AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

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合わさるピースと、欠けるピース

私は?

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「林くんっ、、、!!」

上泉と谷風が、同時に林のもとに駆け寄った。

林は仰向けに倒れ、胸元から溢れる血が地面に広がっている。

「しっかりしろ!! 林!」

谷風が必死に呼びかける。

だが林の呼吸は浅く、今にも途切れそうだ。


「何をするんだ?!」

谷風が、不気味な男に怒鳴る。

「だ、か、ら!! 復讐だよ!!」

「君は本当に理解力が無いね。もう喋らないでくれるかい?!」


「君の過去に、林くんは関係無いだろう、、、、、!」

上泉が男を睨む。


不気味な男は、ゆっくりと口角を上げる。

「僕の過去に彼が関係無いから、彼を殺さない」

「その判断をする人間なら、そもそもこの世界を地獄に変えようなんて思わないだろう?」

堂々とした声だった。


林の呼吸は弱まっていく。

さらに小さく。

そしてーー止まった。

目は半開きのまま。

その目に、光は無かった。


「くっ、、、、!」

谷風の手が、林の肩を掴んだまま固まる。

「彼、逝ったね~」

まるで他人事のように男が言う。

「次は誰にする~?」

不気味な男は、楽しそうに全員を順々に指差した。

その指が、俺を指す。
上泉夫妻を指す。
谷風を指す。

そしてーー少女を指した。


シャッーー

上泉が刀を抜いた。
白刃が鋭く光る。

「ちょっと、ちょっと! 状況分かってる??」

男が笑いながら、少女の首元にナイフを近づけた。

少女の肩がビクリと震える。
涙が頬を伝う。

「上泉さんっ、、、!」

谷風が咄嗟に上泉の腕を掴んだ。

「た、頼む! その子を離してくれ!」

谷風が叫ぶ。


「ん~、どうしようかな~」

男は顎に指を当て、わざとらしく考える素振りを見せる。

ナイフをくるくると回す。


「じゃあ、、、、」

男は自分のナイフを一度見つめた。

そしてーー、


カラン。

そのナイフを、谷風の足元に投げた。

乾いた金属音が、静寂の中に響いた。


「これで自分の腹を裂いて、死ね」

笑っている。

できるわけがない。
そう確信している顔だった。

試している。
遊んでいる。


谷風は動かなかった。
ただーー足元のナイフを見ていた。

その目は、不思議なほど静かだった。


「谷風くん、君さ」

男が続けた。

「紅林くんたちの拉致された仲間を救いに来たよね?」

谷風は答えない。

「たださ、調子に乗って人助けする前にーー」


「自分の娘を助けたらどう??」

男は、ニヤリと笑った。

まるで、英花の最後の瞬間を、すぐそばで見ていたかのように。


――『私、、、は、、、?』

頭の奥で、その声が蘇る。
英花の最後の言葉。

谷風の視界が揺れる。


――『私、、、は、、、助けてくれないの?』

その瞬間。
心臓を素手で掴まれたような感覚が走った。

あの時、英花は最後まで言い切れなかった。

だが、あの続きが聞こえてくる。


――助けてくれないの?

ヒーローなんでしょ?

誰かを助けるんでしょ?

どうして――

どうして私を助けてくれないの?


谷風の呼吸が乱れる。

「……ぉぇっ……!」

その場に膝をつき、吐いた。

透明な液体が、地面に広がる。


――『自分の娘を助けたらどう?』

さっきの男の言葉が、何度も反響する。


――『パパのことだから心配はしてないけどさ』

――『他の人を助ける前に、私をちゃんと守ってよね!』

英花の言葉。

あの時、私は、笑って答えた。

誇らしげに、自信満々に。

――『ヒーローは、皆に平等なんだ!』

――『英花だけを特別扱いはできない』

その言葉を言った時の、自分の顔。

どんな顔をしていたんだ。
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