AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

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合わさるピースと、欠けるピース

少女の眼差し

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「谷風さん、、、谷風さん、、」

朝になっても谷風が起きないので、肩を揺すった。

「ん、、、花、、、英花、、、」

その寝言を聞いた瞬間、手が止まった。

もしかしたら、娘さんと一緒にいる夢を見ているのかもしれない。
起こさないほうがいい。そう思って、そっと手を離した。


しばらくして、谷風がゆっくりと目を開けた。

体を起こし、ぼんやりと周りを見渡す。

「私、途中で寝ていましたか、、、」

かすれた声で、俺にそう言った。

「どこまで、、、話してました?」

俺は黙ってしまった。

だが、言葉を選ぶように口を開く。

「谷風さんは、悪くないと思いますよ」

「無責任な言葉で、申し訳ないですが、、、」

その言葉で、谷風は理解したようだった。
全部、話していたと。

そして小さく笑った。

「嘘でも、そう言っていただけると楽になりますね」

体はこんなに大きいのに。
今の谷風は、驚くほど小さく見えた。


その後、谷風はゆっくりと部屋を出ていった。

俺はその場に取り残されたまま、ぼんやりと一点を見つめていた。
何かを考えているようで、実際は何も考えていない。


ーーコンコン。

ドアがノックされる。

「朝ごはん、できましたよ」

上泉だ。

「ありがとうございます。今、行きます」

立ち上がり、食卓へ向かう。


席には、もう全員が揃っていた。
上泉夫妻、少女、谷風、林。

俺も席に着く。


「いただきます」

全員の声が重なる。


「今日の探索は私たちと、林さんで担当しますね」

上泉がそう言うと、隣で林が静かに頷いた。

「ありがとうございます」

俺が答えると、谷風も大きく会釈をした。


ーー今日が、チャンスだ。

やはり、この先は自分一人で行くべきだ。

今日は谷風が住処にいる。
この人なら、少女を置いて出ていっても安心できる。

今日、この住処を抜け出し、一人で旅を再開する。

そうしよう。

ふと、少女を見る。
なぜか、こちらの考えを見透かしたような目で、俺を見ている。

俺はすぐに目線を外す。


食後、準備を終えた上泉夫妻と林が住処を出ていった。

リビングでは谷風と少女が並んで座っている。

谷風は大きな体を丸めて、少女の目線に合わせて話している。

少女も谷風に対する警戒心は、もうなさそうだ。
身振り手振りを交えながら、谷風に何かを話している。

俺は何も言わずに、自分の部屋に向かった。


普通に考えれば、少女はここに残ったほうがいい。

頼れる大人たちがいて、安全だ。
上泉夫妻には悪いが、一緒に旅をしようと思えなかった。

そう自分に言い聞かせながら、手を止めないように荷物をまとめる。
迷いが入る隙を作りたくない。

上泉たちが戻る前に出発する。

準備を終え、静かに扉を開ける。


ーー扉を開けた瞬間。

目の前に少女が立っていた。

少し悲しそうな表情で、こちらを見上げている。

心臓が跳ねる。
言葉が出ず、一瞬立ち尽くす。


やがて落ち着きを取り戻し、少女の目線まで屈んだ。

「ごめん。やっぱり連れていけない」

それだけを伝える。

少女の表情は変わらない。
何も言わずに、ただ、こちらを見ている。

俺は立ち上がり、出口へ向かった。

扉に手をかける。

外に出る前に、もう一度だけ少女を見る。

少女は無言のまま、こちらを見つめていた。

目を逸らす。
そして、そのまま外へ出た。
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