AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

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合わさるピースと、欠けるピース

形勢逆転

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少女の背後に身を潜めたまま、不気味な男がひょこっと顔だけを出した。

「あーあ、君たち」

首を振る。

「ほとんどやられてるじゃん、、、」

小野川に撃たれ、地面に転がる男たちを見て、呆れたように肩をすくめる。

「す、すみません、、、」

リーダー格の男が、撃ち抜かれた両腕を引きずりながら、頭を下げた。


「取り敢えず、君。銃を捨てて」

不気味な男が、軽い口調で小野川に言う。

「あ??」

小野川が、険しい目で睨み返す。

だが男が、少女の首元の後ろでナイフをちらつかせる。
無視をすれば、少女の命はない。

「小野川!! 銃を捨てろ!!」

谷風の怒声が飛ぶ。

小野川は、舌打ちをしてから銃を地面に置いた。


不気味な男は満足げに頷くと、残った男二人に顎で合図を送る。

「君たち、それ拾って。こっち来て」

二人の男が、震える手で銃を拾い、歩いていった。

「じゃあ、この銃は君が使って」

不気味な男が、両腕が無事な男に指示を出す。

男は言われるまま銃を構え、こちらに向けた。


「ふうーー。これで一旦、形勢逆転かな」

満足気に頷く男。


そして、わざとらしく両手を広げた。

「じゃあ、これから君たちには――僕らの“夢の世界”のために、死んでもらいます!!」

まるで祝福でも告げるような、無邪気な響き。

「ただ、僕らがただの殺戮者じゃないことは、説明しないとねーー」

そう言うと、不気味な男は少女をもう一人の男に押し付け、一歩前に出た。

ナイフをくるくると回す。

「どこから話そうかな~」

視線が、ゆっくりとこちらをなぞる。
そして、ピタリと止まった。

「そこの君!!」

不気味な男の指が、まっすぐ谷風を指した。

「川路くんと、紅林くんの過去って聞いた??」


「川路さんと、紅林さんの過去、、、?」

谷風の眉が寄る。


「なぜ、お前が二人を知っているんだ?!」

不気味な男は「あ、そっか」と軽く笑った。

「前回、君とは会ってないもんねーー」

そして、面倒くさそうに肩を落とす。

「にしても、勘が鈍いなあ、、、」

そう言って、自分の顔を人差し指でトントンと叩いた。


「廃校で君がボコボコにしたのは、僕の部下!!」

「紅林くんの裏切りのきっかけを作ったのはーー僕!」

誇らしげに、胸を張る。

「はっ、、、?」

谷風の表情が歪む。


「紅林くんたちの仲間を拉致したのは僕らで、紅林くんは僕ら側に寝返ったの!」

ナイフをくるりと回す。

「で、、、裏切りきれなかった紅林くんと、川路くんを殺したのはーー僕!」

ニターっと、口の端が裂けるほどに広がる笑み。


その顔を見た瞬間、谷風の脳裏にあの光景が蘇った。

廃校の冷たい廊下。

血で濡れた床。

並ぶように倒れていた二人。

「お、お前が、川路さんと紅林さんを殺したのか?!」

谷風の声は、震えていた。

「いや、だからそう言ってるじゃん」

不気味な男は肩をすくめる。

「君と話すの、疲れるなーー」


そして、ゆっくりと話し始めた。

「まずね、紅林くんが川路くんたちを裏切った理由だけどーー」

指を一本、立てる。

「僕らと“境遇”が、そっくりだったからなんだよね」

「境遇??」と、谷風。

「そう!」

不気味な男が、正解だと言わんばかりに指を立てた。

「いじめ、病気、宗教、人種、、、」

指折り数えながら、ひとつひとつ並べていく。

「様々な理由で“少数派”が生まれ、孤独な道を進む……」

どこか遠くを見て、ゆっくりと語る横顔は、さっきまでの様子とは違っていた。


「僕らは、それの集まりさ」

視線が、こちらに戻る。


「“多数派”を少なくして、僕ら“少数派”が“多数派”に立ち代わるんだ」

その瞬間、表情が変わる。
異様な真剣さ。

「だから君たちには、死んでもらわないといけない」

淡々と。

「君たちの存在が、僕たちの夢を遠ざけるんだ」

誰も口を開けない。

「だがね、君たち“多数派”は、あまりにも多すぎるんだ……」

男は、苦労人のような顔をして、首を横に振った。

「僕らがどんなに頑張っても、数を減らせない」


そして、ゆっくりと、にやりと笑う。

「だから僕たちは考えた」


「君たち自身で、数を減らしてもらえばいいんだってね」

その言葉と同時に、男の周囲の空気が、ひどく不穏に濁った。
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