誰に評価されることもないが、誇らしい気分だった。


その時、背後でかすかな気配。
俺の歩調をなぞるような小さな足音。

俺は足を止め、ゆっくり振り返る。
今回は不安や恐怖はなかった。
なんとなく、そこに誰がいるのか予想ができたから。

「、、あの、、」

小さな聞き覚えのある声。

そこに立っていたのは、昨日助けた少女だった。
予想ができていたが、それども驚く。

「なんで??」

「どうしてここにいるの?」

少女はもじもじしながら、俺の足元と顔を交互に見る。
言いたいことがあるけど、切り出せない感じだ。

俺も同じだ。
どうすればいいのかわからない。

取り敢えず、俺は屈んだ。
目線を合わせないと、何も始まらない気がした。
膝に痛みが走る。

少し考えて口を開く。

「大丈夫だった??、、」

少女は下を向いたまま、小さく頷く。
取り敢えず、一般的な大人の対応はできた気がした。

だが、ここで不安がよぎる。
少女を追って、あの自衛隊の男が近くにいるかもしれない。
それに、どうやって俺の居場所がわかったのか?
俺は少女に気づかれないように、さりげなく周囲を見渡した。

取り敢えず、あの男の姿はない。

本当はいろいろと聞きたいことがある。
でもそれより先に、この場を離れたい。
万が一がある。

「ちょっと移動しようか」

少女はまるでこちらの意図を理解したかのように、小さく頷いた。

俺達は歩き出した。
朝の涼しい空気の中を並んで歩く。

歩くたびに体が痛む。
なんとか出せる速度で進む。

少女は俺の少し後ろをついてくる。
歩いては、小走りになり、また歩く。
距離が離れすぎないように、必死に。

二人の足音だけが、小さく響いていた。
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